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村田諒太、試合中の課題修正でKO勝利
“強さの象徴”ゴロフキンとの一戦へ前進

「自分自身のやるべきことは分かっている」

初防衛戦を8回TKOの快勝で終えた村田諒太
初防衛戦を8回TKOの快勝で終えた村田諒太【写真は共同】

 王座奪取よりも難しいと言われる初防衛戦。その“難解な仕事”をやり終えても、村田諒太(帝拳=32)はいつもの冷静さを保っているようだった。


 15日に神奈川・横浜アリーナで開催されたプロボクシングのWBA世界ミドル級タイトルマッチは、王者・村田が同級6位のエマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア=38)に8回2分56秒TKO勝ち。世界王者として最初の試合を、KOという最高の形で終えた。


 試合前々日に行われた調印式で、「自分自身のやるべきことは分かっている」と語っていた村田。「僕のスタイルというのは結局、前に出てプレッシャーをかけて、相手が嫌になるまで打つ」ことを遂行するのが、自分の戦い方だとした。


 実際に、試合では序盤からプレッシャーをかけロープ際を動き回るブランダムラを追いかける展開に。村田はジャブを当ててから右ストレート、ワンツーと攻め立てるが、序盤のラウンドでは捕らえ切れず、ガードの上をたたくシーンや空を切る回数が増えてくる。


「右ストレートのタイミングが、体が開いてから出ていた。これは野球で言うと、ピッチャー(相手)がどうのではなく、自分がバットを振るフォームのタイミングの問題だった。これを途中で変えることができた」


 序盤のラウンド中に自身の武器である右ストレートが当たらない課題を見つけると、4ラウンド以降に修正を入れる。ジャブで距離を測った後に、体が開かないようにして右ストレートを放つと、さらに返しの左フックも続けて出せるようになった。これが攻撃のバリエーションにもつながり、より的を絞らせない攻撃が出始めた。


 すると5ラウンドから、村田の右ストレートがブランダムラのボディを捕らえる回数も増え、より相手が逃げ回ることになる。それでも、村田は焦らず同じ攻撃を繰り返すと、最後は8ラウンド終了間際に、ブランダムラのガードの脇をすり抜けた右フックが顔面を捉え、ひざまづかせる。立ち上がろうとしたブランダムラだったが、ファイティングポーズをとれず、そのままレフェリーが試合を止めた。

無意識下にKOを狙ってしまう焦りもあった

無意識の内に「KO勝利」を求める焦りもあったと話す
無意識の内に「KO勝利」を求める焦りもあったと話す【赤坂直人/スポーツナビ】

 フィニッシュブローとなった右フックに関して、「そんなに使っているパンチではない。相手が完全にストレートとクロスをガードしているので、そこから軌道を変えた」と話す村田。いつもの右ストレートとは違う軌道のパンチとなったが、本人も映像を見て、「こんな角度で当たっていたのか」と驚くほどで、試合後のマイクで「ラッキーでした」と口にした理由はこの部分にあった。


 負ける要素のない完勝劇。それでも村田自身は試合内容を「及第点」とした。前述した体の開きを抑えた右ストレートの修正、動き回る相手をジャブで捉えられたことの2点を評価したが、無理に攻めてしまい、いつもならもらわない左フックを受けた点を課題として挙げる。

「相手の足を止めたいからといって無理に相手のボディを打ちにいって、体が開いたところで相手の左をもらった。そういった意味で焦りはあったし、意識はしなくても、無意識の中で焦りはあったと思う」


 村田を無意識下に焦らせた要因というのが「KO勝利」を求めるが故の心の動きだ。「自分の中では抑えよう抑えようと思っていても、『いい形で勝ちたい、勝たなきゃ』というのは働いていたと思う」と分析する。

「(ブランダムラの)KO率が低いからと言って、あの右をもらったらダメージは残る。それをもらったら意味がないというか、一番賢くない選択だった」と分かっていても、KOを期待するファンや、試合を見てくれている人へ、豪快なKO劇を見せたくなるのはファイターとしての性(さが)。そして今回は日本国内だけでなく、海外へもアピールしたいとなれば、少なからず気負いする部分もあったのだろう。

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