DeNA・ソトが打線をより強力に 素顔は真っすぐで心優しきカリビアン

日比野恭三

今季DeNAに加入したソト。チーム2位の25本塁打を放つ長打力と、3割近い打率を残す確実性を兼ね備える好打者だ 【(C)YDB】

 広島の優勝マジックが日に日に減る中、セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)争いも徐々に大詰めを迎えつつある。

 6位の横浜DeNAとしては、2位・東京ヤクルト(5.5ゲーム差)、3位・巨人(5ゲーム差)に追いつける可能性は依然として残されており、残り31試合の結果で命運が分かれることになる(8月27日現在、以下同)。

 先発投手陣の悪戦苦闘が続いている現状を考えると、CSへの道を切り開くには、1点でも多くの得点をもぎ取ることが必須。その点、DeNAの打線は直近4試合の平均安打数が10本超と活発化してきており、これをラストスパートの大きな動力源としたい。

 今シーズンの打線をより強力なものにしているキーマンの一人が、新加入のN.ソトだ。

安定したアベレージと長打力を兼ね備える

 プエルトリコ出身の29歳は、5月6日の巨人戦、日本球界での初打席でタイムリーツーベース、さらに第2打席でもホームランを放って華々しいデビューを飾った。交流戦では調子を落としたものの、リーグ戦再開後は持ち直し、ここまで打率2割9分4厘、25本塁打、60打点の好成績を残している。

 数字が物語るのは、安定したアベレージと長打力を兼ね備えているということだ。DeNAの打撃コーチを務める小川博文は、ソトのバッティングについてこう評する。

「キャンプの時からクセのないバッティングをしていて、日本の野球に対応できるんじゃないかと期待していました。彼が調子がいい時というのは、しっかり間が取れて上体が突っ込んでいかない。だから引っ張りはもちろん、右方向にも打てるし、高いアベレージが残っていく。日本では、インハイで起こしてアウトローに変化球という攻め方が多いから、そこの手出しはやめようよと伝えていますし、本人もそれをすごく理解しています」

 ただ、わかってはいても、低めの変化球についバットが出てしまうことはある。それがいわば調子のバロメーターになるわけだが、ソトを見ていて印象的なのは、数試合ほど当たりが止まってスランプに陥ったかと思いきや、急に調子を取り戻して勝負を決める一打を放つことだ。

内海に抑えられた夜、コーチとのやりとり

 たとえば、8月21日に始まった対巨人3連戦。

 初戦、2戦目とソトはノーヒットに終わりながら、3戦目の第1打席で先制ソロ、7回の第4打席でも2ランを放って快勝の立役者となった。

 実は、内海哲也に4打数無安打3三振と完全に抑えられた1戦目の試合後、ソトと小川の間で次のようなやりとりがあったという。小川が明かす。

「トレーナー室から出てきた時に、ぼくから声をかけました。同じような形で3三振してましたから、『あれはどないなっとんねん』と。ソトは『自分でもわからない』って言ってましたよ。でもね、そんなふうに言われて気を悪くするようなところが一切ないし、こちらに対しても敬意を払って、自分に起こったことをしっかりと伝えてくれる。だったら次はこうしようよ、という会話が成り立っていくんです」

 かたやソトは、その後、内海に封じられた自身の打席を映像でチェックしたという。異国のコーチの言葉にも真摯に耳を傾け、振り返りや相手投手の研究にも余念がない――。こうした素直さ、「おれは助けに来たんだ」などという驕り(おごり)とは無縁の真っすぐな性格が、不調を長引かせない要因の一つなのだろう。

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著者プロフィール

1981年、宮崎県生まれ。2010年より『Number』編集部の所属となり、同誌の編集および執筆に従事。6年間の在籍を経て2016年、フリーに。野球やボクシングを中心とした各種競技、またスポーツビジネスを中心的なフィールドとして活動中。

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