東海大のアタアタ「僕には日本しかない」 ラグビーW杯出場への熱い思い
U20世界大会でトライ王に
U20世界大会でトライ王に輝くなど、爆発的なスピードが武器 【斉藤健仁】
すでに日本代表キャップを獲得していたアタは、この大会のU20南アフリカ代表戦で、試合には負けたものの「ハットトリック」となる3トライを挙げた。ワールドラグビーのSNSではそのスピードを「新幹線」にたとえられるほどだった。そして、同大会では6トライを挙げてトライ王にも輝いている。
スピードがありスキルも高く、BKではSH以外のすべてのポジションでプレーできるアタを、日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHCも放っておくことはなかった。大学3年生となった2017年、アタはサンウルブズのスコッドに選出され、一気にスーパーラグビーでもブレイクするのでは……と期待されていた。
サンウルブズに招集されるも負傷でプレーできず
サンウルブズデビューは果たせなかったが、来季以降に選出の可能性がある 【斉藤健仁】
U20世界大会に出場した選手の中にはすでにスーパーラグビーや代表でも主力となっている選手もいる。アタは焦る気持ちを抑えつつ「サンウルブズでチャンスもらえたら、日本代表に呼ばれたかもしれない。(試合に出ることができず)ちょっと悔しかった。憧れの選手はニュージーランド代表FBベン・スミス(ハイランダーズ)です。早くスーパーラグビーの試合に出たいです」と言えば、木村監督も「アタはBKならどこでもできるし、FLやNo.8だってプレーできる。控えに入れておけば……」と、サンウルブズや代表レベルでの活躍にも太鼓判を押す。
「来年のW杯には強く出たいと思っています」
東海大の大学日本一、自身のW杯出場に向けて進んでいく 【斉藤健仁】
もちろん、その前に大学ラグビーで高いパフォーマンスを続けることも重要である。キャプテンとして東海大を初の日本一に導くような活躍を見せれば、当然、「(日本代表を)日本全土から選ぶ」というジョセフHCの目に再び留まる可能性もあろう。
膝のケガの影響もあって「体重が増えすぎている」と監督に指摘されたアタは、5キロほど痩せて現在の体重は112キロ。「もうちょっと減らしてもいいかな」と笑顔を見せたアタは「とりあえず目の前のことを一生懸命頑張って、自分のできること、強みをアピールしたい」と、まずはキャプテンとしてチームの先頭に立ちつつ、リーグ戦一試合一試合に集中している。
好きな言葉はトンガ語で「ありがとう、感謝」を意味する「Malo」。大学卒業後も日本のトップリーグでプレーすることを決めているアタは「僕には日本しかない。僕が日本でラグビーできるのは、トンガの両親や日本で関わってくれた人たちのおかげ」とチームメイトや周囲への感謝を胸に、大学日本一、そして、その先にあるワールドカップへまい進している。