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好調の山縣、ガトリンを本気にさせるか
女子800mで“夢の1分台”突入は?
20日開催の「セイコーゴールデングランプリ2018大阪」。注目はやはり男子100m。今年も世界王者・ガトリン(右)が参戦
20日開催の「セイコーゴールデングランプリ2018大阪」。注目はやはり男子100m。今年も世界王者・ガトリン(右)が参戦【写真:アフロスポーツ】

 国際陸上競技連盟(IAAF)ワールドチャレンジ第2戦となる「セイコーゴールデングランプリ2018大阪」が、5月20日に開催。舞台は昨年までの等々力競技場(神奈川県川崎市)から移し、2010年まで同大会の前身「国際グランプリ陸上大阪」が行われていた日本屈指の高速トラック・ヤンマースタジアム長居(大阪市)となる。


 今大会で最も注目を集めそうなのは、やはり男子100mだろう。


 日本人初の9秒台スプリンター・桐生祥秀(日本生命)、日本歴代2位タイの10秒00を持つ山縣亮太(セイコー)、一昨年の日本王者・ケンブリッジ飛鳥(Nike)、そして地元の期待を背負う多田修平(関西学院大)――。日本のトップスプリンターが勢ぞろいし、昨年のロンドン世界選手権金メダリスト、ジャスティン・ガトリン(米国)に挑む。

エンジンかからぬ桐生は今後の試金石に

春先から安定した走りで好タイムを出している山縣。ガトリン相手にどこまで本気にさせられるか
春先から安定した走りで好タイムを出している山縣。ガトリン相手にどこまで本気にさせられるか【写真は共同】

 それぞれの出足を見てみると、好調さがうかがえるのが山縣だ。


 3月22日のサマー・オブ・アスレティクスGP(オーストラリア・ブリスベン)では雨のレースながら10秒15(+1.7)をマーク。4月末の織田記念国際(広島)ではケンブリッジと直接対決し、タイムは10秒17(+1.3)ながら完勝した。2年ぶりの出場となる自社“冠”大会には、織田記念で今ひとつだったスタートダッシュも含め、きっちりと仕上げてくるに違いない。


 織田記念では遅れを取ったケンブリッジだが、まだ感覚と実際の動きにずれがあった様子。冬季は米国アリゾナ州のプロチーム「ALTIS」に拠点を置き、リオ五輪100m銅、200m銀メダルのアンドレ・ドグラス(カナダ)らと汗を流した。そこで苦手なスタートを無理なく出られるかたちに変えるなど、手応えは得ている。スタートからスムーズに加速に乗れれば、得意の後半の爆発力がより生かされるだろう。


 桐生と多田は、織田記念を回避。桐生は5月3日の静岡国際200mからシーズンインとなったが、体調不良の影響で5位にとどまるなど、まだエンジンがかかっていない。5月12日のIAAF・ダイヤモンドリーグ(DL)上海大会で迎えた今季初の100mは、10秒26(−0.5)で9位。世界トップレベルの争いを肌で味わったことで、どこまでギアが切り替わるか。冬季練習自体は順調にこなしており、100m2戦目の今大会が今後への試金石となりそうだ。


 多田は3月3日のオーストラリア・ブリスベンでの100mからシーズンイン。国内の記録会などで調整し、関西インカレ(5月10日〜13日)をへて、今季初のビッグゲームがこの大会となる。持ち味のスタートから中盤への爆発力はまだ出し切れていない感があり、関西インカレも100mは55年ぶりの4連覇を飾ったが、タイムは10秒30(−1.5)と伸び悩んだ。インカレを皮切りに一気に“試合モード”にもっていきたいところ。昨年、この大会でガトリンを中盤まで抑えたことが、その後の飛躍へのきっかけとなった。再び、世界へつながる走りとなるか。


 3年連続の参戦となるガトリンは例年、10秒00前後にまとめてくる。つまり、ガトリンに勝てば、おのずとタイムもついてくるはず。36歳の世界王者を、本気にさせるような日本勢のスプリントを期待したい。7月のU20世界選手権(フィンランド・タンペレ)を目指す宮本大輔(東洋大)にとっては、国内外最高峰の選手たちとのレースは貴重な経験となるだろう。自己ベスト(10秒23)を10秒1台までもってこられれば、大きなステップとなる。

男子中距離もハイレベルな争いに期待

中距離の男子800mでは村島匠(左)、花村拓人(中央)らが強力な外国勢に立ち向かう
中距離の男子800mでは村島匠(左)、花村拓人(中央)らが強力な外国勢に立ち向かう【写真:松尾/アフロスポーツ】

 男子200mには、17年世界ランク1位(19秒77)のアイザック・マクワラ(ボツワナ)、3月の世界室内選手権60m4位の謝震業(中国)がエントリー。対する日本勢は、第一人者の飯塚翔太(ミズノ)が3月の米国合宿で腸腰筋のあたりに違和感が出た影響でシーズンインを遅らせ、この大会が今季初戦。ベテランの藤光謙司(ゼンリン)も4月22日の出雲陸上300m(33秒36で5位)の後は織田記念100m、静岡国際200mともに回避しているだけに、勝負できる状態を整えられるか。逆に静岡国際日本人1、2位の原翔太(スズキ浜松AC)、山下潤(筑波大)は見せ場を作っておきたいところだろう。


 記録と勝負の両面を期待できるのは男子400mハードルか。静岡国際で日本歴代10位の48秒68をマークした安部孝駿(デサントTC)が、長居の高速トラックでさらなる記録更新を狙う。前回(川崎)は7年ぶりに自己ベストを塗り替え、日本選手権初優勝、ロンドン世界選手権セミファイナル進出へとつなげた。身長192センチの大型ハードラーが、ターゲットの「48秒前半」を出してリオ五輪6位のラスムス・マギ(エストニア)らに勝てば、世界転戦への道が見えてくる。現役最速タイム(48秒41)を持つ岸本鷹幸(富士通)は長らくケガに苦しんできたが、静岡国際で49秒33(2位)と復活の気配。リオ五輪セミファイナリストの野澤啓佑(ミズノ)は今季初戦、ロンドン世界選手権代表の社会人ルーキーコンビ、石田裕介(日立産機システム)と鍜治木崚(住友電工)は環境の変化の影響か、本領発揮にはもう少し時間がかかりそうだ。


 男子110mハードルにも好記録を期待。昨年、13秒4台をマークしてロンドン世界選手権に出場した増野元太(ヤマダ電機)、高山峻野(ゼンリン)、大室秀樹(大塚製薬)が、アジア・ナンバーワンの謝文軍(中国)らと競り合い、14年ぶりの日本記録(13秒39)更新に届くか。謝文軍は3連覇がかかる。


 男子800mも川元奨(スズキ浜松AC)に自身の日本記録にチャレンジしてほしいが、2月中旬に左足第五中足骨を疲労骨折し、トレーニングは3月中旬に再開したばかり。静岡国際は1分48秒00で3着にとどまっている。ただ、静岡国際でその川元を抑え、日本歴代7位の1分47秒01をマークした村島匠(福井陸協)、2月の室内競技会で川元が出したばかりの室内日本記録(1分47秒78)にあと0.08秒に迫った花村拓人(関西学院大)、昨年1分47秒40を出した三武潤(TSP太陽)ら顔ぶれはそろっており、12年ロンドン五輪銅メダリストのティモシー・キトゥム(ケニア)ら強力な外国勢に挑んでほしい。男子1500mも3分30秒台の記録を持つ外国勢に、昨年の日本選手権覇者・館澤亨次(東海大)、小林航央(筑波大)がどこまで食い下がれるか。


 オープン種目の男子400mと3000mは記録への挑戦。400mは「45秒台」、3000mは「7分台」に何人突入できるかが焦点となる。

福島は初の自社“冠”大会で会心の走り目指す

セイコー所属として初めての自社“冠”大会に出場する福島千里。好タイムを打ち出せるか
セイコー所属として初めての自社“冠”大会に出場する福島千里。好タイムを打ち出せるか【写真:松尾/アフロスポーツ】

 女子の注目種目は、真っ先に800mを挙げたい。昨年の日本選手権と国体、今年の静岡国際とトップスリーを占めてきた北村夢(エディオン)、塩見綾乃(立命館大)、川田朱夏(東大阪大)が、2分を切る自己ベスト持つ3人の外国勢を“ペースメーカー”にできれば、好記録が期待できる。静岡国際では3人が競り合いながらハイペースを刻み、川田が自己新の2分02秒71で制した。ケガ明けだった北村が2分03秒36で2位、塩見は3位ながらセカンドベストの2分04秒16をマーク。この時の1周目が60秒だったが、58秒ぐらいの速い入りになれば、日本人初の“1分台”が見えてくる。


 100mは15年世界ユース、16年U20世界選手権の女王、キャンデース・ヒル(米国)ら米国勢3人と、4年前のアジア大会金メダリスト・韋永麗(中国)に、福島千里(セイコー)と市川華菜(ミズノ)が挑戦。福島は初めて自社の看板を背負うことになるだけに、会心の走りを見せたいところだろう。チームメイトの山縣とともに出場したブリスベンのサマー・オブ・アスレティクスGPでは100m11秒82(+1.8)、200m24秒36(−1.4)にとどまったが、4月11日のシンガポール・オープン100mで11秒57(±0)と立て直し、織田記念100mを11秒42(+1.3)で6年ぶり制覇。静岡国際200mも23秒35(+1.1)にまとめ、総じて今季の出足はまずまずと言っていい。


 100mハードルには13年モスクワ世界選手権5位のクイーン・ハリソン(米国)、400mハードルには仁川アジア大会で400mとの2冠に輝いたケミ・アデコヤ(バーレーン)と、ハードル2種目にもハイレベルの外国勢が来日。100mハードルは木村文子(エディオン)と紫村仁美(東邦銀行)、400mハードルは青木沙弥佳(東邦銀行)といった日本のこの種目のエースたちが、どこまでコンディションを上げて臨むことができるか。


 3000mは日本の実業団に所属するアフリカ人選手を追って、日本人選手が「8分40秒台」に複数人入ることを目指すレース。400mは、現役最速タイム(52秒85)を持つ青山聖佳(大阪成蹊大)が昨年秋から続く不調からどこまで抜け出せるか。

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