【U18日清食品トップリーグ2024 (女子) 大会レポート】混戦模様の中で数々の接戦を制した京都精華学園が連覇を達成

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【©U18日清食品リーグ】

9月7日の開幕から、2か月半にわたって日本中を“沸かす”戦いが繰り広げられたU18世代国内最高峰リーグ「U18日清食品トップリーグ2024」。女子は11月16日、国立代々木競技場 第二体育館にて閉幕を迎えました。

最終日は全8チームが一堂に会して4試合を実施。最終戦では5勝1敗で首位を走る京都精華学園(京都府)と岐阜女子(岐阜県)の直接対決が実現し、結果的には京都精華学園が71-64で岐阜女子を下して優勝を飾りました。昨年度の「U18日清食品トップリーグ2023」に続く、大会初の連覇となります。そして過去2大会で3位だった岐阜女子は、初の準優勝となりました。

インターハイ優勝の京都精華学園、準優勝の岐阜女子が、最終的には夏と同じ結果を残しましたが、この2か月半を振り返れば、どこが優勝してもおかしくない混戦模様を呈していました。というのも、開幕4週目の9月28日(土)、京都精華学園が慶誠(熊本県)に、岐阜女子が東海大学付属福岡(福岡県)に敗れ、早くも全勝チームと全敗チームが消える事態に。その後も全チームが星を分け合い、全28試合のうち半数以上の17試合が10点差以内の白熱したクロスゲームとなりました。実力の拮抗した各チームが、自分たちの色を出し、相手チームへの対策を練り込んで一戦一戦に臨んだ結果といえるでしょう。

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そんな中、京都精華学園は6勝のうち5勝が10点差以内という僅差でしたが、勝負どころをしっかりと押さえる試合巧者ぶりを見せました。特に11月は冬の全国大会の京都府予選の決勝リーグもあってハードなスケジュールでしたが、ベンチメンバーも含めた総力戦で連勝。「新人BEST5賞」を受賞した#13 満生小珀選手(1年/166cm)ら、控えの下級生も思い切りの良いプレーでスターターの5人を支え、キャプテンの#4 林咲良選手(3年/165cm)は、優勝記者会見で「スタート5人だけではなく、チームとしてしっかり全員で戦うことができました。コートに出た人が、ディフェンス、リバウンド、ルーズボールを意識して戦えたと思います」と胸を張りました。苦しい試合を全員で協力し合って何度も切り抜けてきたことは、選手一人一人の自信にもなり、チーム力も大きく底上げできたことでしょう。

その京都精華学園に次ぐ強さを発揮した岐阜女子は、大会を通じて足を使った激しいディフェンスが光りました。高さがない中でも組織力を遺憾なく発揮し、ダブルチーム、トリプルチームで相手の長身選手を徹底マーク。平均56.9失点というスタッツは、男女合わせた大会出場チームの中で最少の数字です。ケガ人にも苦しんだ中、その穴を埋めるべくオールラウンダーの#12 岡田紬葵選手(3年/170cm)らが台頭したことも大きな収穫で、安江満夫コーチは「チームとして“怪我の功名”というか、スタート5人だけでなくその次の選手たちも出てきました。それは試合になかなか出られない間も、ひたむきに練習に取り組んできたからチャンスをものにできたのだろうと思います」と目を細めます。主力に2年生も多い中、常にチームを引っ張り続けた3年生の#5 安藤美優選手(3年/171cm)は、「最終戦で敗れて悔しい気持ちでいっぱいですが、リバウンド、ルーズボールを取り切って、最後まで諦めずに試合ができたと思います。留学生のいない小さいチームでも、自分たちの戦い方はあるんだな、ということを学びました」と手応えを口にしていました。

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第3位には桜花学園(愛知県)がランクイン。3年生の#6 白石弥桜選手(3年/184cm)が平均20.1得点・11.0リバウンド、#4 阿部心愛選手(3年/175cm)が平均17.7得点・7.5リバウンドで、チームの両輪として仲間を引っ張りました。京都精華学園には10点差、岐阜女子には4点差で敗れたものの、上位2チームとも遜色ない実力を誇ることは間違いありません。阿部選手は「負けた試合はプレー云々の前に、ルーズボールへの追い掛けなど気持ちの見えるところが自分たちはできていない、とみんなで話しました。そこは全員で声をかけ合ってルーズボールやリバウンドへの意識を高め、最終戦で勝ち切ることにつながったと思います」と敗戦からの学びを語ります。

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続く第4位に滑り込んだのは、初出場の慶誠です。大黒柱の#0 ロー ジョバ選手(3年/187cm)は、優れた状況判断で得点王(平均27.3得点)&リバウンド王(平均18.9本 ※京都精華学園のユサフ ボランレ アイシャット選手と同数1位)に輝き、どの対戦チームにとっても脅威となりました。9月28日には女王・京都精華学園に唯一土を付ける大きな勝利を挙げましたが、試合終了前から、ジョバ選手が「勝っても内容が良くなければ良くないよ!」と声をかけてチームを引き締めていたのが印象的です。試合の内容にもこだわり、少しでも何かを得ようと戦い抜いた末の4位入賞といえるでしょう。

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インターハイ3位の昭和学院は、3勝4敗で第5位。開幕戦で大阪薫英女学院に敗れ、大会終盤には岐阜女子、京都精華学園、桜花学園の上位チームに一歩及びませんでしたが、それ以外の3試合では接戦を制しました。京都両洋戦では#7 石井杏奈選手(2年/175cm)が26得点、慶誠戦では#8 山下笑伶奈選手(3年/181cm)が2本の3ポイントシュートを含む21得点を挙げて勝利に貢献し、確かな自信を得た様子。今回2年ぶりの出場となりましたが、山下選手は「1年生の頃のU18日清食品トップリーグ2022では、相手のディフェンスに離されて何もできなかったので、そこから3Pシュートを練習してきました。そこは成長できたかなと思います」と、前回の出場と比べて自身の成長を実感できたと語ります。

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同じく3勝4敗で、第6位に入ったのが初出場の東海大学付属福岡。大黒柱の#20 チャラウ アミ選手(3年/188cm)以外は下級生主体のチームで、開幕戦は桜花学園に55点差で大敗する苦い経験もしましたが、9月28日には岐阜女子にインターハイ準決勝のリベンジを果たすなど、大会に爪痕を残しました。中盤からスタメンに抜擢された1年生の#7 豊田麻莉選手(1年/160cm)など、新たな戦力も台頭してきており、悔しさを味わう中でもチームは着実に成長を遂げた様子です。

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同様に下級生チームの大阪薫英女学院は、2勝5敗で第7位フィニッシュ。開幕戦で昭和学院を、翌日の第2戦で桜花学園を破り、理想的なスタートを切りましたが、勝ち続ける難しさも痛感させられる大会となりました。ただ、安藤香織コーチは前向きに「5連敗してたくさん負けてきましたが、その分、自分たちの課題がたくさん見えてやるべきことが明確になりました。今年は下級生が多いチームで、もしこの大会に出ていなければ、大阪府予選も勝てなかったかもしれません。去年の『U18日清食品トップリーグ2023』で4位に入って今年の出場権を得てくれた、昨年の3年生たちに感謝したいです」と語ります。スタメンの1年生コンビ、#11 杉山もも選手(1年/154cm)と#13 細澤幸生選手(1年/175cm)が2人そろって「新人BEST5賞」を受賞。こうした得難い経験が、彼女たちの今後の糧となるはずです。

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初出場の京都両洋は、1勝6敗で第8位という結果でした。勝ち星は大阪薫英女学院との初戦のみとなったものの、岐阜女子とは3点差、京都精華学園とは2点差、慶誠とは3点差の大接戦を演じ、課題とともに上位チームにも対抗できる手応えも得られた大会となりました。最終戦を終え、司令塔の#9 岡田彩葉選手(3年/162cm)は「インターハイに出ていない自分たちには経験がなくて、強いチームと試合をする中でその差をすごく感じました。でも自分たちもこの大会を通して経験を積めたので、プラスになる大会でした」とコメント。全国トップクラスの強豪相手の7試合は、チームを急速に成長させる価値ある学びとなったようです。

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毎年さまざまな点を改善しながら、無事に3年目の開催を終えた「U18日清食品トップリーグ2024」。例年に増して実力が拮抗しており、優勝、あるいは来年大会の出場権が得られる上位4チームの枠を懸けた争いは、最終日まで激しくもつれる結果となりました。タフな長丁場のリーグ戦を経験した京都精華学園、岐阜女子、桜花学園、慶誠の1、2年生は、1年後の「U18日清食品トップリーグ2025」の出場権を獲得しました。彼女たちを中心に、その年のU18世代トップレベルにある全8チームが集うであろう来年度も、日本中を“沸かす”熱い戦いに期待したいところです。

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著者プロフィール

「U18日清食品リーグ」ば、バスケットボールにおける部活・クラブなどの垣根を超えたU18年代の階層別リーグ戦です。リーグ戦文化の導入により、実力が拮抗するチーム同士の対戦や、多くの選手への出場機会、また、予定された試合/対戦相手を見据えた質の高い準備など、公式戦の試合数が確保された環境下で競技に取り組むことにより、競技力の向上を目指して設立した競技大会です。 今年度も「U18日清食品リーグ バスケットボール競技大会 2024」 として 「U18日清食品トップリーグ2024」 、「U18日清食品ブロックリーグ2024」を開催いたします。

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