可視化して振り返るドラフト会議 満点は中日、課題残した球団は?

ベースボール・タイムズ

西武:課題を残すも満足の1位&2位!

【ベースボール・タイムズ】

 最速155キロの即戦力右腕、松本航(日体大)の一本釣りに成功し、地元埼玉出身の大器、渡邉勇太朗(浦和学院)も指名。侍ジャパン大学代表でもエースを務めた松本には1年目から2ケタ勝利を期待できる。さらに5位で高校生捕手の牧野翔矢(遊学館)を指名して年齢的に欠けていた箇所を埋め、即戦力の内野手2人と6位で26歳のオールドルーキー・森脇亮介(セガサミー)を指名して現有戦力の底上げを図った。

 1位、2位の顔触れも含めて満足のいくドラフトだったと言えるだろうが、指名した投手4人が全員右投げで左投手の指名は育成1位の東野葵(日本経済大)のみ。「左」という課題も残った。

ソフトバンク:2度のハズレの後に即戦力投手を並べる!

【ベースボール・タイムズ】

 内野手の小園海斗、外野手の辰己涼介をクジで外した後に、最速159キロの快速球を誇る甲斐野央(東洋大)を1位で指名。さらに2位で杉山一樹(三菱重工広島)、6位で泉圭輔(金沢星稜大)、7位では26歳の奥村政稔(三菱日立パワーシステムズ)を指名し、1年目から勝負できる人材を並べた。

 その反面、3位で高校通算68本塁打の野村大樹(早稲田実)の指名はあったが、世代交代が求められる野手の指名は2人(育成では捕手1人、外野手1人を指名)のみ。甲斐野には期待だが、昨年の3度のクジ外れに続いて今年も2度外した影響を感じざるを得ないドラフトとなった。

日本ハム:新たなスターを指名して見栄えのする並び!

【ベースボール・タイムズ】

 新たな二刀流、根尾昂のクジは外したが、「評価は同じ」(栗山監督)として今夏の甲子園を沸かせた吉田輝星(金足農)の入札に成功。昨年の清宮幸太郎に続く“スター”を手に入れた。それでなくとも21歳以下の右投手は“穴”であったため、甲子園優勝右腕の柿木蓮(大阪桐蔭)の指名とともに納得の行く結果。

 さらに2位で中田翔の後継者となり得る野村佑希(花咲徳栄)、4位で未知のスケールを持つ万波中正(横浜)、6位では打てる捕手、田宮裕涼(成田)と高校生を指名するとともに、即戦力投手の生田目翼(日本通運)、北海道出身の福田俊(星槎道都大)を指名してバランスを取った。左投手こそ福田のみの指名となったが、話題性も含めて見栄えのするドラフト指名となった。

オリックス:左腕2人&内野3人で現チームに刺激!

【ベースボール・タイムズ】

 小園海斗を外した代わりに太田椋(天理)を1位入札。将来の正遊撃手として、チームの補強ポイントに合致する指名となった。さらに足りない左投手を補うために、4位で富山凌雅(トヨタ自動車)、6位で左澤優(JX−ENEOS)の即戦力を指名。右の長距離砲として大学代表でも4番を務めた2位指名の頓宮裕真(亜細亜大)はプロでは内野手として期待。PL学園出身の中川圭太(東洋大)も含めて、現選手たちにとっても間違いなく刺激になるはずだ。

 ただ、根尾、小園、藤原と比較すると、現段階では太田の格落ち感を覚えるのも確か。バランスは取れたが、太田の成長次第で評価が大きく変わるドラフトとも言えるだろう。

ロッテ:穴埋め成功!“ほぼ”完璧なドラフト!

【ベースボール・タイムズ】

 1位の“残りクジ”で見事に藤原恭大(大阪桐蔭)の交渉権を獲得。外野手の高齢化が目立っていた中で、将来のミスターマリーンズ、トリプルスリーを狙える逸材を手に入れ、狙い通りの指名となった。

 さらに2位で東妻勇輔(日体大)、3位で小島和哉(早稲田大)と左右の実力派の大学生投手を指名できたことも高く評価でき、山口航輝(明桜)、古谷拓郎(習志野)と将来性のある高校生の指名も忘れなかった。ほぼ満点と言えるドラフトになった。その“ほぼ”の部分は、高校生の左投手と捕手。来年はこの部分を埋めて、世代交代をさらに推し進めたいところだ。

楽天:即戦力外野手を手に入れて左3枚も追加!

【ベースボール・タイムズ】

 藤原恭大は外したが、人気銘柄だった辰己涼介(立命大)の交渉権を獲得。野手の指名にこだわった執念が実った形となった。それだけでなく、2位で“勝てる捕手”の太田光(大商大)、3位で高校生の大型右腕、引地秀一郎(倉敷商)を指名したのに加え、4位以下で弓削隼人(SUBARU)、佐藤智輝(山形中央)、鈴木翔天(富士大)と左投手を3名指名した。

 また、育成指名のために上記の表には反映されていないが、清宮虎多朗(八千代松陰)はスケール大の右腕だ。高校生野手の指名がなく、全体的に理想よりも年齢分布が上となった点は不満だが、戦力的に足りない部分は埋めることができたはずだ。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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