史上最高の「ママっ子」、J・テイタム セルティックスの躍進を支える驚異の新人

佐々木クリス

意志の強い母の影響

テイタム(右)が大舞台でも活躍を残し、大人びた対応をするには、強い母の存在があった 【Getty Images】

 テイタムがこれだけの活躍を残し、大人びた受け答えでインタビューをこなすことができるには理由がある。それは“生まれた時から準備していた”からに他ならない。

“生まれた時から準備”の意味を紐解くためには、彼の希有な人生と、二人三脚で歩んできた母とのストーリーを知らずして語ることはできないだろう。

 テイタムの母、ブランディー・コールがテイタムの父との間に子を授かったのは19歳の時。大学、そして後にヨーロッパでバスケットボール選手としてプレーを続けた父ジャスティンは幼少期のテイタムや母の側にはおらず、ブランディーは1人でジェイソンを育てることとなる。しかも教室で……。

 16年4月に「僕の最初のクラスメート」というタイトルの記事を『The Player's Tribune』に寄稿しているテイタム。そこには彼の母がバレーボール選手としての奨学金を諦めた一方で、大学は何年かかろうと学位を得るまで辞めないという強い決意でセントルイス大に通い続けたと振り返って記されている。

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 しかもベビーシッターや祖父母が面倒をみられない時には、ブランディーは幼いテイタムを連れて大学に通い続け、生まれた時から8歳ぐらいまで一緒に学校に付き添った記憶があるという。母の努力の一方、現実的な問題にもたびたび直面したそうで8〜9歳の時には家賃の滞納から自宅退去命令も下されたこともあったそうだ。

 声を上げて泣く母を見ながら、幼いテイタムは多くを自問自答したという。それでも6年生の時に母は見事学士を取得。彼女の卒業式にテイタムがお祝いの言葉をかけると、母は「私たちが達成したのよ」と声を返したそうだ。法学部を卒業した今、ブランディーはセントルイスで弁護士を務めている。

 そんな強き母だからこそ、息子には「人様から絶対に『あなたにはそんなことできない』と言われても耳を貸すことはない」と強いメッセージを伝えていたそうだ。これだけ身近に模範がいるのだから、テイタムがそれを信じて進むことに時間はかからなかっただろう。

コート内外での二人三脚

 さらにテイタムは通信簿の成績が母の基準に満たず、トーナメントの出場を止められたエピソードも披露している。そこから母が言うことは「真剣なんだ」と心を入れ替え、新たな二人三脚が始まった。「コートの外でやることは、コートの中でやることと同じかそれ以上に大事」という言葉を胸に、学業、地域への貢献活動などにも背中を押されたテイタム。身体が大きく育つとともに、心も成熟したに違いない。

 ある時、テレビを見ながらゴロゴロしていると、突然「あなたがインタビューをテレビで受ける側になったらどう応えるの?」と迫られ、「そんなインタビューはされないよ」と返したことがあったと言う。もちろん母の厳しさを再認識することになるのだが、そこからリモコンをマイクに見立ててヒーローインタビューの練習に発展したという。テイタムはそんな練習が「今メディアに質問を受けるときに緊張せずに済んでいる大きな要因だ」と認めている。

 先日、母の日に大好きな母との写真をSNSにアップしたテイタム。1年だけ在籍したデューク大の卒業に関しても「コーチはあなたが学位を取らなければ永久欠番にはしてくれない」と母は釘を刺しているそうだ。

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 強い絆で結ばれた2人はこれからも多くのことを達成していくことだろう。「彼女は僕の親友」と言うテイタム。ただそれだけでは足りなかったのか、「僕は史上最高のママっ子、誇りを持って宣言するよ」と胸を張る。2人が達成する偉業はまだまだ続くだろう。

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