MLB監督に求められる資質と能力とは? Rソックス、ヤンキースの躍進で明確に
重視されるコミュニケーション能力と聡明さ
ヤンキース・ブーン監督も就任1年目でプレーオフ進出を決めた 【Getty Images】
・若い選手たちと通じ合えるパーソナリティを持っていること
・データ分析に精通し、戦術に応用できること
GM、球団社長といったフロントが大きな影響力を持つ昨今のメジャーでは、重宝されるのは百戦錬磨の策士より、さまざまな年齢、人種の選手と心を通わせるコミュニケーション能力と、データを扱う聡明さを持った人物。だとすれば、より若く柔軟なパーソナリティの人物が監督に選ばれるのは当然なのだろう。
振り返れば去年のワールドシリーズでも、当時45歳のデーブ・ロバーツ監督のドジャース、43歳のA.J.ヒンチ監督のアストロズという若い監督が率いるチームが対戦。シリーズは7戦までもつれ込み、最高級のデータを用いているとされるアストロズが初優勝を飾った。この両チームの躍進は、メジャーリーグにおける成功のブループリントになっている感がある。
時代の流れを表す監督の移り変わり
代わりに雇われたのが、ミッキー・キャラウェイ(メッツ/43歳)、ゲーブ・キャプラー(フィリーズ/43歳)、ブーン(45歳)、コーラ(42歳)といった青年監督たち。中にはタイガースが60歳のロン・ガーデンハイアーに3年契約を与えたような例外もあるが、それ以外の一連の動きは、もうトレンドと呼んで大げさではない。
この流れのきっかけを挙げるとすれば、2002年のオフにレッドソックスが当時28歳だったアイビーリーグ出身のセオ・エプスタインをGMに起用して成功したこと。以降、選手経験はなくとも、セイバーメトリクスが得意な若き才人たちがGM、チーム編成担当を務めることが増えていった。
そんなエグゼクティブたちが望んだのが、よりフレッシュな青年監督たち。この潮流の最先端をいくヒンチ、ロバーツ、ブーン、コーラ各監督の成功も推進力になり、今後もその流れに拍車がかかる可能性が高い。
案の定、26日にはブルージェイズを7年に渡って率いてきた56歳のジョン・ギボンズ監督が辞任を発表した。その他、 62歳のバック・ショーウォルター(オリオールズ)、59歳のマイク・ソーシア(エンゼルス)も今季限りでの退陣が濃厚。ベテラン監督が去るのは寂しいが、ギボンスの「おそらく変化の時なんだろう」というコメントは何かを象徴しているのだろう。
昨季に続き、またしても若き指揮官が躍動しそうな18年のポストシーズン。「時代は変わる(The Times They Are a Changin')」と歌ったフォークシンガーがいたが、これも時の流れだということ。今季のプレーオフは、監督起用の面でもメジャーリーグの明白な変化を改めて感じさせる戦いになりそうである。