日本柔道は全階級で金メダルを狙える
平岡拓晃、中村美里がアジア大会を展望
五輪でメダルを獲得した経験を持つ平岡拓晃(左)と中村美里に、アジア大会における柔道の展望を語ってもらった
五輪でメダルを獲得した経験を持つ平岡拓晃(左)と中村美里に、アジア大会における柔道の展望を語ってもらった【スポーツナビ】

 4年に1度の開催で45カ国が参加、実に40競技462種目が行われるアジア大会(インドネシアのジャカルタ、パレンバン)の開催がいよいよ8月18日に迫った。日本のお家芸・柔道は男女7階級と団体戦が実施され、いずれも金メダルが期待される。しかしアジアには柔道強国がそろい、五輪や世界選手権に劣らぬ激闘が展開される。その独自の雰囲気と実際の戦いについて、そして日本選手団へのエールを、大会の解説を務め、過去にアジア大会にも出場した平岡拓晃(ロンドン五輪銀メダリスト)、中村美里(北京・リオデジャネイロ五輪銅メダリスト)の両氏に聞いた。

中村「五輪とは違う独特の感じがある」

アジア大会について「五輪とは違う独特の感じがある」と、自身も2度の金メダルを獲得した中村(左から2人目)は語る
アジア大会について「五輪とは違う独特の感じがある」と、自身も2度の金メダルを獲得した中村(左から2人目)は語る【写真:ロイター/アフロ】

――アジア大会が近づいてきました。平岡さんは2010年の広州大会で銀メダル、中村さんは06年のドーハ大会で銅メダル、10年の広州大会と14年の仁川大会では金メダルを獲得し、アジア大会を実体験し、肌で知る身です。そんなお二人が知る、他の大会との違いやアジア大会独自の特徴を教えてください。


平岡 僕が出た広州大会は、階段を上がっていってその上に畳がある感じが五輪と似ていて他にあまりないし、選手村に入るのは他では五輪やユニバーシアードぐらいだったので特別感がありました。


――選手村に入るということで他競技の選手の方と交流することはあったのでしょうか?


平岡 減量があったので練習以外で動くと喉も乾きますし、ずっと部屋にこもっていました(苦笑)。もうひたすら部屋にいたので、選手村のことを聞かれても部屋のことしか記憶がないんです(笑)。


中村 私も五輪かアジア大会くらいでしか、そのように階段を上がって高いところで試合する機会はないので、印象に残っています。試合場も2面ほどしかなくて、本当に五輪に雰囲気が似ています。アジア大会は4年に1度で“アジアの五輪”と言われるくらいなので、海外の選手もすごく力を入れてきます。あと、私は部屋にこもりきりにはならず結構外へ出ていたんですけど(笑)、選手村は五輪と一緒で食堂が24時間開いており、広州・仁川の時は選手村の外に「ジャパンハウス」という日本選手用の施設があって、そこへ行き交代浴をしたりケアをしてもらって、すごくリラックスできました。


――国によってはアジア大会を、五輪や世界選手権に比する位置づけにしているところもあるようですが、やはり海外勢の意気込みは強いのですか?


中村 他の国際大会だったら諦めるようなところでもアジア大会だと粘ってきたり、執念がすごいんです(※関係者によればエキサイトして噛みつきや殴ったりといった反則まで見られることがあったという)。なので五輪のアジア版といっても五輪とも違うし、独特の感じがあります。

平岡「男子は豪華なメンバーがそろった」

男子は大野将平(写真)やベイカー茉秋といったリオデジャネイロ五輪のチャンピオンが出場するなど、豪華なメンバーがそろった
男子は大野将平(写真)やベイカー茉秋といったリオデジャネイロ五輪のチャンピオンが出場するなど、豪華なメンバーがそろった【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――では、各国がそういった力を入れて臨んでくるアジア大会において、今回の見どころを教えてください。


平岡 男子に関しては73キロ級の大野将平(旭化成)と90キロ級のベイカー茉秋(日本中央競馬会)、2人の五輪チャンピオンの出場で豪華なメンバーがそろったと思います。この2人は五輪チャンピオンに恥じない試合をしてくれるでしょうし、楽しみです。


――まず2階級の五輪王者の名前が挙がりましたが、その他の階級の代表に関しても解説をお願いします。


平岡 今回は全員がすごく楽しみなのですが、中でも飯田健太郎(100キロ級、国士館大)と佐々木健志(81キロ級、筑波大)の大学生コンビ。この2人は東京五輪にも関わってくるであろう、この階級の若手の1番手です。ここで勢いよくいい結果を出してもらいたいですし、王子谷剛志(100キロ超級、旭化成)の復活にも期待しています。


――王子谷選手は4月の全日本選手権で原沢久喜選手(フリー)に敗れ準優勝、3連覇とはなりませんでした。


平岡 60キロの志々目徹(了?寺学園職)に関しては、前回が銅メダルでその悔しさがあると思いますが、この階級は高藤直寿(昨年の世界選手権王者、パーク24)が1番手なので、その差を縮めるためにも最低条件として金メダルを取らなければ彼の今後が暗くなってしまうでしょう。66キロ級の丸山城志郎(ミキハウス)はサラッと優勝を飾ってしまうんじゃないかと思います。この階級は絶対エースの阿部一二三(昨年の世界選手権王者、日体大)がいますので、丸山は世界の舞台で阿部に直接対決で勝たないと五輪に出る術がないんです。それは丸山本人も分かっているでしょうから、その上で落ち着いた試合運びをして、得意とする内股、袖釣りを出してファンを魅了してほしいです。今回はどの階級を見ても金メダルを取れるメンバーが集まったと僕は思います。

長谷川亮

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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