レインボーライン春盾制覇も右脚故障……岩田「涙も出ない」3年ぶりGI勝利

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“不動”貫いた岩田、最後は真骨頂のイン差し

ゴール前のイン差しはまさに岩田の真骨頂だ 【スポーツナビ】

 話をレースに戻そう。競馬自体は、まさに岩田の腕とレインボーラインの根性が見事にマッチした文句なしの一撃だった。ヤマカツライデンが後続を離して逃げたが、前半1000メートルは60秒1の平均ペース。ここからさらにペースが落ちたのを見越し、2周目のバックストレッチで川田サトノクロニクルら中団・後方待機勢が一気に押し上げて行った。好位4番手にいたシュヴァルグランもこの後続の動きに合わせて行かざるを得なかったが、ここで他馬の流れに惑わされずに“不動”を貫いたのが岩田だった。この好判断によって、レインボーラインの末脚が溜まりに溜まったわけだ。

「出入りの激しい競馬でしたが、レインボーラインは直線で必ずいい脚を使ってくれると信じていました。だから、我慢できるだけ我慢していこうと。馬自身がしっかりと我慢してくれましたし、(3コーナー)下りをうまいこと行けたのが勝因だったと思います。ゴールするまで勝ったかどうか分かりませんでしたけど、最後は馬の根性で勝ってくれました」

 この10年、天皇賞・春は1枠が5勝を挙げたのに対し、5枠から外枠の馬は2勝しかできていない。明らかに内枠有利の傾向が出ている中、レインボーラインは外めの6枠12番発走。「ロスなく前半を乗れれば最後は脚を使ってくれる。自分のさばき次第」と臨んだレースは、岩田の巧みさが存分に発揮された。前述した道中の運びはもちろん、「必ず伸びる」と信じて追った最後の直線も、「内も外も行けるスペースがありましたけど、思い切って内に行きました」。馬群を縫うように突き抜けた“イン差し”は、まさに岩田の真骨頂だった。

「次はレインボーラインと一緒に笑顔でGIを取りたい」

笑顔なきGI勝利の岩田(右)、次はレインボーラインとともに笑顔の勝利を期待したい(左は浅見調教師) 【スポーツナビ】

「ここに向けて厩舎のスタッフの皆さんが馬をきっちりと作ってくれたのも勝因の1つだと思います。去年からコンビを組ませていただいて、そこから馬の成長を凄く感じていますし、体は小さいけれど頑張り屋さん。距離もこなしてくれるので、どんなレースでも頑張ってくれる。無事にまたレースに出走できるような状態であればいいなと思いますし、次はレインボーラインと一緒に笑顔でGIを取りたいですね」

 レインボーラインの右前脚の状態に関しては、週明けの火曜以降にも詳細が分かるだろう。岩田が願ったように、1日でも早く元気な姿でターフに戻ってきてほしい。そして、復活なった名手とのコンビでGI戦線主役の1頭として大いに沸かせてほしいものだ。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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