浦和の守護神・西川周作が語るGKの役割 3度の監督交代も、貫くブレない姿勢

木崎伸也

ハリルは正直にプレーを評価してくれていた

ハリルホジッチ前監督の解任については「先に進まないといけない」と前を向く 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――これまでに西川選手は、大分トリニータ時代にナビスコカップ(現ルヴァンカップ)優勝、サンフレッチェ広島時代にJリーグ2連覇、そして昨年、浦和でアジア王者になりました。タイトルホルダーと言っていいのではないでしょうか。

 あまりそういうことを考えたことはないんですけれど、まだまだ優勝したいなと思います。自分がレッズにいるうちに、必ずJ1のタイトルを取りたいと思っています。あとは天皇杯ですね。過去に準優勝止まりだったことが2回あるので、今度こそ取りたい。

 もちろん首位の広島を追いながらも、天皇杯で優勝すればACL出場の権利を得られます。昨年のACLは本当に楽しかった。アジアのタイトルを取れたという喜びは一生忘れないですし、あの経験はサッカー人生において今後も必ず生きてくると思います。だからこそ、ACLという舞台に戻りたいと強く思っています。

――日本代表についても聞かせてください。ハリルホジッチ監督の契約が解除されて、どう思いましたか?

 ハリルさんは自分を使ってくれた時期もありましたし、そのあとに外された時期がありましたが、監督としては、正直に自分のプレーを評価してくれていたと思います。あの監督に、最後(W杯登録メンバーとして)呼ばれたかったなと思います。この世界では、監督交代はしょうがない部分もあるので、先に進まないといけないとも感じています。

――西野朗監督が後任になり、それに伴い森保一さんがコーチとして、下田崇さんがGKコーチとしてA代表のスタッフに入りました。西川選手は広島時代、森保監督と下田コーチの下でプレーしていましたね。今回のW杯ロシア大会をどう見ていますか?

 W杯は選手として必ず行きたい舞台ですし、前回のブラジル大会のときは試合に出られませんでしたが、肌で感じたものがありました。日本代表として誇りを持ってW杯に行くのは、ものすごく幸せなこと。

 またポイチ(森保)さんと下田さんとやりたいですし、浦和の試合にも代表のGKコーチの方がよく見に来てくれています。まずはチームでしっかりと結果を残し続けることが、一番のアピールになると思っています。

広島式の3−4−2−1は短期決戦に合う!?

広島時代にはタイトル獲得も経験。広島式の3−4−2−1は短期決戦に合うのではないかと話す 【(C)J.LEAGUE】

――西野監督がW杯でどういうサッカーをするかは明らかになっていませんが、森保さんがコーチになったことで、広島時代に取り組んでいたやり方をオプションとして持つ可能性があると思います。仮に広島時代のサッカーを代表でやるとしたら、3週間の準備期間で形になると思いますか?

 形になると思います。能力が高い選手がいますし、選手がしっかりと聞き入って、「絶対に俺たちがやるんだ」と団結すればできると思います。日本のいいところは団結心。守備的にいっても全然いいと思いますし、日本ならではの強みを出せると思います。

――広島式の3−4−2−1を代表でやるとしたら、どこが難しい部分だと思いますか?

 ポイチさんの場合、まずはしっかり守備をした中で、攻撃は自由にという感じでした。前の選手は非常にやりやすさを感じるんじゃないでしょうか。短期決戦に合うと思いますよ。

――森保監督時代の広島は、後方でボールを回して、コントロールするのもうまいイメージがありました。

 広島のときは、監督がミシャさんからポイチさんになって、チームが非常に我慢強くなった。攻め急がない。ゆっくりやるときは、本当にゆっくり回す。それによって、90分を通して主導権を握った試合が多かったと思います。ミシャさんのやり方にポイチさんの我慢強さを加えて、すごくうまくバランスを取ってやっていた印象があります。

――GKの役割に特徴はありますか?

 GKは、つなげるところはしっかりつなぐ。後ろからビルドアップしていくというのが、1つの狙いだと思います。新監督の下でGKのあり方はポイントになってくると思うので、競争に加わっていきたいです。

子供たちがスタジアムに来てくれるのはうれしい

13日の鳥栖戦に向けて、西川は「子供たちに夢を与えたい」とコメント 【撮影:大崎聡】

――5月13日のサガン鳥栖戦は「Go Go Reds!」デーと銘打ち、すべての指定席(一部企画席等除く)で小中高生のチケット料金が550円になります。小中高生が多いと、スタジアムの雰囲気に違いを感じることはありますか?

 子供たちがたくさん来てくれるのは僕たちもうれしいし、試合を見てサッカー選手になりたいと思ってもらえたら、さらにうれしいです。子供たちに夢を与えたいですね。

――スタジアムの入場者数は、選手としても気になりますか?

 もちろんです。入場のときに、スタジアムの上の方が空いていると気付きますから。もっと上まで埋めるためには、レッズが常に上位で戦っていないといけないと思います。スタジアムが満員になると、間違いなく相手チームにも圧力がかかる。もっと多くの方に来てもらえるように、頑張りたいと思います。

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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。金子達仁のスポーツライター塾を経て、2002年夏にオランダへ移住。03年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材した。現在は東京都在住。著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『革命前夜』(風間八宏監督との共著、カンゼン)、『直撃 本田圭佑』(文藝春秋)など。17年4月に日本と海外をつなぐ新メディア「REALQ」(www.real-q.net)をスタートさせた。18年5月、「木崎f伸也」名義でサッカーW杯小説『アイム・ブルー』を連載開始。

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