新旧ミスタースワローズの共演でCSへ! 山田の打撃を加速させる「青木効果」
3度目トリプルスリーに40−40も視野
チームの顔としてファン投票でオールスターに選出された山田(左)と青木 【写真は共同】
東京ヤクルトが昨年から続いていたナゴヤドームでの連敗を「8」で止めた、8月11日の中日戦。ヒーローインタビューに呼ばれた山田哲人は、きっぱりと語った。この試合、“指定席”の3番に座って初回に先制のソロ本塁打を放つと、7回に同点打、8回には逆転の2点タイムリーなど4安打4打点の大活躍で、勝利の立役者となった。
翌日は1点ビハインドの9回、ショートへのゴロで懸命に走り、内野安打で出塁。続くウラディミール・バレンティンの逆転28号2ランを呼び込んだ。これで今シーズンの成績は打率3割1分8厘(リーグ6位)、28本塁打(同1位タイ)、26盗塁(同1位)。自身3度目のトリプルスリーのみならず、プロ野球史上初の40−40(40本塁打、40盗塁)も視野に入れている。
「ボール(球)は振らないし、甘い球は一発で仕留める。それがスゴいですよね。(体の)キレが最高にいいですよ。どちらかというとキレで打つ、回転で打つタイプなんでね」
今シーズンの山田をそう評するのは、杉村繁巡回コーチ。昨年は、レギュラー定着後では自己ワーストの成績に苦しみながら、ここまで復調した要因を「師匠」はどう見ているのか。
「(昨年は)WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)があって、十分な準備ができなくてシーズンに入ったからね。それにシーズンであれだけ負けたわけだから(球団ワーストの96敗)、自分がやらないといけないっていう精神的な重みというか、大変さがあったと思いますよ。昨年は(主力に故障者が続出して)ほぼ彼1人だったわけでしょ? 相手も山田さえマークしておけばっていうのがあった。でも、今年はメンバーを見た時に、1番から6番までタイトルホルダーがズラリといる。だから今は気分的に楽にやっているはずですよ。後ろ(4番)にはバレンティンがいるし、前(2番)で青木(宣親)がガンガン引っ張っているから、昨年とは条件的にまったく違いますよね」
青木の存在は大きいと語る杉村コーチ
「アドバイスもしてくれますし、あの姿を見るだけでも勉強になるじゃないですか。メジャーの話なんかをすることもあるだろうし、学ぶことは多いと思います。よく帰ってきてくれましたよ」
その「青木効果」は、山田も認めるところだ。
「大きいですね。引っ張ってくれてますし、どれだけ点差が開いて負けてても『この回から1点ずつ行こう』とか、そういう声も掛けてくれるので、ついていこうって思いますね」
青木と山田──。ともに「ミスタースワローズ」の象徴である背番号1を背負った2人の共演は、スワローズファンにとっては長年の夢だった。2人は、山田がまだルーキーだった11年のクライマックスシリーズ(CS)で、3試合だけそろってスタメンに名を連ねたが、そのオフに青木がメジャーへ移籍。昨春のWBCでは侍ジャパンの一員として邂逅したものの、ファンが見たかったのはスワローズのユニホームで戦う2人の姿だったのだ。
その夢が今年、ついに実現した。昨年はヤクルトにとってまさにどん底の年だったが、今春のキャンプ中に青木の復帰が決まったことで、今シーズンに向けて希望を抱いたファンは多かったはずだ。その青木は古巣への復帰にあたり、かつてプロ入りから6年間背負い、山田もルーキーイヤーから5年間着けた背番号23でプレー。久しぶりの日本で序盤は適応に時間がかかったものの、交流戦から調子を挙げて6月は打率3割8分8厘、4本塁打、22打点で月間MVPを獲得。7月も打率3割7分と打ちまくった。