新加盟クラブも加わったB2が熱い! Bリーグ3季目は“反撃”に期待

大島和人

昨季、怒とうの17連勝を挙げた茨城に注目

茨城は昨シーズン終盤に17連勝を挙げ、プレーオフ進出まであと一歩と迫った 【(C)B.LEAGUE】

 茨城は昨季の終盤戦に17連勝という怒とうの追い上げを見せ、プレーオフ出場まであと1勝と迫った。決して若いチームではないが、昨季は主将の眞庭城聖、PGの平尾充庸といった「アラサー世代」が得点への貪欲さを出し、成長を遂げた。今季は日本人の主力選手を残留させた上で、FE名古屋のエースだったシューターの福澤晃平を獲得。外国籍選手もジョシュ・デービス、コナー・ラマートと日本で実績のある2人を獲得した。また、カール・バプティストもアーリーカップで好プレーを見せていた。

 今季のBリーグはオン・ザ・コート数の制限がなくなった一方で、外国籍選手のベンチ入りが3名から2名に減った。そのため、使い分けは難しくなっているが、岩下桂太HCは3名の獲得と起用について、こう説明していた。

「インサイドは40分出し続ければ強いけれど、2日連続だし、現実的ではない。3人いればコンディショニングのマネジメントやけが、サスペンド(出場停止)に備えられる。相手によっては戦術的にローテーションできるし、練習の質も上がる。いろいろ考えると、3人いるメリットは大きい」

 中地区はおそらく混戦だろう。ただ西宮は松崎賢人(PG)、谷直樹(SF)、道原紀晃(PG/SG)、梁川禎浩(SG)と言った主力を残しており、B1経験も財産として残る。チームをB1昇格に導いた天日謙作コーチの退団は大きな不確定要素だが、昨季は富山グラウジーズの指揮を執ったミオドラグ・ライコビッチ氏が新HCに就任している。

 昨季の中地区王者FE名古屋はPGの成田正弘が秋田、SGの福澤が茨城に移籍するなど、戦力低下の感は否めない。ただしギャレット・スタツ、ジョシュ・ホーキンソンの強力インサイドは健在で、戦術の底上げがカギになる。

熊本は「三度目の正直」を十分狙えるシーズンに

熊本は今季こそ念願のB1昇格を果たしたいところだが…… 【(C)B.LEAGUE】

 西地区はB2初年度からハイレベルな争いが繰り広げられてきたエリアだ。島根は降格を喫したこともあり、ジョシュ・スコットが琉球ゴールデンキングス、渡邊翔太は三遠ネオフェニックスと、2名がB1に移籍した。また山本エドワード、岡本飛竜のガード陣もクラブを去っている。今季のスタートも波乱含みで、外国籍選手2名がプレシーズンに負傷し、ロスコ・アレンはすでにインジュアリーリスト入り。クラブはジーノ・ポマーレと急きょ契約を結んだ。

 一方で昨季は20連敗を喫しても温かい声援を送り続けていたブースターは、彼らの財産だ。残留を決めた鈴木裕紀HC、佐藤公威キャプテンを中心に再建を進めることになる。

 昨季の熊本はB2プレーオフで3位に入り、B1・B2入替戦に進出。しかし惜しくも富山に85−88で敗れている。

 ただし、昨季の入替戦で27得点を挙げた日本代表のPF中西良太、2季連続でB2のアシスト王に輝いた古野拓巳が今季も残留。「熊本の象徴」的存在であるSG小林慎太郎も含めて主力が残った。戦術的な積み上げは間違いなく大きな強みで、保田尭之HCの下で「三度目の正直」を十分に狙えるシーズンになるだろう。

 Bリーグ初年度に佐古賢一HC(現日本代表コーチ)の下でB1・B2入替戦進出を果たした広島は、尺野将太HCの下で復活を期している。尺野HCは2シーズン連続で横浜ビー・コルセアーズの「HC代行」を務め、チームを残留に導いた実績を持つ。

 朝山正悟は37歳の元日本代表で、2季連続で3Pシュートの成功率が40パーセントを記録しているチームのエースだ。昨季は選手兼任でチームの指揮を執ったが、今季は選手に専念する。今季は手薄だったPGに岡本飛竜、山田謙治とB1経験者を補強。インサイドには帰化選手の坂本ジェイを獲得している。坂本は腰の負傷で長く実戦から遠ざかったが、今季はプレシーズンから万全だ。

 B2は10月4日に開幕するB1に先駆けて、9月28日(金)に開幕する。B2でまず地域に根差そうと踏ん張っているクラブ、上を目指そうというエネルギーのあるクラブの戦いを、皆さんもぜひ見守ってほしい。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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