対談連載:トップランナーであり続けるために

“順応する力”で環境の変化を乗り越える 上原浩治(プロ野球)×関根勤(タレント)

田尻耕太郎
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提供:明治

読売ジャイアンツの上原浩治投手(左)とお笑いタレント・関根勤さんに、長く活躍し続けるための秘けつを聞いた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 トップアスリートとしてそれぞれの舞台で第一線を走り続ける人たちがいる。厳しい世界においてなぜ彼らは光を放ち続けられるのか。スポーツナビでは、そんなアスリートらの声を対談連載「トップランナーであり続けるために」で紹介する。

 第7回は、プロ野球・上原浩治投手(読売ジャイアンツ)とお笑いタレント・関根勤さん。巨人で1年目から20勝をマークし最多勝を獲得。メジャーでは抑えを任され世界一も経験し、昨年から再び巨人でプレー。今年44歳を迎えてもなおチームの勝利のために最前線で投げ続ける。一方の関根さんは大の巨人ファン。この日の上原投手との対面を心待ちにしていた。今年が芸能生活45年目。老若男女問わずに人気を博して、お茶の間に笑いを提供し続けている。トップランナーとして二人はどのような準備、工夫、生き方を意識して実行しているのか。スポーツと笑いの垣根を越えて、本音で語り合った。

「すごく良い根性をした投手が入ってきた」

――異業種でトップを走り続けるお二人ですが、これまで接点はありましたか?

関根 このような形できちんとお会いして話すのは、初めてですよね。スポーツ番組でご一緒したことはあったと思いますけど。

上原 僕らはもともと芸能人の方とお話しすることもないですから。今日は楽しみにしてきました。

関根 僕は子どもの頃から今も、大の巨人ファン。だって東京(出身)ですから。昔の『少年マガジン』とか『少年サンデー』の表紙は王(貞治)さん、長嶋(茂雄)さん。それに子どもにとってはジャイアンツって、もう巨大な人、“巨人”じゃないですか。もう憧れですよ。そこに、3番とか4番に“王”がいるんですよ。王様がいて、巨人なんだから好きになっちゃいますよ。

上原 僕も子どもの頃からテレビで関根さんを見て育った世代です。やっぱりモノマネが好きですよね(笑)。特に、輪島(功一)さんの。

上原投手もお気に入りだという輪島功一さんのモノマネを披露する関根さん 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

関根 (モノマネで)やっぱりね、ボクシングはね、リーチがね〜(一同笑)。上原さんのことは最初巨人に入団された時からもちろん応援していました。背番号19というのがまた良かった。19歳の時に自分が一番苦しかったから、それを忘れないためにその番号を選んだのだと何かで読んだんです。あぁ、すごく良い根性をした投手が入ってきたなと思いました。

上原 浪人していて野球をしていない一年間でした。ただ、裏を返せばそれしか空いていなかったんです(笑)。先輩のつけている番号を僕がとるわけにもいかない。ただ大学時代も19番だったので良かったです。

背番号19は上原投手の代名詞。入団当時の心境を笑顔で振り返った 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

関根 上原さんの投球って正統派のイメージ。すごくかっこいい。あと、超エリートではなくて雑草魂なところ。そこがまた好きなんです。僕らの世界でも超エリートといえば明石家さんまさんで、僕は若い頃に苦汁をなめた方。良かれと思ってやった(当時のネタである)『カマキリ拳法』がね、一部のお笑い好きの小学生男子にしかウケなくて、世間からものすごく嫌われちゃったから。それを経て今がある。だから、上原さんのことは応援したくなるんです。また、40歳を超えた今もなお投球技術を身につけられて大活躍されていますからね。

上原 今年4月で44歳になります。

関根 これはすごい。和製ライアンと呼びたいよね(元大リーガー、ノーラン・ライアン投手。44歳で無安打無得点を達成するなど数々の記録を残した伝説的投手)。

コンディションを常に整える大切さ

――それぞれの世界でたくさんの人の視線や期待を浴びながら、最高のパフォーマンスを発揮されてきたお二人ですが、試合や出演を迎えるまでにどのような過ごし方、準備の仕方をされていますか?

関根 上原さんは登板前日から食べる物を気をつけられているのでは?

上原 先発の時はそうでした。だけど、今はもう気にしていないです。いつ投げるか分からないので、気にしていたらやっていられないですから(笑)。先発の時は、前日の晩は必ずパスタなど炭水化物(糖質)を摂っていました。

関根 僕は3年前に、心臓の血管が詰まっているのが見つかって手術を受けたんです。それ以来、食事の時はまず納豆を食べるようにしています。納豆や豆腐にオリーブオイルをかけたりして。僕も長生きしたいので勉強しました。これは僕の見解ですが、最初に野菜を食べるよりもたんぱく質から摂った方が血管にいいらしいんです。だからお肉を最初に食べる『ミートファースト』もいいらしく、実践しています。僕はスポーツマンじゃないけど、健康維持に食事は大事ですから。

65歳になった今も精力的に活動する関根さんだが、3年前に冠動脈疾患が見つかり、食事の摂り方を変えたという 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

上原 栄養面などは以前から明治さんにサポートもしていただきながら気を配ってきましたが、若い時に比べて最近は、ナイター後の食事の量には気をつけるようになりました。あとはお酒の量も減らしました。先発の時ならともかく、今はいつ登板があるか分からないのでコンディションを常に整えておかないといけませんから。

関根 以前に元大洋ホエールズのエースだった平松政次さんに聞いたのですが、平松さんは前の晩にベッドで横になったら試合のシミュレーションをしていたらしいんです。さあ明日は巨人戦だ。1番柴田(勲)さんは、あそこに投げてヨシ。2番土井(正三)さんはこうして、3番の王さんは……あそこに投げておけば大丈夫。でも、4番の長嶋さんのところで眠れなくなっちゃうって(笑)。上原さんもそうですか?

上原 僕は1番から9番までそこまで細かくはしませんが、ある程度のビジョンは考えますね。

関根 ピッチャーって厳しいですよね。責任を一人で背負わなければならないのですから。

上原 でも、勝てば、それだけ喜びの大きな仕事でもあります。

関根 ホントすごい。孤高の戦士ですよ。

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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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