[連載小説]アイム・ブルー(I’m BLUE) 第7話 選手の主張、監督の諦め

木崎f伸也
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木崎f伸也、初のフィクション小説。
イラストは人気サッカー漫画『GIANT KILLING』のツジトモが描き下ろし。

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【(C)ツジトモ】

 ユベンテスの練習場は壁に囲まれており、チームのトレーニングセッションが終わると、誰もいない公園のような静けさに包まれる。貸切状態になった芝生の上をジョギングしながら、上原丈一は約1年前の、屈辱的な負けを喫したシリア戦を思い出していた。



 この前日、日本代表のフランク・ノイマン新監督の就任会見が行われた。メーメット・オラル監督が事故に遭い、友人のノイマンが“臨時監督”として2030年W杯限定で指揮することになったのだ。

 会見でノイマンは「アーカイブルームにこもって、オラルジャパンの試合と練習をすべて見返す」と語っていた。鋭い目を持った戦術家なら、きっとオラルジャパンの戦術変更のきっかけになった試合に気づくだろう。そう、日本が0対1で敗れた、あの灼熱のシリア戦に――。
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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。金子達仁のスポーツライター塾を経て、2002年夏にオランダへ移住。03年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材した。現在は東京都在住。著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『革命前夜』(風間八宏監督との共著、カンゼン)、『直撃 本田圭佑』(文藝春秋)など。17年4月に日本と海外をつなぐ新メディア「REALQ」(www.real-q.net)をスタートさせた。18年5月、「木崎f伸也」名義でサッカーW杯小説『アイム・ブルー』を連載開始

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