ロッテ鈴木大地、CSを語る 一発勝負の怖さと魅力、勝者の条件
初のCSで感じた緊張感
自身初出場となった13年のCSでファイナル進出へ大きく近づく一発を放った鈴木大地 【写真:BBM】
やはり一番印象に残っているのは初めて出場した13年でしょうか。この年はレギュラーシーズンの最終戦、西武ドームで埼玉西武と勝った方が2位という戦いに2対10で敗れ、3位でのCS進出になってしまいました。その試合で僕はミスを犯してしまっていたので悔しい思いを胸に、同じく西武ドームでのファーストステージに臨んだんです。
僕は桐蔭学園時代に神奈川大会で満員の横浜スタジアムでの試合を経験していましたし、東洋大時代もやはり満員の東京ドームで試合をしたことがあります。自分ではお客さんが多い中での試合でも落ち着いてできると思っていたんです。今思えば怖いモノ知らずだったんですね。でも、現実は違いました。CSの緊張感は想像以上のものでした。
試合が始まるまでは「CSという舞台で戦える」「こんなにお客さんが多い中で試合ができる」ということを楽しみにしていたんです。でも、試合が始まった瞬間、感じたことのない緊張感に襲われました。記録にはつかないミスをしてしまい、自分でも「テンパってるな」と自覚できるくらいでした。
そんな僕の様子を見て、イニング間に今江(年晶、現東北楽天)さんがスッとやって来て「お前、緊張してるやろ」「楽しめ」と声を掛けてくれたんです。そして、こう続けてくれました。「楽しくやるんじゃないぞ。楽しくやるなんて無理だから。この緊張感を楽しむんだ」。すごい言葉だなと思いましたね。日本シリーズでMVPを2回取っている大舞台に強い人の言葉だけに、深い言葉だなと思いました。ただ、その試合では最後まで緊張感を楽しむことはできませんでしたが(笑)。
東北で思い知ったホームの利
2試合目は気持ちいいくらいの完敗(0対15)で、ファイナルステージ進出が懸かった第3戦。5回の第2打席で先制のホームランを打つことができました。この試合では気持ち的にもいい緊張感に変わっていたのですが、前の打席は併殺打に倒れていたこともあって、打った瞬間は「行ってくれ!」という思いで、入った瞬間は本当にうれしかったですね。そのまま4対1で勝つことができました。
ただ、ファイナルステージで対戦した楽天はとにかく強かったです。この年は仙台での相性が悪かったのですが、「実際にはホームとビジターの差なんてそんなにないだろう」と思っていたんです。でも、この楽天戦ではホームの強さというものを感じさせられました。球場の雰囲気が全然違いましたから。結局、1勝しかできずに4試合で終わってしまいました(アドバンテージを含めて1勝4敗)。