ドラフト直前、各球団の「穴」を可視化 埋めるべきは高校生?それとも即戦力?
注目は逸材ぞろいの高校生。すでに甲子園を沸かせた根尾昂、藤原恭大(ともに大阪桐蔭)、小園海斗(報徳学園)の1位指名が報道を通じて公表されている。その他、今夏に“カナアシブーム”を巻き起こした吉田輝星(金足農)、大学生では甲斐野央、上茶谷大河、梅津晃大の“東洋大150キロトリオ”や、松本航(日本体育大)、辰己涼介(立命館大)といった面々も上位候補として名前が挙がっている。
「即戦力」か「将来性」か。「スター性」か「実力」か。様々な事象を天秤にかける中で、各球団は自チームの選手編成、年齢分布を考慮しながら指名すべきである。今回は右投手、左投手、捕手、内野手、外野手別の年代構成をもとに、各球団の“穴”を明らかにし、補強ポイントを可視化したい。
(注)選手は満年齢で分布。育成選手、外国人枠の選手を除く。
西武:連覇へ向けて即戦力投手の獲得を!
【ベースボール・タイムズ】
穴:19−21歳の捕手
穴:22−25歳の外野手
10年ぶりのリーグ優勝を果たした埼玉西武。連覇へ向けて必要なのは即戦力投手で間違いない。トレード加入した榎田大樹の活躍はあったが、エース・菊池雄星のメジャー挑戦が濃厚で、左投手は引き続き補強ポイントだ。年齢分布を見ると、高校生捕手と即戦力外野手もほしいが、森友哉の存在と愛斗、鈴木将平の成長で事足りる。まずは、優勝しながらもリーグワーストだった投手陣のテコ入れが必要。先発、中継ぎ問わず、1年目から1軍でフル回転できる人材を手に入れたい。その上で、余裕があれば高校生野手を指名したい。
ソフトバンク:強いて言えば若い外野手?
【ベースボール・タイムズ】
2位から日本シリーズ進出を果たした福岡ソフトバンクだが、リーグ優勝を逃した反省は必要だ。そのためにはまず、即戦力投手の獲得が最優先か。年齢分布を見ると、近年のドラフト戦略の成果もあって、育成選手も含め多くの有望な若手を抱えている。強いて穴を挙げるならば、育成では4人いるが支配下は0人の19歳から21歳の外野手か……。昨年指名した増田珠が、高校では外野を守ったがプロでは三塁手として腕を磨いており、改めて高校生外野手を指名するのも手だ。また、高校生右腕の数もやや足りない。スケールの大きい好素材をできれば確保しておきたい。
日本ハム:右の本格派、将来のエース候補を!
【ベースボール・タイムズ】
穴:22−25歳の左投手
穴:19−21歳の外野手
「その年のナンバーワン選手」を指名してきた北海道日本ハム。素早い血の入れ替えもあって、他球団と比べてチーム全体が非常に若く、ほぼ20代の選手でチームが構成されている。だが、その中でも21歳以下の右投手は田中瑛斗のみ。将来のエース候補として、ダルビッシュ有(カブス)、大谷翔平(エンゼルス)の後継者と言える右の本格派を手に入れたい。また、21歳以下の外野手も姫野優也のみ。スムーズな世代交代の流れを将来も継続させるためにも、高校生外野手の指名があっていい。その上で、即戦力の左投手も1枚は加えたい。
オリックス:求めるのは即戦力サウスポー
【ベースボール・タイムズ】
穴:19−21歳の捕手
穴:19−21歳の内野手
徐々にではあるが若返りが進んでいるオリックス。その中で、昨年のドラフトで左腕・田嶋大樹、右腕・K−鈴木(鈴木康平)を手に入れたが、今季10勝を挙げた西勇輝にFA流出の恐れがある。その場合に備えて即戦力、できれば頭数が足りない左投手を加えたい。また、伸び悩んでいる中堅の野手陣を刺激するためにも、フレッシュな高校生野手を指名したいところ。春季キャンプから話題を集められるようなルーキーを指名すれば、チームにも活気が生まれるはず。チーム生え抜きのスターを育てたい。
ロッテ:昨年に続いて高卒スターを!
【ベースボール・タイムズ】
穴:19−21歳の捕手
穴:19−21歳の外野手
井口資仁監督の2年目へ準備を整える千葉ロッテ。昨年のドラフトでは人気選手のひとりであった安田尚憲の獲得に成功したが、チームの年齢分布を見るとまだまだ若手が足りない。全ポジションで高校生を加えるべきだが、特に角中勝也が31歳となった外野手は補強ポイント。2015年の平沢大河、昨年の安田に続いて高卒スターをチームに加えることができれば、将来が非常に楽しみになる。昨年は社会人から計5人を指名して一定の成果も手にしたが、今年はさらに思い切って高校生中心のドラフトでも面白い。
楽天:昨年のリベンジ&センターラインの強化を!
【ベースボール・タイムズ】
穴:22−25歳の捕手
穴:19−21歳の内野手
最下位からの巻き返しを誓う東北楽天。9月に就任した石井一久GMのもと、投手、野手ともに若返りを進めたい。一昨年は藤平尚真の指名に成功したが、昨年は清宮幸太郎、村上宗隆の高校生を1位指名するも相次いでクジで外した。今年はリベンジなるか。チームを作り上げる上でもセンターラインの強化は不可欠で、まずは1位で将来の主軸候補を手にしたい。さらに高校生の左投手、そして即戦力の捕手も必要。昨年は高校生の支配下指名が西巻賢二のみだった。長打を打てる若手を獲得して、競争心を煽りたい。