主力と「勇敢な若手」で勝利した浦和 天皇杯漫遊記2018 浦和対東京V

宇都宮徹壱

サブメンバーの東京Vが主導権を握れた理由

前半は苦戦したものの、しっかり勝ち切った浦和。最後はこの試合への思い入れの差が明暗を分けた 【宇都宮徹壱】

「今日は勝利を目指していたが、全体的にいいプレーができたことに満足している。普段、90分間プレーしていない選手を起用したが、いいトレーニングを続けていた彼らを私はリスペクトしているし、彼らが準備できていることを示す試合にしたかった。実際、浦和のような強い相手に対して、いいプレーを見せてくれた」

 90分で試合が終わったことに、密やかに安堵(あんど)しながら臨んだ監督会見。最初に登場した東京Vのロティーナ監督は、一定の満足感を示していた。確かにこの日の東京Vは、前半24分から後半の序盤までは試合の主導権を握ることができた。その理由について浦和のオリヴェイラ監督は、「今日は自分たちで試合を難しくしてしまった」と前置きした上で、このように説明する。

「立ち上がりではコントロールできていたが、(前半の)途中からブロックを形成できず、相手にボールを奪われて決定機を4つも作らせてしまった。(原因は)集中力の問題。試合をコントロールしているうちに、自信が過信に変わってしまい、いつでも勝てると思ってしまったのではないか。そこで相手の狙い通りにチャンスを与えてしまった」

 それでも最後は戦力差に加え、この試合に対する思い入れの差が明暗を分けた。ハードな日程の中、それでもメンバーを落とさなかった理由について、浦和の指揮官は「われわれにとって優勝の可能性がある大会なので、必ず勝ちたいと思っていた。もちろん連戦は考慮しているが、選手の回復状況が良かったので自信をもって起用した」と語っている。また、若い橋岡と荻原については「ふたりとも19歳や18歳という年齢だが、いずれも勇敢な選手だと思う」と評価。J2クラブ相手でもベストメンバーで臨み、途中出場の若手も期待に応えたという意味で、浦和にとっては実に満足のいく勝利であったと言えよう。

 最後に、他会場の結果についても触れておく。サガン鳥栖対ヴィッセル神戸では、フェルナンド・トーレスとアンドレス・イニエスタという元スペイン代表の共演が実現し、F・トーレスが来日初ゴールを決めた(3−0で鳥栖が勝利)。また横浜F・マリノス対ベガルタ仙台では、横浜FMに移籍したばかりの久保建英がスタメンフル出場を果たし、1アシストを記録している(ただし3−2で仙台が勝利)。このほか川崎フロンターレ、そしてJ2勢からは山形と甲府が準々決勝に進出。ラウンド16の残り2試合は9月26日に行われ、勝ち上がった8チームは、10月24日の準々決勝を戦う。

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著者プロフィール

1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著に『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)

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