【新日本プロレス】オメガがオカダの長期政権に終止符を打つ ジェリコ大暴走で内藤からIC王座奪取

高木裕美

敗れた内藤を痛めつけるジェリコにEVILが救出に

IC王座を獲得したジェリコ(右)は試合後も内藤を襲撃する大暴走 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ダブルメインイベントIとして行われたIWGPインターコンチネンタル選手権試合では、“Y2J”クリス・ジェリコが、内藤哲也を破り王座を奪取。過去にはWWEインターコンチネンタル王座を史上最多となる9度戴冠し、ベルトの価値を高め続けた男が、新日本のIC王座も手に入れた。制御不能な大乱戦を制し、試合後も内藤をいたぶりまくるジェリコに対し、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)のEVILが立ちはだかった。

 WWEスーパースターとして世界的な知名度を誇るジェリコは、今年の1.4東京ドームでオメガの持つIWGP US王座に挑戦し、大流血に追い込むも敗北。試合後は「もう日本に戻ってくることは二度とないだろう」とまで口にしていたが、翌日の1.5後楽園ホール大会に乱入し、内藤を襲撃。その後は沈黙を続けていたが、5.4福岡に突如姿を現し、花道で内藤を急襲し、大流血させていた。

 今大会での対戦が決定すると、ジェリコは5.22後楽園大会で自撮りのビデオメッセージを送り、「バカな日本人にはもったいない。ベルトの価値を高めてやるぜ」とIC王座への挑戦をアピール。これに対し、内藤も「彼が欲しいっていうんだから、賭けようよ」とタイトルマッチを受諾したが、なおもジェリコは6.4後楽園でも2度目の自撮りメッセージ。「クリス・ジェリコがオマエをスターにしてやる。オレと戦えば、誰もが有名人になれる」と恩着せがましく王座奪取を予告すると、リングに寝そべりながらビデオを見ていた内藤は、「長いよ」と3分以上にもわたる訴えにダメ出しした上で、「6.9大阪で、うるさいクリス・ジェリコを黙らせてやるから、覚悟しとけよ」と、2度にわたる襲撃のリベンジを予告していた。

 ジェリコはピエロのように両目に十字のペイントを施して登場。一方、内藤は真っ白なマスク&マント&スーツ姿で、ベルトを左手で引きずりながら入場すると、途中で花道にベルトを置き去りにしてしまう。だが、リングインを待たずにジェリコが奇襲攻撃。スーツ姿のままの内藤を床へブレーンバスターで投げつけ、本部席から奪ったテーブルめがけてパワーボム。さらにもうひとつのテーブル上でDDT。壊滅状態に陥った本部席だが、ようやくゴングが戻され、ここで試合開始のゴングが初めて打ち鳴らされる。

 なおもジェリコは内藤にナックルを打ち込むと、ダブルアーム式バックブリーカー、ライオンサルト、逆水平チョップ。内藤もツバを吐いて反撃に出ると、脱いだスーツでジェリコにチョーク攻撃。さらに割れたテーブル板で殴打し、テーブル上でのパイルドライバーでお返しする。ジェリコのウォールズオブジェリコ、内藤のデスティーノはお互いニアロープ。15分過ぎ、ジェリコがカウンターのコードブレーカーからライオンサルトを狙うが、内藤がヒザ剣山。さらに延髄斬り、グロリアとたたみかけると、ジェリコはレフェリーを突き飛ばしたスキに反則の急所蹴りを見舞い、コードブレーカーで3カウントを奪取した。

 すでに試合中から右目、左耳の辺りに出血が見られていた内藤に対し、ジェリコは手にしたばかりのベルトで顔面を殴打。さらに、コスチュームの革ベルトをはずし、ムチのように振り回すと、たまらずEVILが救出に駆けつけ、ジェリコにラリアットを炸裂。不意を突かれたジェリコだが、余裕を崩さず、ベルトを掲げながら得意げに退場した。

 自身も左手から出血しながらも勝利を手にしたジェリコは、「このベルトがオレのものになったということは、オレはまだ日本を去るわけじゃないということだ」と、時期は未定ながら、新日本マットへの継続参戦を約束。内藤が「いらない」と投げ捨て、置き去りにしてきたベルトに対し「食事をする時も、寝る時も、移動の時も、常に傍らに置いておく」と、初来日から26年の歳月を経て得た、IWGPの冠がつく至宝に対し最大限の敬意と愛を表すると、「誰であろうと、対戦する覚悟はできている」と、内藤との再戦をも受け入れる覚悟を示した。

 約350万人のフォロワーを持ち、今年の1.4東京ドーム参戦時も大会のインターネット生中継が見られる「新日本プロレスワールド」の加入者数を飛躍的に増やした、まさに世界的スーパースターのジェリコ。01年12月にはザ・ロックのWCWヘビー級王座&ストーン・コールド・スティーブ・オースチンのWWF(当時)ヘビー級王座を同日に獲得し、史上初のWWE&WCW統一世界王者となるという、あり得ないような偉業も達成していることから、今後も新日本マットにさまざまなサプライズと、さらにハードな戦いをもたらしそうだ。

ヒロムがオスプレイ初撃破でジュニア王座再戴冠

BOSJ覇者のヒロムがオスプレイを破り、ジュニア王座を再び巻くことに 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 IWGPジュニアヘビー級選手権試合では、今年の「BEST OF THE SUPER Jr.25」覇者の高橋ヒロムが、ウィル・オスプレイを破り1年ぶりに王座に返り咲いた。

 両者は昨年の5.31大阪でのBOSJ公式戦、そして今年の2.10大阪でも同王座を懸けて対戦し、いずれもオスプレイがオスカッターで勝利。6.4後楽園でのBOSJ優勝決定戦で石森太二を破り、初優勝を果たしたヒロムは、その場でオスプレイへの王座挑戦を表明。オスプレイもその場で受諾した。

 ヒロムはLIJのボス・内藤がリング上で破壊した優勝トロフィーを持って堂々と入場。6.4後楽園のリング上で謝罪し「オレが責任持って直す」と言っていたヒロムだが、トロフィーの片翼はもげたままだ。

 オスプレイは開始早々、場外戦で花道から跳躍を見せると、サスケスペシャル、リバースフランケンシュタイナー。だが、ストームブレーカーはヒロムのカナディアンデストロイヤーに切り返される。なおもオスプレイは雪崩式ブレーンバスター、トップロープに乗せてのシューティングスタープレス、コークスクリューシューティングスタープレスと大技を連発。しかし、ヒロムもカナディアンデストロイヤーから新必殺技のDにつなぐと、オスプレイは持ち上げて返そうとするが、なおも粘るヒロムに、今度は捻りを加えて脳天からたたき落とし、強引に引き離したところへコークスクリューキック。だが、ヒロムも場外へのサンセットパワーボムで床にダイレクトに投げ落とすと、D、Dの悪夢、コーナーへのデスバレーボムからのTIME BOMBで初勝利した。

 試合後、「間違いなくこのオレが世界最強のジュニアだ」と胸を張るヒロムの元へ、エル・デスペラードが駆けつけると、ヒロムも次期挑戦者に指名。BOSJ公式戦となる5.22後楽園では、22分48秒、ピンチェ・ロコでデスペラードが勝利しているだけに、「オレたちは相思相愛なんだよ」と勝ち誇るデスペラードに対し、ヒロムは「おまえのこの中身が大嫌いだから、愛せない」と、その覆面の下に隠された正体に思いを馳せつつ、「どうやら何かの線でつながっているみたいだな」と、何年も前から続く因縁があることを匂わせた。

棚橋&ライガー&ミステリオの豪華トリオは白星ならず

(左から)ライガー、ミステリオ、棚橋の豪華トリオが大阪城登場となった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第6試合では、棚橋弘至&獣神サンダー・ライガー&レイ・ミステリオJr.という豪華トリオが、Cody&ハングマン・ペイジ&マーティー・スカル組と対戦。夢の競演で客席を沸かせるも、白星は逃した。

 ミステリオは3.25ロサンゼルス大会でライガーと約21年3カ月ぶりとなる一騎打ちが予定されていたが、左上腕二頭筋腱損傷によりドクターストップがかかり、無念の欠場。当日は来場してファンに直接謝罪し、新日本マット再登場を約束した。ライガーは代わりに当時のIWGPジュニアヘビー級王者ウィル・オスプレイと対戦。試合後、オスプレイがミステリオに対し、将来の一騎打ち実現を訴えたが、そこにスカルが乱入。オスプレイにカサで殴りかかると、ミステリオのマスクを剥ぎ取る暴挙に出た。スカルは6.4後楽園でも放送席に座るライガーに挑発行為を繰り返し、試合終了後には棚橋をチキンウィングフェイスロックで締め上げるが、怒り心頭のライガーがリングに飛び出して棚橋を救出。マイクを握ると、この3人でのタッグ結成をブチ上げた。

 ライガー、棚橋、ミステリオの順で1人ずつ入場。ミステリオはライオンマークのハーフマスクという特別仕様で臨むと、因縁のスカルに高角度前方回転エビ固め、ローキック、ティヘラ。ライガーもロメロスペシャルで意地を見せ、棚橋がペイジにドラゴンスクリュー、ツイストアンドシャウト。ミステリオはロープに並んでもたれかかったペイジ&スカルに2人まとめて619を見舞うと、棚橋がペイジにスリングブレイド、プランチャ。ライガーはCodyに雪崩式フランケンシュタイナーを決めるも、反撃のクロスローズに力尽きた。

 試合後、ミステリオはライガー、棚橋と握手をかわし、抱き合うと、棚橋とライガーがミステリオの両手を挙げて健闘をたたえ合った。

ヤングバックスがヘビーのタッグ王座戴冠

ヘビー級のタッグ王座戴冠となったヤングバックス 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 IWGPタッグ選手権試合では、ヘビー級に転向したマット・ジャクソン&ニック・ジャクソンのヤングバックスが、EVIL&SANADA組を破り新王者となった。

 階級を超えて世界的に活躍し、「世界最高のタッグ」を名乗るヤングバックスは、過去にIWGPジュニアタッグ王座を史上最多となる7度戴冠。16年9月にはジュニアの階級のままブリスコブラザーズ(マーク・ブリスコ&ジェイ・ブリスコ)のIWGPタッグ王座に挑むも敗れており、今回が2度目の同王座挑戦となる。

 ヤングバックスは得意の機動力を生かしたファイトで王者組をかく乱するが、鉄柱に誤爆キックを打ち込んだニックが右ヒザを痛め、一転大ピンチに。それでも、王者組によるお株を奪うインディーテイカー、必殺技のマジックキラーを食らったマットをニックが救うと、EVILのEVILもマットが逆さ押さえ込みに切り返し、Skull Endもラリアットで反撃。EVIL、SANADAに続けざまに合体キックを打ち込むと、SANADAにモア・バング・フォー・ユア・バックで勝利し、王座を奪取した。

エルガンがNEVER王者に ジュニアタッグは鈴木軍が防衛

エルガンが3WAYとなったNEVER王座戦を制した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 NEVER無差別級選手権試合3WAYマッチでは、マイケル・エルガンが王者・後藤洋央紀、タイチとの乱戦を制し、初戴冠を果たした。

 エルガンは得意のパワー殺法で大暴れ。コーナーに上った2人をつかまえ、後藤にパワーボム&タイチにブレーンバスターを同時に放つと、さらに後藤にジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスを発射。後藤も牛殺し、裏GTRで反撃に出るが、ここでタイチがディーヴァのあべみほさんをリングに上げるという奥の手でレフェリーの注意を引き、そのスキにマイクスタンドで2人を殴打。だが、エルガンはタイチをつかまえると、コーナーにもたれかかった後藤めがけてパワーボムで投げ捨て、豪快なエルガンボムでタイチを粉砕。試合後はリング上で後藤とにらみ合った。
 第3試合では、6.4後楽園で抗争が勃発した鈴木みのると石井智宏がますますヒートアップ。試合後もイスを手にやり合い、エルボー、張り手の応酬となると、なおも収まらないみのるがバックステージまで追いかけていった。

 第2試合のタッグマッチでは、ジュース・ロビンソンがIWGP USヘビー王座のジェイ・ホワイトからパルプフリクションで勝利。タイトル挑戦を訴えた。

ジュニアタッグ戦は鈴木軍のデスペラードが3カウントを奪い王座防衛 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 IWGPジュニアタッグ王者組の金丸義信&エル・デスペラード組は、SHO&YOHのROPPONGI 3Kを下し3度目の防衛に成功した。

 両軍は3.6大田区で3WAYマッチで対戦し王座移動となると、リマッチとなった4.1両国でも王者組が勝利。だが、今年のBOSJ公式戦ではSHOがデスペラードから、YOHが金丸から勝利したことで、純粋なタッグ戦でのタイトルマッチが決定した。

 挑戦者組はドロップキックからダブルのノータッチトペで奇襲を仕掛けるも、キャリアで勝る王者組は場外戦に持ち込み、あっさり形勢逆転。それでも、デスペラードに合体カナディアンハンマー、金丸にはダブルニーを打ち込み食い下がると、金丸のウィスキーミストをデスペラードに誤爆させ、必殺技3Kで勝負に出るが、息を吹き返したデスペラードが阻止。SHOの猛攻をしのいだデスペラードがエル・エス・クレロで3カウントを奪い、王座を死守した。

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著者プロフィール

高木裕美

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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