【RIZIN】福岡でRIZIN初陣となる浜崎朱加「お客さんに喜んでもらえる試合を」

長谷川亮

RIZIN初参戦となる浜崎朱加に試合に向けての意気込みなどを聞いた 【スポーツナビ】

 今年最初となる総合格闘技イベントの「RIZIN.10」(福岡・マリンメッセ福岡)が5月6日に開催される。全12試合のメインを飾るのが堀口恭司とイアン・マッコール(米国)のスペシャルワンマッチ。セミは“神童”那須川天心と中村優作のキックボクシング戦、第10試合が浅倉カンナとメリッサ・カラジャニス(カナダ)の女子スペシャルワンマッチと、昨年の大みそ日に勝利を飾った3人がそろい踏みとなる。

 第5試合には“女子格”で世界をつかんだ浜崎朱加がRIZIN初参戦。浜崎はJEWELSでライト級の王者となると、12年には米国の格闘技団体「インヴィクタ」に出撃。15年に同団体のアトム級王者となり、2度の防衛に成功。しかし17年3月にストロー級へ階級を上げると、同級前王者のリヴィア・ヘナタ・ソウザ(ブラジル)と戦い敗戦。その後はアトム級のベルトも返上し、それ以来の試合をRIZINで戦うことになる。

 日本での再起戦を間近に控える浜崎にインタビュー取材を行った。

馴染みの深い福岡での試合は「ちょっとプレッシャー」

日本で試合ができることを楽しみとするが、「ちょっとプレッシャーをもらいながら頑張ってます」とも話す 【スポーツナビ】

――日本での試合は14年大みそ日のV.V Mei戦以来となります。「試合は試合」とはいえ、やはり海外と日本で戦うのは違うものでしょうか?

 試合自体も1年ちょっと空きましたけど、日本でできることがしばらくなかったのでやっぱりうれしいです。楽しみが一番強いんですけど、友だちや知り合いがいっぱい来てくれる中、しかもRIZINの大きな舞台でやるのは初めてなので、相当緊張はするんじゃないかと思います。でも、リングに上がっちゃえばたぶん大丈夫だと思います。

――今回舞台となる福岡は、浜崎選手にとって柔道部として大学を過ごした思い出の地でもありますね。

 今回も見に来てくれるんですけど、先輩も後輩も九州出身の人が多くて、自分も出身県(山口県)が近いし思い入れがすごくあって、福岡は好きな場所です。でも今回は九州だけじゃなく、関東や関西からも先輩方が結構見に来てくれるので気合いも入りますし、ちょっとプレッシャーをもらいながら頑張ってます(苦笑)。

――6年前、インヴィクタで戦い始めた頃のインタビューでは「柔道時代の方が勝ちにはこだわっていたし、勝負に対する欲があった。今は“勝ちたい”より“楽しみたい”という気持ちの方が大きい」と言われていました。海外で王者となった戦いをへて、現在はいかがでしょう?

 今もその気持ちは変わっていません。柔道は基本トーナメントだし、1日何試合もやるっていうのでちょっと違うと思うんですけど、総合格闘技はお金をもらってお客さんに来てもらって通常は1日1試合じゃないですか。だからしっかり魅せられるところは魅せて、やっぱり観客の人も強い人同士の戦いっていうのを見たいと思うんです。だからそういう望まれた試合というか内容であったり、そういうものをやりたいっていう気持ちはあります。

――これも以前の発言ですが「強い人とやったら、たとえボコボコにやられてもすごい試合を楽しめると思うから、強い人とやっていきたい」と言われていました。

 今までもタイトルマッチだったり防衛戦だったり大体強い人が相手で、簡単な試合はありませんでした。その分、毎回怖くて、負けた試合もありましたけど、でもやっぱり試合が終わった後は充実感がありました。怖かったり負けても不思議と辞めようとはならなかったし、ただ前回の試合の後は絶望というか「もう辞めようか」って一瞬思ったりもしたんですけど、やっぱり好きだから辞められないなって。

日本でのRENA、浅倉らの活躍に感謝

日本のJEWELSで王者になり、米国のインヴィクタでも頂点に立った。今度は日本で成長した若手の挑戦も受けて立つ構えだ 【写真:田栗かおる】

――その前戦はアトム級(47.6キロ以下)からストロー級(52.2キロ以下)に上げ、インヴィクタの元ストロー級王者リヴィア・ヘナタ・ソウザに1ラウンドTKO負けを喫しました。そこから心境の変化を教えてください。

 負けたすぐ後は鼻の調子とか腰も悪くてちょっと練習もできない状態で、いろいろ考える時間がありました。でも辞めようっていう気持ちはなくて、とりあえず次の試合に向けて練習したいっていう気持ちの方が強かったです。完全に休んだのは2週間ぐらいで、やっぱり動きたくなるのですぐにまたウェイトとかを始めました。でも試合がなかなか決まらなくて、途中でちょっと落ちた部分もありました。

――では一瞬辞めようかと思った時こそあっても、すぐに体を動かし始めて気持ちは次へ向かっていたと?

 そうですね、いつあるか分かりませんでしたけど「試合に向けて頑張ろう」みたいな。とりあえず何かやっていれば次はあるかなって思っていました。

――インヴィクタで続行する選択肢もあったと思いますが、今回RIZINに参戦を決めた理由を教えてください。

 インヴィクタではアトム級でチャンピオンになって2度防衛したんですけど、これからまた防衛、防衛ってなっても、この先どうなのかなって。米国ではもうやり尽くした感じがありました。なので日本に戻ってまた次のステップじゃないですけど、RIZINという大きな舞台で戦わせてもらうことで私の首を狙いに来る人もいるかもしれないし、いま育っている若手もどんどん成長してくるだろうし、そういうのってすごく楽しみだなって思います。

――RIZIN女子は浜崎選手のトレーニングパートナーでもあるRENA選手や浅倉カンナ選手が盛り上げてきました。浜崎選手はそれをどんな風に見ていたのでしょうか?

 日本でこういう大きい舞台を作ってもらって素直にうれしいし、すごくありがたいなって思います。それを引っ張ってきたのがRENAちゃんでありカンナちゃんだったので、そこは本当にありがとうって思います。

RIZINでは階級にこだわらず面白い試合を

――今回のRIZIN参戦にあたっては、フライ級からバンタム級に上げてトーナメントを制した堀口恭司選手のように、本来の階級にこだわらず戦うという話も聞かれました。

 はい、そこはもう階級にこだわらずやらせてもらいたいと思ってます。私自身も、階級が違っても「この選手とこの選手がやったらどうなるんだろう?」って思ったりするんです。なので階級の差は気にならなくはないんですけど、そこはやっぱりお客さんが望んでいたり、「面白いんじゃないの?」っていうカードがあれば私はやりたいと思います。

――会見では対戦相手アリーシャ・ガルシアの映像はまだあまり見ていないとのことでしたが、その後いかがですか?

 普段からそんな感じなんですけど、3日前ぐらいに1回だけ見ました。フィジカルも強そうな感じだし、よく動くし、あとは気持ちですよね。気が強そう。でもそれが総合とか格闘技において、一番強いと思うんです。結局最後は気持ちっていうか、気の強い人が勝つと思っています。

――矢地祐介選手も「気の強い人が強い」とやはり同じことを言っていました。

 ほんとそうだと思います。しかも力が拮抗している時は特にそうだと思っていて、最後はやっぱり気の強い方、最後にものを言うのは気の強さだと私は経験上思います。私も拮抗した展開で、結局諦めなかった時に取れたりとかしてきたので。なのでそれだけではないと思いますけど、気の強さというのはやっぱり格闘技では必要だと思います。

――そういった意味でガルシアには警戒が必要だと?

 気が強そうですよね。顔だけ見てもほんと負けず嫌いな感じがします。ジョシュ(・バーネット=ガルシアのコーチを務めている)だから相当研究して私の弱点も突いてくると思うので、そこがやっぱり怖いです。

もっともっと強くなれる伸びしろがある

まだまだ伸びシロがあると語る浜崎。RIZINでどんな戦いを魅せてくれるか 【写真:田栗かおる】

――ただ、浜崎選手自身は相手に合わせて戦うより、自分のやることを貫くスタイルだと以前言われていました。

 そうですね。私は無意識に体が動いちゃうタイプなので、あまり映像を見ると考えてしまうので、見ない方がいいかもしれません。本当に自然に体が動くっていうか、それでカウンターをもらったり失敗したりもするんですけど、それで今までやってきているので。結局考えると体が動かないんです。もう本能っていうか。

――海外が好きでパッと思いついてチケットを取って旅行に行ってしまったり「衝動で生きている」とこれも以前言われていました。

 はい、ほんとそうなんです(笑)。その時に思いついた感じで生きているので。思いついたらすぐ行動しちゃうし、ほんとそんな感じかもしれないです。

――金網で行うMMAにおいて浜崎選手は日本人で初めて世界を制した選手と言ってよいかと思いますが、戦う気持ちはまだ衰えていないですか?

 はい、全然。全然というかまだ頑張りたいです。伸びしろじゃないですけど、まだまだ詰めなきゃいけないところもあるし、そこを詰めたらもっともっと強くなるって自分では思ってます。

――それではRIZIN第1戦へ向け、ファンの方へのメッセージをお願いします。

 やっぱりせっかくあんな大きな舞台でやらせてもらうので、一戦一戦魅せる試合じゃないですけど、お客さんに喜んでもらえる試合をしたいと思います。私の強みは極めて勝つところだと思っているので、福岡でもしっかり一本を極めて勝ちたいです。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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