今年の日本馬は苦戦必至!? 地元記者が香港チャンピオンズデーを分析

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地元の利を生かして迎え撃つ香港勢。日本馬2騎に勝機は?

前哨戦的な位置づけの香港ダービーを制し、タイムワープに替わって一躍、最有力候補に浮上したピンハイスター。写真は2018年香港ダービー。(C)森内智也 【netkeiba.com】

 今年のクイーンエリザベス2世Cを占う上で、タイムワープの話からさせていただこう。昨年の香港C勝利後に与えられた国際レーティングは120。その高いレートに見合うだけのレースをしたのが、今年2戦目となった香港ゴールドCだ。なんと、トラックレコードを叩き出したのである。その勝ち時計は1分59秒97。沙田競馬場の2000mのレースにおいて、2分を切ったのは史上初の出来事だった。さすがにこの時計で走られては、2000mを最も得意としてきたワーザーも2着がやっと。この距離における香港最強馬の名を不動のものにしたレースとなった。

 一方で、今年初戦のスチュワードC、そして前哨戦となったチェアマンズトロフィーでは凡走を喫した。序盤からプレッシャーをかけられず、楽に先頭を握ってしまえば負かすことが難しい馬なだけに、いずれもマイル戦で序盤から忙しい競馬になったことが敗因だと思われる。

 しかし、どうしてもチェアマンズトロフィーの凡走には、疑いの目を向けてしまいたくなる。その前走となる香港ゴールドCで、勝利を争ったワーザーは鼻出血を発症し、戦線離脱してしまったからだ。本番に向けた調教を見る限り、状態に悪い部分は見当たらないが、この激しいレースが引き起こした何らかの見えないダメージが残っているのではないだろうか。

 また、今年のクイーンエリザベス2世Cは、香港ゴールドCのときのように速い時計の決着にはならないと推測する。今回は、ヘレンカリスマのようなタイムワープを煽って速いペースを生み出す馬が見当たらないからだ。

 そこで、私が本命視するのはピンハイスターだ。今シーズンの香港ダービー馬である。香港に移籍してからの3戦は全敗に終わったものの、続くオーキッドハンディキャップで移籍後初勝利を飾ると、余裕のあるレースぶりで連勝を重ね、香港ダービーに出走してきた。それまでマイルを超えたレースの経験がなかったこともあり、R.ムーア騎手を配しても4番人気。レース前のピンハイスターの評価は決して高いものではなかった。

 ところが蓋を開けてみれば、ラスト400mを21.99秒でまとめて、最後は流す余裕も見せる勝ちっぷり。そのインパクトは絶大で、今や誰もがこの馬を4歳世代のトップホースだと認めている。

 香港ダービーの勝利後に与えられた国際レーティングは、香港競馬初のクラシック3冠馬となったラッパードラゴンと並ぶ115。調教を見る限り、状態もピークのまま維持できているようで、当日はその高い能力を見せつけてくれるだろう。

 香港ダービーの勝利を手土産に、クイーンエリザベス2世Cも制した馬が多いという心強いデータもある。タイムワープにとっては、手強いチャレンジャーがすぐに現れてしまったといったところだろうか。

 その他で有力馬に挙げられるのは、やはり日本馬だと思う。2001年に国際GIに格付けされてから、このレースで勝利を収めたのはエイシンプレストン、ルーラーシップ、そしてネオリアリズムの3頭。日本国内ではGI勝利がなかった馬たちだ。だとすれば、同じ距離の皐月賞で勝利を収めているアルアインを外すことはできないだろう。

 また、穴候補としてゴールドマウントの名前を挙げておきたい。お気に入りの内ラチ沿いのポジションでレースを進められることが条件となるが、ペースが速くなれば、その小柄な馬体に脅威を感じるほどの差し脚で、直線を駆け上がってくるはずだ。

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