【全日本プロレス】宮原が三冠V2 次期挑戦者にゼウス 秋山&新日本・永田がアジアタッグ防衛

高木裕美

「ジャパニーズドリームをつかみに来た」挑戦者

三冠ヘビー級選手権試合では、第60代王者・宮原健斗がディラン・ジェイムスの挑戦を退け2度目の防衛に成功 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 全日本プロレス「2018 ダイナマイトシリーズ」開幕戦となる12日の東京・後楽園ホール大会では、2大タイトルマッチなどが行われ、1053人を動員した。

 メインイベントの三冠ヘビー級選手権試合では、第60代王者・宮原健斗がディラン・ジェイムスの挑戦を退け2度目の防衛に成功。次期挑戦者にはゼウスが名乗りを上げ、宮原も「望むところだ」と受諾した。

 宮原健斗は3.25さいたま大会でジョー・ドーリングを破り、約5カ月ぶりに王座返り咲きを果たすも、春の祭典「2018チャンピオン・カーニバル」(CC)では、決勝戦でプロレスリング・ノアの丸藤正道に敗れ、三冠王者としての初優勝を果たせず。3年連続、三冠王者でありながら、外敵の優勝を許してしまった。だが、リマッチとなった5.24後楽園大会では、丸藤にリベンジを果たし、三冠王座防衛に成功。そこで次の挑戦を直訴したのがジェイムスであった。

 ジェイムスはかつてZERO1でジェームス・ライディーンの名で活躍し、団体の至宝である世界ヘビー級王座を獲得。初参戦となったCCでは成績は振るわず。だが、宮原は「ジャパニーズドリームをつかみに来た」ガッツとパワー、心意気に応じ、その場で挑戦を受けた。

「プロレス界、さらに面白くできる存在はオレ」

粘るジェイムスに対し、最後はシャットダウン・スープレックスでトドメを刺した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 宮原は前回の丸藤戦に続き、この日のチャンピオンでありながら先に入場。ジェイムスは崔領二と保持する世界タッグのベルトを携えて登場する。

 開始早々、ジェイムスは力比べで圧倒すると、場外戦でも鉄柵の外まで落とし、リングに戻して滞空式のブレーンバスター。さらにストンピング、ボディースラム、逆水平チョップ、エプロンへのチョークスラムといった多彩な攻撃を繰り出し、宮原は胸や背中を押さえてもん絶。宮原はパワーボムをウラカンラナで切り返し、垂直落下式ブレーンバスター、投げっぱなしジャーマン、ブラックアウトとたたみかけるが、ジェイムスがラリアット3連発。20分過ぎには投げっぱなしのハイアングルパワーボムで勝負に出るも、宮原がカウント2で何とかはね返すと、場内からは大「健斗」コール。ジャイムスはもう1発パワーボムを狙おうとするが、宮原が切り返すと、ブラックアウト2連発。ジェイムスがたまらずヒザをついたところへ、今度は顔面へのブラックアウト。これは2で返されるも、続くシャットダウン・スープレックスでトドメをさした。

 試合後、リングに上がったゼウスが「その三冠ベルト、オレに挑戦させてくれ。ええ返事待ってる」と呼びかけるも、宮原は即答せず。それどころか、何のアピールもなくリングを降りて花道を引き揚げようとするが、観客の声援でリングに戻ると、「次はどうやらゼウスのようだな。望むところだ」と応じた上で、「いつやるかはホームページを確認してくれ」と日程についてはその場で指定せず。「V2を達成したオレは、言いたいことがある。今のプロレス界、さらに面白くできる存在は、どう考えたってオレだろ? プロレスファンの皆さん、もっとオレに期待してくれよ。期待されればされるほど、オレは輝くから。オレに任せてくれよ」と呼びかけた上で、実際に観客にアンケートを取り、「満場一致で宮原健斗でーす」と、相変わらずの独断で結論づけた。

ゼウスは三冠獲得なるか?

試合後、リングに上がったゼウスが三冠挑戦を表明 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 宮原とゼウスは16年2.12後楽園大会で、王者・諏訪魔のアキレス腱断裂により返上された三冠王座をめぐって対戦。20分を超える激闘の末、宮原がシャットダウン・スープレックスで勝利している。この1勝で26歳11カ月にして三冠史上最年少王者となった宮原が、全日本マットで新時代を築き上げ、「最高王者」の称号を得たのとは対照的に、ゼウスはいまだ三冠王座戴冠を果たせず。タイトル挑戦の機会を得た今年の1.2後楽園でも前王者ドーリングに敗れるなど、チャンスをモノにできずにいる。

 今年の2.25大阪では、世界タッグ王座を懸けて対戦(宮原&ヨシタツ組vs.ゼウス&ボディガー組)。この時はゼウスがヨシタツをジャックハマーで沈め、タッグ王座を奪取しているが、三冠戦でも同様に王座移動劇となるのか。また、ゼウスは6.30札幌でKAIと、宮原も7.1札幌でジェイク・リーとの一騎打ちが組まれていることから、三冠戦はその前に行われるのか、それとも7月以降となるのかも気になるところ。事前発表されていたこのシングル2試合の結果いかんによっては、三冠戦に大きな影響を与えることも懸念される。まずは宮原の言う通り、こまめに公式ホームページをチェックすることが必要なようだ。

 何はともあれ、王座を奪取したドーリング戦、CC決勝の借りを返した丸藤戦、そして今回のジェイムス戦など、パワーやテクニックを持った強力な相手に対し、真っ向からぶつかっていった上で、すべてを受け止め、凌駕してみせた宮原は、まさに「プロレス界を面白くする存在」。強力なパワーを誇る大型外国人、全日本の至宝を狙う外敵を撃破し、下からの突き上げを狙う若手には立ちはだかっていった若き三冠王者が、2年半前、自身がスターダムを駆け上がるきっかけを作ってくれた存在ともいえるゼウスを下し、さらに輝きを増すことができるか。それとも、「三冠を巻きたい」という強い思いから、15年9月に全日本に入団したゼウスが、ついに悲願を果たす時がやって来るのか。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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