ラ・リーガで「有終の美」を飾るのは? 主要クラブ、それぞれのシーズンを総括

中小規模のクラブも健闘光る

目を見張るポゼッション・スタイルで、今季の台風の目となったベティス 【Getty Images】

 一方ではアンダルシアのファンたちもまた、喜びとともにシーズン終了を迎えようとしている。何より近年はほぼ常に宿敵セビージャよりも下位に甘んじてきたベティスは、キケ・セティエン監督の指揮下で上質なフットボールを実践しながら、余裕を持ってEL出場権を獲得している。

 セビージャも、最終的には1試合を残してEL出場権を確保した。今季のセビージャは何とも不思議な1年を過ごした。エドゥアルド・ベリッソの早すぎる解任を経て、ビンチェンツォ・モンテッラの指揮下ではマンチェスター・ユナイテッドを破って60年ぶりとなるCLベスト8入りを果たし、国王杯でも決勝まで勝ち進んだ。

 だが、バルセロナとの国王杯決勝では0−5と大敗し、その後は選手たちのモチベーションが急降下。そこでクラブは強化部長と監督の解任に踏み切り、残り4試合の指揮を託したホアキン・カパロス監督の手で、最低限のノルマである欧州行きを決めることになった。

 また素晴らしいシーズンを全うしたバレンシアについても触れなければならない。何年も迷走し続けてきたチームを請け負ったマルセリーノ・ガルシア・トラル監督は、5位ビジャレアルに大差をつけて4位を確定させ、CL出場権を獲得した。並行してロドリゴ・モレーノ、ゴンサロ・ゲデスらの成長も促し、常にコンパクトにまとまった好チームという印象を見る者に与えてきた。

 最後に、若いパブロ・マチンに率いられ、1部初挑戦にしてEL出場権に手をかけたジローナの躍進も大いにリーグを盛り上げてくれた。ホセ・ルイス・メンディリバル監督の続投が決まったエイバル、昇格1年目でこちらも大健闘したヘタフェ、2度目の監督交代を機に降格圏を抜け出したアラベスにも、賛辞を贈りたい。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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