メイウェザーvs.天心、ルールは?契約は? RIZIN榊原氏「(ファイトマネーを)払えんのか!」

スポーツナビ
 5日12時に発表された「フロイド・メイウェザー・ジュニアvs.那須川天心」の一戦。平成最後の大みそか、RIZIN.14で奇跡の異種格闘技戦が実現することになった。

 マッチメイクを成功させたRIZIN実行委員長の榊原信行氏は、かつて「PRIDE」代表として一大ムーブメントを生み出した名プロモーター。そんな格闘界一の仕掛け人は、今回の一戦をどのように味付けしようとしているのか。参戦発表会見の後に行われた榊原氏への囲みでは、合意に至った経緯やルール交渉の現状、またお金に対する赤裸々な話が語られた。

シューズを履かないだけでボクシングではなくなる

メイウェザーvs.那須川天心戦を実現させた榊原氏。今後は詰めの交渉が待っている 【写真:ロイター/アフロ】

――ルールはどうなる?

 ボクシングルールにはならないですね。ボクシングっていうのは協会があってライセンスがあってのことです。RIZINのスペシャルスタンディングバウト、いずれにせよMMAでやることはないと思います。蹴りをどうする、ウエイトどうする、打撃どうするとか、いろいろあります。

 ボクシングってシューズを履いてないだけでもボクシングじゃないですからね。天心がボクシングシューズを履くっていうことはちょっと考えられないです。いずれにしてもスペシャルスタンディングバウトになることは間違いないです。天心もボクシングのライセンスを持ってないですし、僕らもボクシングをやるコミッショナーとしてのライセンスが無いので。

 当然ウエイトも、メイウェザーが落としても145パウンド、65.7キロくらい。天心が上げたとして61、2キロ。5キロくらいの差には最終的になってくると思います。

 平成最後の異種格闘技戦ですよ。平成最後のみそかの夜を彩る、大決戦。日本人のみなさんがとにかく大好きなアントニオ猪木vs.モハメド・アリ戦や、高田延彦vs.ヒクソン・グレイシー、それに引けを取らない平成最後の異種格闘技戦。みんなで言っているのは、「平成最後の“やれんのか!”」っていうタイトルで推してもいいんじゃないかと。

 メイウェザーも新しいチャレンジで、ボクシングっていうルールの中でこれまで戦ってきましたけど、当然ラウンド数も変わりますから、そのなかで彼が何を見せるのか。これからルール交渉が大変だと思いますけれども、いずれにせよ、2人はみそか、RIZINのリングで戦います。そのルールはもう、スタンディングの異種格闘技戦として成立するような然るべきルールをこれから見つけるということだと思います。

――現時点での両陣営のリクエストは?

 殴るだけだとしても、ボクシングにないバックブローをどうするとか、1ラウンド5回蹴らせろ、3回ならいいよとか、分からないです。どこでどう落としどころを見つけるか。でもお互いプロで「やる」と決めているので、どこかでスイートスポットを見つけ出せるかなと思います。喧々諤々(けんけんがくがく)、これからあると思います、

――両者のウエイトは合わせない?

 合わないと思います。関係ない。日本は無差別級がある国ですから。ボクシングっていうのは競技ですから。そこにはまらない。喧嘩のときにお互いウエイト何キロ、ってやらないですよね。これは喧嘩ですよ、日本とアメリカの大喧嘩。

――短いラウンドでエキシビション的になる?

 エキシビションってどう理解されているか分からないけど、米国で言えば「非公式な試合」がエキシビションマッチ。ヘッドギアつけて大きなグローブで殴る、ってことは絶対ない。そういうことではなくて、短いラウンドになるかもしれないけど本当の真剣勝負。

 これはボクシングのキャリアの中で言えば、当然メイウェザーは自分たちの公式キャリア……例えばこれまで50戦50勝無敗、今回天心に万が一KOされた時に、彼はそれを「1敗」とは書かないですよ。そういう意味では非公式なマッチ、ボクシングの公式戦ではないということ。そのへんはみなさん取り違えているかもしれないけど、一番リスキーな試合だと思いますよ。競技としての枠、ルールで守られないわけですから。

――蹴りが入る可能性もある?

 ありますね。交渉だと思います。天心側は何回でもいいから蹴らせてくれって、1回でも2回でも分からないけど、その可能性も含めてこれから探っていきたいと思います。

オープンフィンガー使用も諦めていないが…

――これまでの話し合いではルールの話はなかった?

 もちろんしていますよ。最初はオープンフィンガーグローブでどうだっていう話から始まっています。だからいろいろな可能性をひとつずつ詰めていますよ。オープンフィンガーでっていうのは、まだ諦めてはいないんだけど、総合の試合にはならない。だから立ち技でいこうと。

 グローブのオンスは8オンスか6オンスか、それも例えばウエイト差があった時に、ボクシングのグローブでやるとしても、グローブのオンスでハンディキャップを付けるとか、こういうことも細かくこれから詰めですよね。

 メイウェザー側ももう少し天心のことを研究すると思いますよ。なにが危険で、なにを受け入れて、っていうところを。今回初めて(天心を)見て、昨日もいろいろな撮影で顔を合わせる機会があったんだけど、天心の上半身脱いだ姿も見ているから、ここから探り合いというか。過去の高田vs.ヒクソンの時も、試合の前日にルールがようやく調印できましたからね。それはみなさんも楽しんでください、僕は大変だと思うけど(笑)。

――ジャッジをつけて、判定もある?

 そういうことも含めて全部です。それもすでに揉めていますから。どこのジャッジもこんな試合裁きたくないですよ。当然メイウェザー側からすれば米国からジャッジを連れてきたい。どのルールになるかですけど、ボクシングのことしか分からない人にジャッジさせられないじゃないですか。難しいですよね。

 でも僕は「果たし合い」にしたいです。競技の型にはまりすぎて、世界中の格闘技界がつまらなくなっている。競技の枠を越えて、違う競技同士が、それぞれの無敗同士が、どちらかに平成最後に土がつきますよ。それは事実。そこを突き詰めればいいんじゃないですか。ルールは試合が成立するためにあればいいと思っているので、ルールに合わせた競技ではないです。

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