サガン鳥栖を運営する株式会社サガン・ドリームスは１５日、都内で元スペイン代表ＦＷフェルナンド・トーレスの新加入会見を行った。

　この日、来日してすぐに会見場へとやってきたトーレスだったが、疲れた様子も見せずに笑顔で登壇。「できるだけ早くトレーニングに参加して、来週末には何分間でもいいので試合に出られれば」と、Ｊ１再開後、鳥栖にとって最初のホームゲームとなる２２日のベガルタ仙台戦への出場に意欲を見せた。

　アトレティコ・マドリー退団を発表後、複数のオファーが届いていた中で鳥栖を選んだ理由については「一番最初に関心を示してくれた」ことが重要だったといい、「日本は非常に人に敬意を払う国だと思いますし、文化的にも日本から学ぶべき点もたくさんあると思います」「新しい場所、新しい街での暮らしを楽しみたいと思っています」と日本での生活に対する期待感を語った。

　また、同じ１９８４年生まれで、同じタイミングでバルセロナからヴィッセル神戸に加入したアンドレス・イニエスタについても触れ、「アンドレスは非常にいい友人ですし、１５歳の時から一緒にプレーしてきました。同じ日に自分たちのチームに別れを告げて、同じような時期に日本に来る決断をしました。ですから私も彼も同じような動機を持っていると思いますし、両方とも日本をすごく愛しています」とコメントしている。

登壇者：
フェルナンド・トーレス
竹原稔（株式会社サガン・ドリームス代表取締役）
中西哲生（スペシャルゲスト）
佐藤美希（スペシャルゲスト）
サッシャ（ＭＣ）

サッシャ　本日はＦ・トーレス選手、サガン鳥栖新加入記者会見にお越しいただき、誠にありがとうございます。７月１０日にサガン鳥栖への加入が発表されましたＦ・トーレス選手はアトレティコ・マドリー、リバプール、チェルシー、ミランといったビッグクラブで活躍しまして、スペイン代表としても１１０試合に出場。２０１０年にＦＩＦＡワールドカップ（Ｗ杯）を制しただけでなく、ユーロ（欧州選手権）、ＵＥＦＡチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグのすべてで優勝経験を持つ、世界屈指のストライカーの１人です。このたび世界中からオファーのある中、サガン鳥栖が選ばれました。

竹原　本日は連休中のお忙しい中、サガン鳥栖に加入いたしましたＦ・トーレス選手のためにお集まりいただきまして、ありがとうございます。

トーレス　ミナサン、コンニチハ。ニホンノミナサン、サガンティーノノミナサン、コンニチハ。

中西　つい先ほど、空港に着いたばかりと伺っていますが、疲れはないですか？

トーレス　長い旅でしたけれども、本当に私はこちらに来られてうれしく思っていますので、疲れていません。何かご質問がありましたら、喜んで答えたいと思っています。

中西　まず体が完全にシェイプされているところを見ると、すぐ近いうちに彼を見ることができそうですね。以前、２０１５年にサガン鳥栖にゲームに来た時に、インスタグラムで「また、ここに戻ってきたい」という話をされましたが、それが本当に実現したことについてはいかがですか？

トーレス　私は本当にいつも日本では歓迎されているように感じていました。また、非常に温かい気持ちを示していただいていました。ですから、将来的にいつかこちらでプレーするのではないかと考えていました。それが可能になるかどうかは分かりませんでしたけれど、実現して本当にうれしく思っています。できるだけ早く、サガン鳥栖でプレーしたいと思っています。

中西　日本に来るまでの報道で来るのかな、来ないかなとヤキモキした瞬間があったんですけれど、日本でそうした報道があったことは知っていましたか？

トーレス　はい、認識していました。いろいろなマスコミでのニュースがあることは知っていました。いずれにしても、サガン鳥栖、竹原社長はいつも素晴らしい、明快な形でのネゴシエーションをしてくれました。わたしたちは毎日のように話を重ねることができましたし、それによって非常に良い結果が出て、私はここに来ることができました。いずれにしても、驚きがあったとは思います。私が考えるための時間を与えてくれて、私の意思を尊重してくださったことを本当にうれしく思っています。私が日本に来ることができるように非常に良い姿勢を示してくださって、ありがたく思っています。

佐藤　たくさんの国からオファーがあったと思いますけれど、このＪリーグを選んでくれたことが、Ｊリーグファン、関係者の皆さんもうれしく思っていますし、早くプレーする姿を見たいですよね。

中西　実際にはどのくらいからプレーできそうですか？

トーレス　トレーナーの意見も聞いて決めることになると思いますが、私はいろいろな形でトレーニングしていますし、できるだけ早くトレーニングに参加して、来週末には何分間でもいいので試合に出られればいいと思っています。また、本当に早く新しいチームでプレーしたいと希望しています。

中西　獲得までいろいろな難しい時期があったかもしれませんが、今ここにいるトーレス選手を見ていかがですか？

竹原　フットボールを愛する者としてうれしいということと、サガン鳥栖というチームに来てくれたことによって、今いる選手たちがよりクオリティーやモチベーションを高めて、よりいい成績にいけると確信しています。

中西　イニエスタ選手が日本（ヴィッセル神戸）に来て戦うことになりますが、これについてはいかがですか？

トーレス　アンドレスは非常にいい友人ですし、１５歳の時から一緒にプレーしてきました。同じ日に自分たちのチームに別れを告げて、同じような時期に日本に来る決断をしました。ですから私も彼も同じような動機を持っていると思いますし、両方とも日本をすごく愛していますし、敬意を持っていると思います。ですから、彼と試合ができることを楽しみにしていますし、いい試合になることを期待しています。

中西　日本の子どもたちにメッセージを。

トーレス　私たちが日本のＪリーグに来たことによって、Ｊリーグが世界に知られるようになり、そして日本の子どもたちがますますサッカーに興味を持って、サッカーをしたいと思うようになってくれればいいと思います。私たちのプレーで何か教えられることがあれば指導をして、将来素晴らしい選手になれるように貢献したいです。私が日本でプレーすることによって、日本のサッカーがもし向上することがあればうれしいですし、私は全力を尽くしてチームのために貢献するつもりです。また、私は子どもたちとプレーすることも好きですので、機会があればやってみたいです。

中西　Ｊリーグについてのイメージはどういったものを持っていますか？

トーレス　サガン鳥栖との交渉が始まってから、日本の試合を見るようにしてきました。そして日本の試合のレベルを見てきましたけれども、リーグ自体が非常に拮抗（きっこう）したチームが集まっているんだなと思います。これからもっと詳細が分かるようになると思いますけれど、勉強を進めることによって、そして私が入ることで、チームの勝利に貢献したいと思いますし、将来的にチームのレベルが上がることを期待しています。Ｗ杯の結果はスペインも日本もある意味で残念なところがありました（共にラウンド１６で敗退）が、これからもサッカー選手は将来を目指して頑張っていくと思いますし、私も頑張りたいと思います。

サッシャ　トーレス選手のここを見てほしいという、サッカー少年たちへのアドバイスはありますか？

中西　トーレス選手のゴールで一番よく覚えているのは、０８年のユーロの決勝で決めた、裏に抜け出してＧＫを（かわして）軽くループで浮かして決めたゴールを個人的にとても印象的に覚えています。世界のトップの選手の抜け目のなさとスピード、さらにテクニック、この３つの要素が組み合わさって、しかもユーロの決勝という舞台で決めたゴールというのはすごく参考になりましたし、彼はスピードもありますが技術もある。強いシュートだけでなく、柔らかいシュートも打てるというところは、ぜひとも日本の子どもたちに見てほしいところですね。

トーレス　私は世界中の重要なチームで試合をする経験がありました。中西さんがコメントしてくださったように、いろいろな技術を身につけられたのは、小さなころからいろいろなチームでプレーをして、いろいろなコーチや監督から指導を受けた結果だと思います。そういったことで、いろいろな方々から指導を受け、いろいろなチームでプレーしてきたことによって成長することができたと思います。ですから私が経験したように、もし日本の子どもたちがいろいろな形で勉強したい、学びたいという子どもたちがいたら、彼らのために私がトレーニングできたらいいと思います。それが私がサッカーによって学んだことの恩返しになると考えています。

佐藤　Ｊリーグのサポーター、サガン鳥栖のサポーターは本当に温かい方ですので、皆さんトーレス選手を応援していますし、素晴らしいプレーに期待していますので、ぜひ盛り上げていってほしいと思います。

トーレス　私のプレーを楽しみにしてくださる方がたくさんいると思います。なるべくスタジアムで私のファンの前でプレーを披露して、勝利を収められればいいと思います。長い間いい経験を積めればいいと思いますし、今までの経験に基づいて、社長の好意にも応えられるようにチームに貢献したいと思います。