トロロッソに必要なあと一歩の前進 上位進出も下位低迷も紙一重

F1速報

好フィーリングは結果には結びつかず

ハートレーはFP3で大クラッシュ 【Sutton Images】

 決勝直前のフィーリングでは、セットアップとウォームアップ方法によってその使いこなしができるようになっていて「最高の仕上がり」になっていたというわけだ。

 ガスリーが1周目の事故に巻き込まれてしまいその成果を見せることができなかったのは残念だった。発進加速は良かったものの中央突破を狙ったところを前のマクラーレンとハースに閉じられて行き場をなくし、スロットルを戻してテールライトが点滅しているのが他車の車載映像に捕らえられている。それがなければ事故は避けられた可能性が高いだけに、悔やんでも悔やみきれない。

 フリー走行3回目で不注意からターン9入口の芝生にタイヤを落として大きなクラッシュを演じたブレンドン・ハートレーは、決勝の単独走行時にはマクラーレンやルノーと同等の速さを見せていた。しかし最後尾スタートのためガスリーが言うようにタイヤの温度をうまく維持することができず、セルゲイ・シロトキンやマーカス・エリクソンを抜けずに抑え込まれてしまったために本来のペースを発揮することはできなかった。

ミスを犯すとたちまち下位へ

 スペインGPでは、ここまでの不振に対する一つの答えにたどり着きマシンをいいレベルに仕上げることができたが、それでもなお実力ではまだ中団グループの中間地点に過ぎないこともはっきりとした。少なくとも予選では中団上位を争うハースやルノーには及ばず、マクラーレンに次ぐ中団の中間だ。大接戦の中団グループだからこそ、ミスを犯すとたちまち中団の下位に位置するザウバーやウイリアムズに飲み込まれてしまう。

 開幕戦からの5戦を振り返ってみれば、バーレーンGPのガスリー以外はすべてレース週末全体をミスなくまとめ上げられず、本来のポテンシャルを引き出せず得られたはずのポイントをいくつも逃している。スペインGP後に行なわれた合同テストでも、パワーステアリングのトラブル(開幕前テストや中国GPフリー走行でも出ている)や冷却系からのオイル漏れといったトラブルで走行時間を失い、そこでやるべきだったスペインGPの週末に見えた答えの検証が充分にできなかった。

 こうしたミスを減らしていかなければ、トロロッソ・ホンダはチームとして中団グループの上位へ駒を進めることはできないだろう。逆に言えば、バーレーンではそれができたからこそ中団のトップを快走することができたとも言える。

 すべてをまとめ上げて再びそこに舞い戻ることも、ワンミスで下位へ低迷することも、ほんの僅かな差で起こり得る。それが今のF1の中団グループだ。スペインGPで明らかになったのは、その中で好結果を出すためにはトロロッソ・ホンダはチームとしてあと一歩の前進が必要だということだった。

(テキスト: Mineoki Yoneya)

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