売上157億“成功”と言えるJBC中央開催 「盛り上がった」騎手からも好評の声

山本智行

ストップ・ザ・ルメールはおれだ!

メーンの11R「クラシック」は充実の5歳馬ケイティブレイブが貫禄を示した 【写真:有田徹】

 続く11R「クラシック」は既存勢力のケイティブレイブvs.新興勢力のオメガパフューム、サンライズソアという構図となったが、案の定というべきか、1番人気はルメール人気もあってサンライズソア。しかし、充実の5歳ケイティブレイブが貫禄を示した。

 コンビの福永祐一騎手はハイペースを読み、中団に構えると4角では6番手にまで進出。直線ではかつてないほどの鋭い脚を伸ばすと内で粘るサンライズソアを交わし、オメガパフュームの追撃も封じ切った。

「だれかがルメールを止めなきゃ、と騎手の間でも話題になっていた。この馬にとっては久々の京都のダートでしたが、トップコンディションだったので自信を持って乗りました。心身ともに充実し、馬が完成期を迎えている」

福永騎手(右)、GI級レース初勝利の杉山調教師ともに晴れやかな表情、しかし視線は12月のチャンピオンズCへ 【写真:有田徹】

 初のJBCクラシック制覇にユーイチは晴れやかな表情。管理する36歳の杉山晴紀調教師にとっても、これが開業3年目でうれしいGI級レース初制覇となった。

「京都を得意にする馬がいたので、その点は気になっていましたが、思った以上に力をつけている。目野先生から引き継いで地方で勝つのは当たり前という感じだった。その意味でメンバーも流れも違う、中央のこの舞台で勝てたのはうれしいです」

 兄弟には弁護士もいるが、自身は中学3年生のとき、この世界に入ると決め、迷わず一直線に来た。調教助手時代には9年前の菊花賞馬スリーロールスを担当。「大きなところを獲るのもあれ以来。京都に縁がありますね。表彰台でふっと、そんなことを思いました」と振り返った。

 しかし、年内にまだやることがある。12月2日の中京。ゴールドドリーム、ルヴァンスレーヴが待つGIチャンピオンズカップだ。

最後の最後まで。火花散るデッドヒート

最終12R「レディスクラシック」は横山典騎乗のアンジュデジールが火花散る一騎打ちを制した 【写真:有田徹】

ベテランの技を見せた横山典騎手、喜びのフライングディスマウントを披露 【写真:有田徹】

 西日に煙る中でゲートが開いた12R「レディスクラシック」も祭りの後とは思えないほど白熱した直線の攻防となった。4角で6番人気アンジュデジールと1番人気ラビットランが一気に前をとらえて、一騎打ちに。外のラビットランが抜け出すかと思われたが、横山典弘騎乗のアンジュデジールが差し返し、初のビッグタイトルをつかんだ。

「いったん、前に出られましたが、盛り返してくれた。スプリントはルメール、クラシックは関西の福永騎手。このレースは関東の騎手が頑張りました」とベテランらしく最後をうまくまとめてくれた。

京都でマトブン・ダンスが拝めるなんて

62歳1カ月29日での騎乗はJRA最年長記録、大井の的場文男騎手が京都を大いに盛り上げた 【写真:有田徹】

 この日はJBC3連発以外にも5R新馬戦に的場文男騎手が騎乗。62歳1カ月29日での騎乗はJRA最年長記録となり「パドックでの声援に目頭が熱くなった」と感謝する場面もあった。またJBC3連覇を達成したヴァーミリアンも来場するなど、盛り上げに一役買った。人馬の交流はいいことだ。

 JBC3レースに騎乗したルメールや岩田らからも「最後まで盛り上がったし、いろんなカテゴリーのGIレースをまとめて実施するのはいいこと」と“好評”の声が上がった。

 売り上げはもちろん、大事。しかし、今回の試みのように、これからもレースの質を確保し、エンターテインメント性を高めて行ってほしいと感じた。

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著者プロフィール

やまもと・ちこう。1964年岡山生まれ。スポーツ紙記者として競馬、プロ野球阪神・ソフトバンク、ゴルフ、ボクシング、アマ野球などを担当。各界に幅広い人脈を持つ。東京、大阪、福岡でレース部長。趣味は旅打ち、映画鑑賞、観劇。B'zの稲葉とは中高の同級生。

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