講道館杯初V、阿部詩はモノが違う! 兄・一二三と「兄妹の時代」来るか

布施鋼治

会場をどよめかせた技のキレ

講道館杯を初制覇した高校2年生の阿部詩。大学生や社会人が出場するシニアの大会でも実力は抜けていた 【奥井隆史】

 この1年で、これほど成長した柔道家がいるだろうか。『平成29年度講道館杯 全日本柔道体重別選手権大会』(11月11〜12日・千葉ポートアリーナ)女子52キロ級は阿部詩(夙川学院高)が初優勝を遂げた。

「詩はモノが違う。当たり前のように優勝すると思うよ」
 大会2日目、もう30年柔道を見続けているベテラン記者はそう断言した。

 案の定、その読みはズバリ的中する。阿部が技を仕掛けるたびに何度会場からどよめきが起こったことか。キレが違う。スピードが違う。瞬発力が違う。いまの阿部の実力を高校生というカテゴリーだけに閉じ込めるのはナンセンスと言わざるを得ない。

大学生を圧倒も「もっとできた」

大外刈りで技ありを奪い優勝を決める阿部詩(右) 【奥井隆史】

 渡邉貴子(帝京大)との準決勝では、試合開始わずか16秒で得意の内股を決めた。相手をクルリと一回転半もさせたので、その直後には一本なのか技ありなのかで審議があったほどだ。

 決勝では阿部にプレッシャーをかけられただけで立川莉奈(福岡大)が場外に出てしまう場面もあった。ゴールデンスコア方式の延長戦に突入したのは、今夏台湾で行われたユニバーシアードを制したほどの腕前の大学生が、阿部のプレッシャーに押されまくり防戦一方になっていたからだろう。本戦で指導をふたつとっても、阿部が攻めの姿勢を崩すことはなかった。

「自分の柔道は一本を取りに行く柔道。最後は(一本を)決めたかった」

 とどめを刺したのは担ぐ素振りを一瞬見せかけ、相手の大学生の重心を下げさせたところで技ありを奪った大外刈りだった。17歳にして、この駆け引き。脱帽するしかなかった。

「警戒されて決めにくくなる部分もあるだろうと思っていたけど、内容的にそんなに不満はない。ただ、もっと違うこともできたと思います」

──もっと違うこととは?
「逆の技を入れたら、もっと自分の展開につなげられたかと」

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著者プロフィール

1963年7月25日、札幌市出身。得意分野は格闘技。中でもアマチュアレスリング、ムエタイ(キックボクシング)、MMAへの造詣が深い。取材対象に対してはヒット・アンド・アウェイを繰り返す手法で、学生時代から執筆活動を続けている。Numberでは'90年代半ばからSCORE CARDを連載中。2008年7月に上梓した「吉田沙保里 119連勝の方程式」(新潮社)でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。他の著書に「東京12チャンネル運動部の情熱」(集英社)、「格闘技絶対王者列伝」(宝島社)などがある。

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