浦和の守護神・西川周作が語るGKの役割 3度の監督交代も、貫くブレない姿勢

木崎伸也

パフォーマンス維持の秘けつから日本代表への思いまで、浦和の守護神・西川周作に話を聞いた 【撮影:大崎聡】

 3度の監督交代、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝、クラブワールドカップ(W杯)出場、日本代表からの落選――。わずか1年の間に歓喜と失望の両方を味わい、その渦中にいた西川周作は、いつ調子を落としてもおかしくない状況だった。だが、浦和レッズの守護神はブレずにプレーを続け、新たな領域に足を踏み入れた。

 4月28日の湘南ベルマーレ戦で、西川はJ1リーグ通算400試合出場を達成した。Jリーグ史上21人目、GKとしては4人目の快挙だ。

 浦和は現在12位に甘んじているが、4月19日に就任したオズワルド・オリヴェイラ監督の下で立て直しが始まっている。また、代表ではヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の契約が解除され、W杯メンバー入りへの新たな競争が始まった。

 西川にパフォーマンス維持の秘けつ、オリヴェイラ監督のマネジメント、そしてW杯ロシア大会についても話を聞いた。(取材日:2018年5月6日)

自分の体を知り、築き上げた400試合出場

真摯(しんし)にトレーニングを重ねてきた西川は、通算400試合出場という快挙を達成 【撮影:大崎聡】

――通算400試合出場、おめでとうございます。GKという接触プレーが多いポジションにおいて、すごい記録だと思います。普段、体調維持やけが防止をどう心掛けていますか?

 若いときに膝をけがしたことがあり、そこから「自分の体を知ること」を心掛けてきました。たとえば左足の付け根が張っていたら、キックに影響するぞとか。太りやすい体質なので、食事にも気を付けています。

 そして何と言っても練習では、行くところ、行かないところを判断することが大事です。練習でけがをしてしまうと、意味がなくなってしまうので。若いときはがむしゃらにやっていたんですが、今は頭を使いながら、試合で100パーセントに持っていくことを意識しています。

――食事はかなり節制しているんですか?

 そうですね。ただ、体脂肪率は平均くらいを保てているので、試合後に限って、お菓子を解禁しています。甘いものがすごく好きなので(笑)。具体的にはアイスが好きです。これから暑くなるので、勝った試合のあとには、アイスを食べたいなと思います。

――現在のJ1最多出場記録は、GK楢崎正剛選手(名古屋グランパス)の631試合です。この記録をどう越えていきたいですか?

 ここからは今までやってきたことを継続しながら、同時に新しいことを取り入れていきたいです。毎年、そのときの自分の体や体調に合ったやり方を探しています。たとえば今年はキャンプから、バランスディスクを使ったメニューを練習前にやるようになりました。空気で膨らんだディスクの上に乗って、スイングしたり、目を閉じてバランスを取ったり。

 試合でいいセービングをするには、どんな状況でも足にしっかりと力が入り、バランスを取れていることが大事だと思います。まさにそこを鍛えられる。非常に膝の調子も良くなって、コンディションも良くなっていると感じています。

監督が代わっても変わらない、GKの役割

オリヴェイラ新監督の下でも、西川のGKとしての役目は変わらないという 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

――チームのことを聞かせてください。去年から3度も監督が代わりました。監督ごとに、GKとして役目の変化はありますか?

 基本的にGKのやり方は一緒だと思います。たとえばミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ)さんから堀(孝史)さんになったときに求められたことは、そんなに変わりなかったですし、今オズワルド(・オリヴェイラ)になっても変わりはない。ゴールを守ることに集中しています。

――3バックと4バックで違いは?

 それはあると感じています。4バックのときの方が逆に人が後ろにいすぎて、人がそろっているけれど、タイトに行けていない、そういうシーンが見られました。

 たとえば、ゴール前で相手がボールを持ったとき、センターバックのどちらがいくかとか。そのズレがあったのは事実です。3バックの方が、役割がはっきりする。それが大きな違いだと思います。ただ、オズワルドは4バックを好む監督と聞いているので、夏のキャンプのときに、両方をできるようになるのが理想じゃないでしょうか。

――オリヴェイラ新監督の下で、まだ数試合しかプレーしていませんが、何か変わったことはありますか?

 練習が非常にハードですね。連戦の中でも、試合翌日の練習で、試合に出なかった選手に対して厳しい練習をしています。毎試合、メンバーが変わる中で、みんなで戦っていくんだという団結心を、監督が植え付けてくれています。練習中はいつも穏やかなんですけれど、ミーティングは本当に熱いというか。そんな声が出るのかというくらい、甲高い声を出すんですよ。みんなが緊張感を持ってやれていると思います。

――オリヴェイラ監督はオンとオフの切り替えがうまい?

 そうですね。オンとオフがはっきりしています。オフのときはホントに笑顔で接してくれますし、練習や試合のときは戦闘モードになる。選手としても鼓舞されます。

――オリヴェイラ監督が就任してから、GKにはこういうプレーを求めているとか、直接言われたりしたことはありますか?

 今のところはないですね。自分としても、プレーで証明していければと思います。

1/2ページ

著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。金子達仁のスポーツライター塾を経て、2002年夏にオランダへ移住。03年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材した。現在は東京都在住。著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『革命前夜』(風間八宏監督との共著、カンゼン)、『直撃 本田圭佑』(文藝春秋)など。17年4月に日本と海外をつなぐ新メディア「REALQ」(www.real-q.net)をスタートさせた。18年5月、「木崎f伸也」名義でサッカーW杯小説『アイム・ブルー』を連載開始。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント