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最下位→2位と快進撃のヤクルト
小川監督&宮本ヘッドで「変革」進む

交流戦「最高勝率」が大きな転機に

CSで敗れ悔しい形で今季を終えたヤクルト。しかしシーズン通して見れば快進撃と言える成績を残した
CSで敗れ悔しい形で今季を終えたヤクルト。しかしシーズン通して見れば快進撃と言える成績を残した【写真は共同】

 75勝66敗2分け、勝率5割3分2厘──。


 球団史上ワーストの96敗という屈辱から1年。4年ぶりに復帰した小川淳司監督の下、「変革」を目指して再出発した東京ヤクルトは、セ・リーグ2位という好成績で2018年シーズンを終えた。


「この結果に関しては、選手たちの頑張りが本当に素晴らしかった。交流戦で最高勝率を獲得できたことで自信になったのが大きかったのかなと思いますけど、その後の戦いぶりは今年を象徴するような試合が多かったんじゃないかと思います。現に終盤にひっくり返した試合も多かったし、そういう意味では精神的にタフさが出てきたのかな」


 そう言ってレギュラーシーズンを総括したのは小川監督。振り返ってみれば5月はまだリーグ最下位だったが、これまで8年連続で負け越していたセ・パ交流戦で12勝6敗と大きく勝ち越し、優勝に相当する「最高勝率」を獲得したのが、大きな転機となった。


 後半戦は41勝24敗1分け、勝率6割3分1厘の快進撃で、前半戦終了時点の最下位から2位にまで躍進。シーズン通算の逆転勝利は“逆転のカープ”といわれた広島の41試合に次ぐ38試合と、小川監督が開幕を前に「すべてにおいて執念を持って、最後まであきらめない姿勢で全力で戦い抜く」と誓った言葉を、ナインが体現してみせた。

キーマンが活躍、新戦力も台頭

 打線では、MLBから7年ぶりに復帰した青木宣親がリーグ4位の打率3割2分7厘、雄平はキャリアハイの3割1分8厘。坂口智隆がこれまで経験のなかった一塁のポジションに挑戦しながら、オリックス時代の10年以来の打率3割超えとなる3割1分7厘をマークすると、山田哲人は34本塁打、33盗塁(盗塁王)とあわせて打率3割1分5厘で自身3度目のトリプルスリーを達成するなど、3割バッターを4人も輩出した。


 昨年は規定打席以上の3割バッターはゼロで、チーム打率はリーグワーストの2割3分4厘だったのが、今年は同トップの2割6分6厘。春季キャンプ前から「とにかく得点にこだわりたい」と話していた石井琢朗打撃コーチの指導により、今季の総得点は658(1試合平均4.6)と、昨年よりも200点近い上積みに成功した。その中心に座るウラディミール・バレンティンは、自身の持つ球団記録に並ぶ131打点を挙げ、来日8年目で初の打点王に輝いた。


 チーム防御率はリーグワーストだった昨年よりもわずかに良くなっただけだが(4.21→4.13)、今年は同4位。エースの小川泰弘が昨オフの右ひじ手術で出遅れたこともあり、年間を通して先発ローテーションを守る投手はいなかったものの、開幕投手のデービッド・ブキャナンがシーズン最終登板で今季10勝目。チームにとっては、実に3年ぶりの2ケタ勝利投手誕生となった。


 だが、投手陣にとって、いやチームにとっても大きかったのは、セットアッパー近藤一樹&クローザー石山泰稚という、いわゆる勝利の方程式を確立できたことだろう。石山は35セーブで惜しくもタイトルには届かなかったが、近藤はリーグトップの42ホールドポイントで、プロ17年目で初タイトルとなる最優秀中継ぎ賞に輝いた。


 彼らとともに「方程式」を担う存在として、前半は大卒2年目のサウスポー中尾輝、終盤は高卒2年目の梅野雄吾が奮闘。先発では小川と同じ時期に右ひじの手術を受けた大卒2年目の星知弥が、中継ぎを経て9月13日の巨人戦で先発としてはおよそ1年ぶりの白星。9月に1軍デビューを飾った高卒3年目の左腕、高橋奎二は10月2日の横浜DeNA戦でプロ初勝利を挙げるなど、若い力の台頭が目に付いた。


 なによりの収穫は、2015年ドラフト1位の原樹理が後半は安定感あるピッチングを続け、自己最多の6勝を挙げたことだろう。一度は中継ぎに配置転換されたが、先発に戻ってからは5勝2敗。クライマックスシリーズ(CS)では、小川に続いて第2戦の先発を任された。

菊田康彦
菊田康彦
静岡県出身。地方公務員、英会話講師などを経てライターに。メジャーリーグに精通し、2004〜08年はスカパー!MLB中継、16〜17年はスポナビライブMLBに出演。30年を超えるスワローズ・ウォッチャーでもある。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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