“カオス”を生み出すラグビー日本代表 世界選抜戦は「ポジティブ」な惜敗
後半の3連続トライで3点差に迫る
DF2人の間を突き破ってトライを挙げた日本代表WTB福岡 【斉藤健仁】
だが、ここから、日本代表が合宿の成果を発揮する。相手に疲れが出てきたことやメンバー交代したことで攻勢に出る。24点差でもアタッキングマインドを持って攻めたチームに対してジョセフHCは「ハードワークという点では感心している。1年以上前だと24点と大差がつけられたところで、自分たちからタオルを投げ込んでいた。けれど、このチームは勝つためのメンタリティーを理解し始めた」と一定の評価を与えた。
後半6分、リーダーのひとりであるセンター(CTB)ラファエレ ティモシーが自陣奧深くから、相手のパスをインターセプトして独走トライ。ディフェンスで前に出続けていたことが功を奏した。その後は「相手が疲れてきてスペースがあった」とフィールド全体が見えているSH田中が入ると、アタックのリズムが変わり、20分、ボールを継続してWTBレメキ ロマノ ラヴァが右隅にトライ。さらに34分には、途中出場のSO松田力也のグラバーキックを、同じくリザーブから出たCTB中村亮土が押さえて28対31とした。
ジョセフHC「やってきたことが機能し始めている」
ゴール前で痛恨のノックオンをした日本代表CTB中村。世界選抜・ブリッツの巧みなタックルが光った 【斉藤健仁】
3度目の世界選抜戦は3点差の惜敗だった。ただ個々のタックルミスなど課題も多かったとはいえ、全体の戦い方は狙い通りだったと言えよう。試合後、ジョセフHCは「10点中6点」と評し、「ジャパンはしっかりしたアティテュード(戦う姿勢)と意気込みで戦えていた。試合に対するマインドセット(心構え)も正確なものだった。早い球出しがBKにチャンスを与える。結果的には負けたが、やってきたことが機能し始めている試合だった」と胸を張った
またキャプテンのフランカー(FL)リーチ マイケルも「今日の試合についてはポジティブにとらえている。試合を通して良いアタックはできている。ディシプリン(規律)とセットプレー。この2つがうまくいけばもっと良い結果になっていた」と前を向いた。
“世界最強”オールブラックスに挑む
日本代表CTBラファエレは攻守に奮闘した 【築田純】
ディフェンス面では接点でしっかりファイトして、前に出てプレッシャーをかけ続けて、なるべく失点を抑えて勝つ流れに持っていきたい。「ワクワクしています」というジョセフHCは「キーポイントはスクラム、ラインアウトで自分たちのボールを確保すること。(セットプレーで)マイボールさえ取れれば(アタックで)プレッシャーをかけられる」と意気込んだ。
世界選抜戦で攻守ともに良い学びを得た桜の戦士たちが、その教訓を糧に世界王者に挑む。