MLB監督に求められる資質と能力とは?
Rソックス、ヤンキースの躍進で明確に

重視されるコミュニケーション能力と聡明さ

ヤンキース・ブーン監督も就任1年目でプレーオフ進出を決めた
ヤンキース・ブーン監督も就任1年目でプレーオフ進出を決めた【Getty Images】

 こうしてブーン、コーラ両監督の手腕を振り返ると、現代のMLB監督に求められる要素が見えてくるようでもある。昨季終了時点で、『スポーツ・イラストレイテッド』誌のトム・バードゥッチ記者は以下の2つを挙げていた。


・若い選手たちと通じ合えるパーソナリティを持っていること

・データ分析に精通し、戦術に応用できること


 GM、球団社長といったフロントが大きな影響力を持つ昨今のメジャーでは、重宝されるのは百戦錬磨の策士より、さまざまな年齢、人種の選手と心を通わせるコミュニケーション能力と、データを扱う聡明さを持った人物。だとすれば、より若く柔軟なパーソナリティの人物が監督に選ばれるのは当然なのだろう。


 振り返れば去年のワールドシリーズでも、当時45歳のデーブ・ロバーツ監督のドジャース、43歳のA.J.ヒンチ監督のアストロズという若い監督が率いるチームが対戦。シリーズは7戦までもつれ込み、最高級のデータを用いているとされるアストロズが初優勝を飾った。この両チームの躍進は、メジャーリーグにおける成功のブループリントになっている感がある。

時代の流れを表す監督の移り変わり

 現代の監督像にはそぐわないとして、昨オフには当時68歳だったテリー・コリンズ(メッツ)、68歳のダスティ・ベイカー(ナショナルズ)、66歳のピート・マッカニン(フィリーズ)といった高齢監督や、まだ52歳でもどちらかといえばオールドファッションな軍曹タイプのジョー・ジラルディ(ヤンキース)といった指揮官たちが一斉に解雇された。


 代わりに雇われたのが、ミッキー・キャラウェイ(メッツ/43歳)、ゲーブ・キャプラー(フィリーズ/43歳)、ブーン(45歳)、コーラ(42歳)といった青年監督たち。中にはタイガースが60歳のロン・ガーデンハイアーに3年契約を与えたような例外もあるが、それ以外の一連の動きは、もうトレンドと呼んで大げさではない。


 この流れのきっかけを挙げるとすれば、2002年のオフにレッドソックスが当時28歳だったアイビーリーグ出身のセオ・エプスタインをGMに起用して成功したこと。以降、選手経験はなくとも、セイバーメトリクスが得意な若き才人たちがGM、チーム編成担当を務めることが増えていった。


 そんなエグゼクティブたちが望んだのが、よりフレッシュな青年監督たち。この潮流の最先端をいくヒンチ、ロバーツ、ブーン、コーラ各監督の成功も推進力になり、今後もその流れに拍車がかかる可能性が高い。


 案の定、26日にはブルージェイズを7年に渡って率いてきた56歳のジョン・ギボンズ監督が辞任を発表した。その他、 62歳のバック・ショーウォルター(オリオールズ)、59歳のマイク・ソーシア(エンゼルス)も今季限りでの退陣が濃厚。ベテラン監督が去るのは寂しいが、ギボンスの「おそらく変化の時なんだろう」というコメントは何かを象徴しているのだろう。


 昨季に続き、またしても若き指揮官が躍動しそうな18年のポストシーズン。「時代は変わる(The Times They Are a Changin')」と歌ったフォークシンガーがいたが、これも時の流れだということ。今季のプレーオフは、監督起用の面でもメジャーリーグの明白な変化を改めて感じさせる戦いになりそうである。

杉浦大介
杉浦大介

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

スポナビDo

イベント・大会一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント