F・トーレス「日本の文化を学びたい」 サガン鳥栖 新加入会見

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日本からいろいろなことを学びたい

鳥栖を選んだ理由は、「一番最初に関心を示してくれたから」と明かした 【スポーツナビ】

――あらためて、鳥栖に入団が決まった率直な気持ちは?

竹原 本当にうれしいと、シンプルな言葉でしか答えようがないです。偉大な、スペインで“神の子(エル・ニーニョ)”と呼ばれているトーレス選手を引き受ける、クラブとしての責任も重く感じています。

トーレス 私にとってはひとつの大きな挑戦です。サッカー選手としての挑戦ですし、また文化面においてもそうです。私にとって目標を達成することは大変重要なことです。クラブの目標は現在の状況からよりよい状況にいき、より上を目指すこと。また今後、数年間で重要なクラブになることです。非常に努力していけば、この目標は達成できると確信しています。私のサガン鳥栖での期間が終わった時には、そのような目標達成に向けての支援ができたと思うことができればうれしいです。アンドレス(イニエスタ)、私などスペインの選手は、できるだけヨーロッパから出て非常にいいプレーをして、皆さんのお役に立ちたいと考えています。

――今回の移籍で、たくさんのオファーから鳥栖を選んだ理由は?

トーレス 過去数カ月の間、いろいろな地区、いろいろな国から提案をいただきました。ただ、一番最初に関心を示してくれたのは竹原社長、サガン鳥栖でした。私にとってこれは非常に重要なことです。数カ月にわたり、話をすることができました。私は時間がほしいとお願いして、それを尊重してもらいました。私たちの必要なことをカバーすべく、いろいろとご尽力くださいました。私や家族にとって日本は非常に素晴らしい目的地で、新しい国で新しい文化、新しい言語、新しい国について学ぶことができるでしょうし、幸福な生活を送れるだろうと考えました。私たちは非常に難しいシーズンになっていますが、私はいつも挑戦をしてきました。すなわち、戦う、挑戦することによって前進してきたのです。同じような状況が今回もあると思いますので、すべてがうまくいくように願っています。

――現在、鳥栖はリーグ戦17位ですが、クラブはどのようなことを期待しているか?

竹原 今の順位は不本意であり、ファンの方にもすごく心配をかけている面はありますが、クラブとしてのポテンシャル、選手のチームワークは決して悪くありません。けがなど不運がつきまとったところがありますので、彼らのモチベーションも上がり、一段高みを目指すために前の選手(FW)を取って推進力を上げる。そして強いチームを作るトライアルをするために、絶好の選手だったと思っています。

――世界の一流リーグにJリーグが近づくにはどのようなものが必要か?

トーレス 時間も必要になると思います。スペインリーグ、またイタリア、イギリス、ドイツなどさまざまなヨーロッパのリーグは長い時間にわたり、子どもたち、あるいは選手を育成してきました。日本の場合はまだ歴史が浅く、他のチームのように100年経っていません。ただ、ここで重要なのは意志だと思います。うまくやろう、努力しようという意志が必要ですし、忍耐力と時間によって、恐らくよいリーグができると思いますし、ヨーロッパのリーグに近づくことができると思います。このような形で日本のリーグも世界の中でも非常に高いレベルを達成できるでしょう。ヨーロッパのリーグには有名な選手がいますが、そうした選手が日本に来てサッカーについて教え、ほかのヨーロッパ選手が日本に来ることも可能になるかもしれません。そうしてリーグの重要性を高めることもできると思います。

――今シーズンの具体的な数字の目標は?

トーレス 私はゴールの数で目標を定めたことはありません。もちろんゴールは決めたいですが、それはチームのためです。チームが試合に勝つ、次の試合に勝つことが需要なことです。ゴールを決めたいとは思っていますが、最終的な目標は試合に勝つこと、それが最も重要なことです。

――イニエスタ選手との対決はどのように臨むか? また、どこに注目してほしい?

トーレス アンドレスは世界でも一流の素晴らしい選手の1人だと思います。日本の方々も彼の試合を見たいと思いますし、私たちは今シーズンの最後の方に対戦できると思いますが、私はサガン鳥栖が勝てることを願っています。(編注:神戸vs.鳥栖は11月10日のJ1第32節)

――今回の移籍にあたって、家族とはどのような話をした?

トーレス 4年前(実際は3年半前)にマドリーに帰って、今までプレーしたことのないところでプレーしたいと思いましたし、違った文化のところで自分の子どもたちも経験できたらいいなと、言葉の違う国で住めたら、人々の行動パターンの違うところの文化を経験するのもいいなと思いました。今まで英国やイタリア、スペインでプレーしてきましたが、私たちの家族は非常に仲のいい、一体感の強い家族ですので、今まで行ったことのない国で一緒に楽しく過ごせればいいと思いました。その中で高いレベルのサッカーができればいいと考えていましたし、ここではそれができると思いました。1人の選手が入ったからといって、チームが急によくなるとは思いませんが、私が入ることによって、家族も非常にうれしく新しい人生を歩めますし、チームにも貢献できればと思います。

――サッカー以外で日本の生活で楽しみにしていることはあるか?

トーレス まず、日本からいろいろなことを学びたいと思います。日本は非常に人に敬意を払う国だと思いますし、文化的にも日本から学ぶべき点もたくさんあると思います。言葉自体は私は学べるかは分かりませんが、子どもの方が早く学べるのではないでしょうか。いろいろな国に行くたびに、いつもその国の文化に溶け込もうとしてきましたし、新しい場所、新しい街での暮らしを楽しみたいと思っています。今まで日本にはバケーションに来たことはありませんし、試合でしかありませんので、今回このような形で滞在するわけですから、素晴らしい日本という国での滞在を楽しみたいと思っています。私たち家族にとっても素晴らしい経験になると思います。

まずチームメートのことをよく知りたい

活躍のためには、チームメートを理解することが大事だとトーレスは語る 【スポーツナビ】

――Jリーグでプレーするにあたり、どのようなところに注目してほしいか?

竹原 人間としても素晴らしいトーレス選手というのは、ここ数カ月の交渉の間にも魅力を感じていきましたし、彼にクラブとして恋しましたので、この恋が最高の家族と一緒になって実り、日本のフットボールファン、サガン鳥栖のファンにも喜んでもらえるように、そしてサガン鳥栖の勝利につながるように全面のサポートを、トーレスと私たちの選手とサポーターにしていきたいと思います。

トーレス 新しいところに来るたびに常に高い期待をもって臨んでいます。できるだけ素晴らしいパフォーマンスをしたいと思いますし、皆さんの期待に応えられるようなプレーをしたいです。いいプレーをするためにはチームメートをよくすることが大切だと思いますし、サッカー選手としていいプレーをすると同時に、チームメートとして溶け込むことも大切です。ファンの皆さんに対しては、いつも100%、全力を発揮できるようにどのチームに入ってもやってきました。この責任は今回も必ず果たすつもりでいます。一生懸命努力する必要はありますし、必ずしもいいゴールになるかは分かりませんが、全力を尽くして全力で応えたいというのは私の気持ちです。

――代表でもクラブでも数々のタイトルを獲得してきた。その経験をどのようにクラブに還元したい?

トーレス 先ほども述べましたが、新しいところに来るたびに、私はまずチームメートのことをよく知りたいと努力をします。それから、プレースタイル、システムを勉強して、なるべく早く適応できるようにいつもします。そうすることでチームメートをいい関係を築き、プレーの中でよりよく理解できるようにしたいと思います。チームメートとチームとしていいプレーをしたい。それが私のゴールにもつながると考えています。私も今まで経験したことをチームメートに伝えたいと思いますし、いつも私たちは謙虚な気持ちで努力を続けてきました。ですから、基本となるのはチームの結束力で、友人と一緒に戦っていくこと。それがいい結果につながると考えています。

――先程もコメントがありましたが、日本以外にもたくさんのオファーがあったと思うが、スペインに残る選択肢もあったのか? スペイン代表はルイス・エンリケが新監督になったが、どのようになっていくと思うか?

トーレス アトレティコ・マドリーは今シーズンでやめると決めていました。それを決断した時からヨーロッパに残るという選択肢はなくなりました。でもあまり前に発表してしまうとリスクが高いと思いました。アトレティコで最後にプレーをすると決めて、一番いい結果を残すことができたと思います。

 新しい挑戦をどこでしようかと考えた時に、日本という選択肢が浮上してきました。そして、素晴らしいオファーをしてくれました。いろいろな意味で素晴らしい内容のオファーでした。サッカーという面でも家族の生活という面を考えてもいいオファーでした。私に対する信頼感がすごくあると感じられました。信頼感のあるオファーを受けるというのはやはりモチベーションにつながります。どのチームでプレーするかという時には、そのチームの名前がどれだけ大きいかではなく、一体感のあるチームかということもあります。

 08年のスペインは非常に結束力があるチームで、ユーロで勝つことができました。その次のシーズンもスペインは結束力で勝つことができました。当時は結束力がありました。その成果を取り戻すには、チームとしての結束力を取り戻すことが重要だと思います。

――アトレティコを退団して少し経っているが、現在のコンディションは? また鳥栖のプレースタイルを見て自分はどのようにプレーしようと思っているか?

トーレス リーガが終わってからもレベルが下がらないように、トレーニングをしてきました。フィジカルの問題のほかにも、チームメートと一緒に練習してリズムを把握するということもありますし、監督との話もあると思います。できるだけよい形でできるだけ早くチームに貢献できるようにしたいです。Jリーグは素晴らしいリーグですし、日本の選手も技術的にレベルが高いと思います。戦略的にうまくいかなくて、スペースができてしまうケースもたまにありますが、いずれにしてもいい選手がいると思います。

 私としてはできるだけいいプレーがしたいです。ただ、いずれにしても時間が必要だと思いますし、メンタル面でもよりいい状態になる準備が必要です。トレーニングをして、メンタル面でも努力して、より早く貢献できるようにはしたいと思います。それには経験も役に立つと思っています。新しいところに来たから結果が出せないという言い訳は通用しないと思っていますので、できるだけ早く貢献したいです。

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