本田「すべてW杯のためにやってきた」 W杯ベルギー戦後、選手コメント

スポーツナビ

吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)

「精神的な脆さが出た」ことを敗因に挙げた吉田 【写真:ロイター/アフロ】

「精神的な脆さが出たと感じている」

(今の気持ちは)大会を通して言えば、初戦から非常に印象深いパフォーマンスを世界に見せられたと思います。(結果について)今日に限って言えば、全く満足していないです。こういうビッグチームに対して2−0で70分までプレーできていて、そこから3点返されるのは、相手が大きい選手を入れてロングボールや中に簡単なクロスを入れ始めたとか、セットプレーからの失点もありましたけれど、僕は精神的な脆さが出たんじゃないかと感じます。それは経験からくるものなのか、自信からくるものなのかは分からないですが、向こうは多くの選手がビッグクラブでプレーしているので、その強さは僕らが学ばなければならない部分だと思います。

(精神的な脆さを感じた理由は)2−0になってミスが増えた。やっぱりちょっと受け身になって、裏へのボールよりも足元ばかりになって、そのミスを突かれて攻撃を受けた。なんとか踏ん張るけれど、CKやセットプレーからやられてしまう。結局、僕たちは小さいし、フィジカル的には弱いので、そうなる前に止めなければいけない。なので、もうちょっと試合をうまくマネジメントできたと思います。

(相手が高さ勝負できたときにどう対処していこうと話していた?)フェライニが入ってくるのは想定していましたし、そこでマークにズレが出たということはなかったんですけれど、CKのこぼれ球。(相手の)1点目は何回も入るシュートじゃないと思いますけれど、2点目はセットプレーの2次攻撃だった。ずっと言っていますが、そこの課題を修正できなかったのがすべてじゃないかと思います。2−1になったときは相手の勢いを何とか止めたいとは思っていました。

(勝ったと思ってしまったからミスが増えた?)もちろん勝ったとは思っていないですよ。ただ、このまま2−0でいきたい、という気持ちが足を止めてしまう。そういう隙を、彼らみたいな経験のある選手は突いてくる。そこからたくさんのことを学ばなければならないし、セットプレーが弱いのは高さ的な問題だったり、フィジカル的な問題は今日明日で変わるわけではないので。日本のクイックネスやアジリティーの部分で良さを出しつつも、もっと世界で通用する選手を輩出していかなければならないし、そこは日本全体がサッカー協会と選手がしっかり考えなければいけないかなと思います。

(4年前にはストライカー、センターバック、GKは日本としてプロジェクトを作って考えていかなければならないと言っていたが)(昌子)源とか(柴崎)岳とか、まだ国際経験が少ない中でも大会を通じて成長しているなと感じるところはたくさんあります。もちろんまだまだ足りないと思うところもたくさんある。4年前にも言いましたが、やっぱりたくさんの選手がヨーロッパでプレーして、揉まれて、学んでいかなければいけない。

 源にはずっと言っているし、(植田)直通にも言っているし、(鈴木)大輔には(ロンドン)五輪のときから言っていましたけれど、やっぱり彼らと対峙(たいじ)していないと、大舞台でいきなりやるのは非常に難しいと思う。そういう経験値の部分を、次の4年で高めていかないといけない。4年前も同じことを言いましたが、ここで終わりじゃないので。決してベスト16にいって、優勝候補にいい試合をしたという美談で終わらせるんじゃなくて、課題からしっかりと学んで、何をしなければならないかを選手も考えるし、協会も考える。そうしないと日本は強くなっていかないと思うので、ぜひ皆さんにも厳しい意見をお願いしたいです。

乾貴士(ベティス/スペイン)

手術の可能性もあった乾。「勝たないと意味がない」と勝利の重要性を語る 【Getty Images】

「姿勢は見せられたが勝たないと意味がない」

(クラブに)シーズン中に日本に帰ること許してもらいましたし、そこから手術以外の方法でけがを治していくということを日本のドクターとトレーナーが必死で考えてくれました。けがの状態で足も曲がらない、膝も曲がらないという状態の自分をギリギリまで待ってくれて、ガーナ戦も出られなかった中で23人に選んでもらいました。そういった感謝の気持ちをこの大会にぶつけたい、という思いがあって始まった大会です。

 最初は(FWを)宇佐美(貴史)でいくと思っていたはずだったと思いますけれど、パラグアイ戦でいいアピールができて、それも一緒に出てくれたメンバーがすごく一致団結して勝てたことが自分自身にとってはすごく大きな自信にもなりました。その勢いでこの大会に入ることができて、すごくいい大会になりました。ですが、やはりチームとして結局勝ったのは10人のコロンビア戦だけで、他の試合は1つも勝てなかった。今日もそうですし、勝てそうで勝てない試合がこれだけ続くと、やっぱり出ていないメンバーにも申し訳ないですし、ここまで来てもらったファン、サポーターの方にも申し訳ない気持ちで今はいっぱいです。

 後半から立ち上がりから自分たちのペースで入れたので、こういう負け方は特に悔しいです。ああいう形から2点を取れたというのは自分たちの思惑通りで、いい試合ができたと思います。ポーランド戦ではすごくいろいろなことを言われましたけれど、そんな中で今日は勝ちにいく姿勢を見せられたと思うので、それは良かったと思います。ですが、やはり勝たないと意味がないと言うか、悔しかったです。

(リードを守るのか、点を取りにいくのかの意思統一にばらつきがあった?)どうですかね。ある程度はできたと思いますけど、結果できていなかったのかなと。ボールを持てると思っていましたし、持ったら落ち着かせるというのはみんなの意識の中であったので。それは前半から変わっていなかったと思いますが、守備の部分で言うと、相手が交代選手を入れてきたり、フレッシュな高さのある選手を入れてきたり、そういうところで少しバタバタしてしまったところはあったのかなと思います。

(手応えは)大会を通してこのチームはすごく頑張ったと思いますし、いいサッカーをできていたと思う。世界でも戦えるというところは見せられたと思います。もちろんコロンビアは本当に強かったですし、セネガルの身体能力もすごかったですけれど、自分たちもボールは持てましたし、そういうサッカーはできるんだなというふうに思います。もしこれを4年間続けることができれば、もしかしたらもっと良いところにいけるかもしれないですし、2カ月で、ぶっちゃけぶっつけ本番でやっているようなものだったので、それでもこれぐらいのサッカーができるというのは、日本にとってはすごいプラスなことです。

 ベテランの選手が多いとは言われていますが、(柴崎)岳とか(原口)元気とか宇佐美とか(酒井)宏樹とかまだまだできると思うので、これを経験した選手たちが次の4年後に向けて(継続していってほしい)。新しい選手も入ってくるでしょうし、そういう選手も使っていけたらいいと思いますし。僕がどうこう言うことではないんでしょうけれど、スタッフも変わらず、このままこの悔しさを知っている人たちがやっていくのがベストだと思います。もちろん西野さんもそうですし、テグさん(手倉森誠コーチ)も、森保(一コーチ)さんは五輪もあるので難しいかもしれないですが、こういう経験をした選手、スタッフが続けることが一番いいんじゃないかなと思います。

長友佑都(ガラタサライ/トルコ)

肩を落とす昌子に声をかける長友は、敗戦にも胸を張る 【Getty Images】

「自分もチームも胸を張って帰りたい」

 実力通りかなと思います。相手も明らかに強かったし、やっていて「こいつら化けものだ」と思いました。自分たちも、2−0で勝ってる状況で「いける」って気持ちでみんないて、一瞬でも思ってしまって、夢を見てしまったから一瞬で砕けてしまった。これが世界との差だなと。

(2−1になったときは)正直、向こうが勢いづいたなと。1点取られて明らかに目を覚ましたというか、勢いが全く違ってきたし、途中で入ってきた選手、フェライニと22番の選手(ナセル・シャドリ)が相当なフィジカルとスピードがあって、セットプレーもめちゃくちゃ怖かったし、1点目で勢いづけたかなと思います。

(最後の失点の場面は)まだ映像を見ていないので分からないんですけれど、結局、もちろん数的不利でも守れればいいわけで。でもそんな簡単な世界じゃなくて、最後のシーンで相手があれだけの走力で前へ出てきた。僕たちはそれを戻り切れなかった。走力自体もレベルが違った(ということ)。

(相手に化けものと感じた部分は)全部僕らを上回っていました。クオリティーもそうだし、スピードもフィジカルも彼らのほうが上だった。結果は実力通りだなと。ただ、全部出し切ったというか、やれることはやったと思うので、自分もチームも胸を張って帰りたいなと思います。

(2010年のベスト16時は「ここが限界」と言っていた)監督もフィジカルの問題だと言いますけれど、走力とかフィジカル的なものは、日本サッカーで若い世代から取り組まないと世界のこのぎりぎりの戦いでは厳しいかなと思っています。技術だけでは勝てない。

(日本らしさを出しながらのベスト16だったが)それだから全部出し切ったというのがあって、後ろにベタ引きで守って、相手の攻撃を跳ね返すだけだと、今の気持ちはなかった。前から取りにいって、走ってつなぐサッカーをやれた。結局、負けているから、結果論で何も言えないんだけれど、自分たちが目指すサッカーはやり切ったと思います。

原口元気(デュッセルドルフ/ドイツ)

原口は「進むべき道を示せた」と手応えを語る 【Getty Images】

「日本が進むべき道を示せた」

 難しい。難しいですね。チームとして攻撃的にこうとして、大きな相手に対しても自分たちからアクション起こして先に2点取った。あそこまでは僕らの中でも本当にいいゲームをできている実感があった。でも、出し切った中で相手がすごく強くて、やられてしまったのは、力の差が出たというのが正直なところ。前半は正直しんどくて、粘って粘ってという方向でしたし、相手の強さを常に感じながらやっていました。

(後半よくなったのは)相手になれたというのもあるし、長く走っていた自分のところに(ボールが)きてなかったので、きたときには決めようと(思っていた)。自分の中では前半(失点を)ゼロで耐え抜けて、後半は(相手の運動量が)落ちると思っていたし、岳からいいボールがきて、狙い通りの形で僕が点を取れて、2点目は乾くんがいいゴールを決めてくれた。切り返そうかと思ったけれど、相手ががっつりくる気配がなかったのでそのまま打ちました。

(成長を感じた面は)自分というよりも、チームとしてどんどんよくなって強くなっているのを感じました。個人としてはまだまだで、自分が一番好きな左で勝負したい気持はありましたが、右でもできることをやってきたつもりです。僕はグループリーグでも点を取っていなかったし、チャンスがなくても走ろうとは思っていましたけど、右でも結果を出せたというのは(良かった)。

(ベルギーとの差はあった?)力の差がありますよね。それはやってる僕らが一番感じていた。チームとしては対抗できていたけれど、個の部分や高さとか。でも本当に、今回のW杯に関しては日本が進むべき道を示せたんじゃないかと思います。このクオリティーを上げて、さらに4年後に向けて1人1人が個人としてもう1つ上にいけるよう、チームとして進むべき道、日本としてこうやっていこうというのが見えたのではないかと思います。

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