卓球における「相性」を考えてみた 張本が苦手なもの、際立つ水谷のすごさ

伊藤条太
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複雑、多様すぎるプレースタイル

卓球は多種多様な戦い方が存在する。例えば張本智和(写真)は「あえて分ければ」フォアもバックもドライブの前陣型と言える 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 一般にスポーツのプレースタイルは、勝ちにくいものは淘汰(とうた)され、勝ちやすいものに収束していくものだが、卓球は用具も技術も複雑、多様すぎるため、100年以上の歴史があるにもかかわらず、今でも古くから残るプレースタイルも実戦で使われている。まるで横泳ぎの水泳選手や正面跳びの走高跳の選手が今もいるようなものだ。

 速いボールを打ち込んで得点する攻撃型が主流ではあるが、その中にも前進回転による安定した軌道を重視する「ドライブ型」と、安定よりも無回転の直線的な軌道によるやりにくさを重視する「スマッシュ型」があるし、それらのフォアハンドとバックハンドの組み合わせだけで4種類になる。さらに、卓球台との距離によって前陣型と中陣型に分けられる。

 例えば今年1月の全日本選手権で優勝した水谷隼(木下グループ)は、フォアもバックもドライブの中陣型と言えるし、伊藤美誠(スターツ)はフォアはドライブ、バックはスマッシュの前陣型、今月のジャパントップ12で優勝した張本智和(エリートアカデミー)と石川佳純(全農)はフォアもバックもドライブの前陣型という具合だ。なお、これらの分類はあくまで「あえて分ければこうなる」というものであり、実際にはどの選手も場面場面で他のプレーもするし、公式に認められた分類があるわけではない。
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著者プロフィール

卓球コラムニスト。1964年、岩手県生まれ。中1から卓球を始め、卓球暗黒時代に「これでもか」というほど卓球に打ちこむ。東北大学工学部を経てソニー株式会社にて商品設計に従事。卓球本収集などの場外乱闘活動の結果、2004年より月刊誌『卓球王国』でコラムの執筆を開始。世界選手権のWEB現地速報、卓球DVD『ザ・ファイナル』シリーズの監督なども務める。2018年、ソニーを退社しフリーに。近所の小中学生に卓球指導をしながら執筆活動にいそしむ。著書に『ようこそ卓球地獄へ』『卓球天国の扉』等。『奇天烈逆も〜ブログ』を日々更新中。

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