【全日本プロレス】ゼウスが「三冠王者での優勝」へ前進 王道トーナメント2回戦進出者が決定

高木裕美

真霜が完全復活をアピール

真霜拳號(左)は石川修司を倒し、完全復活を高らかにアピール 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 初出場の真霜拳號は昨年度準優勝の現世界タッグ王者・石川修司を倒し、完全復活を高らかにアピールした。

 真霜は昨年6月、左膝前十字靭帯断裂と半月板損傷の治療のため靭帯再建手術を受け、約10カ月間にわたり欠場。今年のKAIENTAI−DOJO4.22後楽園大会で復帰を果たした。そして、そのブランクを感じさせることなく、今年の8.26海王トーナメントで優勝を果たすと、10.21K−DOJO後楽園大会では、滝澤大志の持つCHAMPION OF STRONGEST-K王座への挑戦も決定。シングル王座奪取に向け、今回の王道トーナメント優勝を宣言していた。

 対する石川は、昨年は4月に「チャンピオン・カーニバル」(CC)優勝、5月に三冠王座奪取、12月に「世界最強タッグ決定リーグ戦」優勝(パートナーは諏訪魔)と大活躍。現在も世界タッグ王座を保持しており、フリーながら、全日本のトップ戦線を担う存在となっている、

 昨年のCC公式戦では30分時間切れ引き分けと決着がつかなかった両者。石川は序盤からコブラツイスト、ダブルニードロップ、キッチンシンクを繰り出すと、真霜もドラゴンスクリュー、ヒザ十字固め。何とかロープに逃げた石川は、バックブリーカー、フットスタンプ、ファイヤーサンダー、フルネルソンスープレックスなど怒涛の攻めを見せると、スプラッシュマウンテンを狙うが、体勢が崩れてしまい不発。すかさず真霜が背後からスリーパーで組み付くと、石川はマットにたたきつけて必死にはずそうとするが、真霜も決して諦めず。3度目のスリーパーから胴絞めスリーパーに移行すると、レフェリーが試合を止めた。

 試合後、勝利した真霜の元にKAIが駆け寄り、一緒に世界タッグ王座挑戦をアピールするも、真霜は無視して退場。だが、KAIも追いかけていった。

 真霜は2回戦で同じく元三冠王者のドーリングと対戦。パワーファイターを相次いで撃破し、“巨人ハンター”としてさらなるステップアップを果たすか。

火野は5カ月越しのリベンジを果たせるか

火野裕士(右)はボディガーとの肉弾戦に勝利した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 3年ぶり2度目の出場となる火野裕士は、現アジアヘビー級王者のボディガーとの肉弾戦を制した。

 火野は初出場となった15年はベスト4に残る快進撃を果たし、今年のCCでも大暴れ。一方、ボディガーは7.29大阪で力道山ゆかりのベルトを戴冠し、50歳にしてシングル王者に輝いている。

 互いに圧倒的な筋肉量を誇るスーパーパワー対決は、開始早々、ぶちかましの応酬を繰り広げると、場外でも逆水平チョップ合戦を展開。ボディガーが鉄柵に投げつければ、火野も火野スープレックスを発射。ボディガーはラリアット、ダイビングエルボードロップ、ハイキック、顔面トラースキックと一気にたたみかけるも、火野がカウンターのラリアットからのFucking BOMBで粉砕した。

 火野は2回戦で崔と対戦。両者は今年のCC公式戦となる4.18愛媛で対戦し、崔が勝利。それまで4連勝していた火野は初黒星を喫し、結果的に決勝進出を逃している。それだけに、約5カ月越しのリベンジを果たし、3年前を上回る結果を残して、全日本マットに爪痕を刻み込めるか。

“最高男”が観客の声援をさらう

アジアタッグの前哨戦で、ベルトを引っ張り合う大森隆男(左)と青柳優馬(右) 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 アジアタッグ選手権試合前哨戦として行われた宮原健斗&ヨシタツ&青柳優馬組vs.大森隆男&ジョー・ドーリング&ギアニー・ヴァレッタ組の6人タッグマッチでは、“最高男”宮原が観客の声援をさらっていった。

 10.10後楽園では、大森がブラックめんそーれと組んで、野村&青柳組の持つアジアタッグ王座への挑戦が決定。大森は今年、秋山、中西学、木高イサミと組んで同王座に挑んでは敗れており、今回が4度目の挑戦となる。

 気合十分の大森はゴングを待たずに青柳めがけて突進し、激しいエルボー合戦を展開。セコンドのめんそーれも加勢すると、リングに戻してブレーンバスター、パイルドライバー。青柳もボディーアタックで反撃する。5分過ぎ、チェーンを手にしたヴァレッタが宮原に殴りかかろうとするが、宮原はこれをキックで阻止すると、回転足折り固めで3カウントを奪取した。

 宮原は大「健斗」コールの中、ベルトを腰に巻くポーズでアピール。一方、大森と青柳は互いにベルトの端と端を握り、綱引き状態で引っ張って、所有権を主張し合った。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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