チームを救った豊川雄太が見据える先 一発屋から「ストライカー」になるために
3G1Aの活躍でチームを残留に導く
最終戦で3G1Aを決め、奇跡の1部残留の立役者になった豊川 【写真は共同】
3月11日(以下、現地時間)の最終節、ベフェレンは57分、ハッサン・バンデのゴールで2−0とリードしていた。一方、オイペンはムスクロン相手にゴールを奪えず、0−0。このままでは、オイペンの降格が決まってしまう。
クロード・マケレレ監督は57分、豊川雄太をピッチに投入した。そこから、奇跡が起こる。
73分、ルイス・ガルシアのFKを豊川がヘッドで合わせて1−0。
76分、豊川のパスからルイス・ガルシアがシュートを決めて2−0。
80分、ルイス・ガルシアのCKを、豊川が再びヘッドで決めて3−0。
89分、ゴール前で相手DFがボール処理にもたついたところを、豊川が突いて4−0。
全試合を終え、勝ち点27で並んだオイペン(得失点差−17)とメヘレン(同−18)の残留争いは、鼻の差の勝負でオイペンに凱歌(がいか)が上がった。そして、途中出場で3ゴール1アシストを記録した豊川はオイペンの現人神(あらひとがみ)となった。
「限度を超えた」喜びに、実感が湧かず
残留を決めた後、豊川は度を越えた喜びに、しばらく実感が湧かなかったという 【写真は共同】
町を歩いていると、すれ違う車がほぼクラクションを鳴らしてきて、うるさい(笑)。おじいちゃん、おばあちゃんから小さな子どもまで『ユータ! ユータ!』と言ってくれて、全員自分のことを知ってくれていました。良かったです」
豊川本人は、しばらく実感が湧かなかったのだという。というのも「周りが盛り上がりすぎていて、限度を超えちゃっていたから」。
「今まで、この感覚は俺にはなかった。だから、表現しにくいんです。たとえば五輪の予選で自分が点を取って勝ったときも『めっちゃうれしい』って、ブワーってなったんですよ。でも、今回はそれとは違う喜びだった。俺はオイペンを1部リーグに残留させるミッションのために来て、点を取って達成した。それは、もちろん自分1人の力じゃないんですけれど、あまりに出来すぎて、どう表現していいのか分からないんです。この後、俺、事故に遭うんじゃないか。死ぬんじゃないかな、と思うくらい。それぐらいの運を使い果たした感じがあって、ちょっと表現できない」