トロロッソに必要なあと一歩の前進 上位進出も下位低迷も紙一重

F1速報

上海以降の不振解消に一つの答え

スペインGP決勝ではグロージャンのスピンでヒュルケンベルグとガスリーの3人がリタイア 【Sutton Images】

 トロロッソ・ホンダの第5戦スペインGPは、12位とリタイアという残念な結果に終わった。しかし上海での大不振から抱え続けてきた疑問には一つの答えが出た。その意味では得たものは大きかった。

 ピットガレージから決勝のグリッドへ向かう3周のレコノサンスラップで、ピエール・ガスリーはマシンが「今季最高の仕上がり。バーレーン以上だ」と感じたという。

 バルセロナは風が強く時折突風が吹く難しいコンディションだったが、金曜の段階では明確な答えが出せず「風かタイヤか50%−50%というところかもしれない」としていたガスリーだが、予選・決勝ではこれまで風の影響を受けてダウンフォース発生量が左右されやすかったSTR13の空力パッケージをうまくセットアップする方法を見出すことができたようだ。

 その上で、上海以降のレースで4位に入賞したバーレーンのようなパフォーマンスを発揮できていないのはタイヤの扱い方に原因があるということがはっきりしてきた。

「タイヤをうまく温めて機能させることができなかったのが要因のひとつだった。特にレースに関してはね。このタイヤはウインドウ(適正温度領域)がすごく狭くて、うまくそのウインドウ内に収めることができなかった。僕らはまだタイヤの機能のさせ方を学んでいる途上なんだ」

タイヤの性能を引き出す難しさ

スペインGP予選では12番手と好調な位置についたガスリー 【Red Bull Racing】

 その難しさをガスリーはこう説明する。

「温度が5度違っただけで性能が大きく違ってきてしまうんだ。トラフィックに引っかかってプッシュできないと温度が下がってマシン挙動やマシンバランスは大きく変わってしまう。スイッチオンできるかどうかで簡単に0.4〜0.5秒も違ってきてしまうんだ。決勝でも前走車の背後についてコーナー5つも走れば簡単に作動温度領域から外れてしまう」

 実際には適正温度の幅は30度ほどある設計になっているが、その幅の中でもグリップレベルの増減はあり、最適温度の中心から遠ざかれば遠ざかるほどグリップは下がる。ドライバーたちが“適正”と感じるグリップレベルを発揮するための適正温度幅は30度よりももっと狭く、10度前後しかないというわけだ。

 予選で12番手に留まったのも、アウトラップでトラフィックに引っかかり「タイヤの温度が理想的な状態ではなくて、マシンのポテンシャルをフルに引き出せたとは言えないから」という。

 ストレートの立ち上がりで遅れを取ることが多いのも、パワー不足もさることながらタイヤの性能をフルに引き出せないことの方が大きいとガスリーは語る。

「原因はパワーユニットではなく車体のメカニカルグリップにあると考えるのが妥当だよ。そしてそれはタイヤから本来のグリップが引き出せていないためで、それは正しい作動温度領域に入れられていないからなんだ。それはセットアップの方法とタイヤの使い方によって改善することができるはずだし、それができれば大きく進歩できるはずだよ」

1/2ページ

著者プロフィール

現在、日本で唯一のF1グランプリ速報誌。サイトでは最新ニュースとともに、ウェブ限定のオリジナル記事を多数掲載しています。現場からの速報だけでなく、独自の分析やバラエティ企画も充実。F1ファンが、もっとF1を楽しむための場を目指して、これからも進化していきます。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント