新たな体験感覚「ゆるスポーツ」とは? ラグビーファンを掘り起こすきっかけに

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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

世界ゆるスポーツ協会の理事・事務局長を務める萩原拓也氏が講演を行った 【スポーツナビ】

 公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団と、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会が主催する「みなとスポーツフォーラム 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)に向けて」の第84回が6月12日、港区の麻布区民センターで行われた。

 今回は「ゆるスポーツ×ラグビー=普及の秘密兵器!?」というテーマで、一般社団法人世界ゆるスポーツ協会の理事・事務局長である萩原拓也氏を招き、ラグビージャーナリスト・村上晃一さん進行のもと講演が行われた。

ゆるスポーツは「誰もが楽しめる」

「イモムシラグビー」は特殊なウェアを身に着けて行うゆるスポーツだ 【写真提供:世界ゆるスポーツ協会】

 そもそもゆるスポーツとはどんなものなのか? これまで70個近くも“新競技”を生み出してきたという萩原氏は「年齢・性別・運動神経に関わらず、誰もが楽しめる新しいスポーツ」と説明する。

 ゆるスポーツが生まれたきっかけは、ノルウェー発祥の「バブルサッカー」という競技を見たのがきっかけだ。バブルサッカーとは風船のように大きな「バブル」を頭からかぶって行うスポーツで、萩原氏はこれを日本でも広めようと考えた。

「見た目はばかばかしいし、やっていることもふざけているんですが、体を動かすという意味では非常にいいなと思いました。そこで日本に持ってきたところ、テレビで放送してもらえるなどすごく受けたので、もしかしたら他のシチュエーションと組み合わせて新しいスポーツができるのではないかと考えました」

 ゆるスポーツは特殊なウェアを身につけ、寝転がってボールを運ぶ「イモムシラグビー」や、手にハンドソープをつけ、わざと滑りやすい状態にして行う「ハンドソープボール」など、ネーミングもルールも実にユニークだ。あえてプレーをしづらくする「ポップな障がい」を設けることで、プレーレベルに差がなくなり、大人や子ども、さらにはお年寄りから障がい者まで、誰もが平等に同じ競技を楽しむことができる。

「勝ち負けは大事かもしれませんが、それ以上にスポーツの間口を広げることによって、いろいろな人に参加していただきたいです。勝ったらうれしいし、負けても楽しいというような楽しみ方を作ることが重要だと思っています」

ラグビーの面白さと都市の魅力を「組み合わせる」

ユニークなスポーツが数多く紹介され、質疑応答も大いに盛り上がった 【スポーツナビ】

 萩原氏は、ラグビーには「ゆるスポーツとして生かせる要素がたくさんある」と語る。前述の「イモムシラグビー」の他に、ボールを帽子の上に乗せてプレーする「ハットラグビー」など、すでにラグビーを題材にしたゆるスポーツが開発されている。だが、まだまだ新たな競技を生み出す余地があるという。

「『ノットリリースザボール』など独特な反則名とか、ボールを持たない選手をどう生かすか、という戦術面にも注目している。コミュニケーションを取りながら、全員が主体的に動けるゆるスポーツを考えています」

 休憩を挟んで行われた第2部は会場との質疑応答を実施。各地でゆるスポーツのイベントを多数開催してきた萩原氏に対し、「代表戦やトップリーグとコラボしたら、どんな形で集客をするか?」という質問が寄せられた。萩原氏は「例えば200人対200人でスクラムを組んで対決するなど、多くの人にグラウンドに入ってもらえるようなスポーツを作りたい」と回答。ラグビーに興味がない人でも、ピッチに入って自ら体を動かす機会を設けることが、新たなファンを掘り起こすきっかけになると萩原氏は考えている。

 2019年のW杯は、北は北海道・札幌市から南は熊本県・熊本市までの全国12会場で行われる。世界ゆるスポーツ協会は今年、富山県・氷見市の「ご当地ゆるスポーツ」として、名物の寒ブリとハンドボールを組み合わせた「ハンぎょボール」という競技を編み出すなど、「スポーツ×地域」の取り組みにも積極的。12会場の特色とラグビーを掛け合わせ、都市の特色を味わいながら楽しめるスポーツのアイデアも披露した。

「例えば熊本はすいかが有名なので、それを使ってラグビーをするのも面白いと思います。観戦に来た人たちが、試合が終わった後にその町で楽しめるようなものを作りたいです」
 
 萩原氏にとってラグビーは「知れば知るほど面白い。するめいかのようなもの」と熱く語る、アイデアの源泉。そこに地域性やラグビー特有の戦術というエッセンスを加えることで、次々と新たな競技体験が生まれる。そうして誰もがボーダーレスに楽しめる入口が増えることで、ひいてはラグビーそのものの魅力を広めることにつながっていくのかもしれない。
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