対談連載:トップランナーであり続けるために

女性ならではの壁も、背を向けずに前へ 高木美帆(スピードスケート)×畠山愛理(新体操)

宮崎恵理
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提供:明治

普段からご飯を食べに行く仲だという高木美帆(左)と畠山愛理が女性アスリートの視点で本音を語った 【坂本清】

 トップアスリートとしてそれぞれの舞台で第一線を走り続ける人たちがいる。厳しい世界でなぜ彼らは光を放ち続けられるのか。スポーツナビでは、そんなアスリートたちの声を対談連載「トップランナーであり続けるために」で紹介する。

 第3回は、スピードスケートの高木美帆と、新体操の畠山愛理。高木の世界での活躍は、多くの感動と記憶に残るものとなった。一方、畠山はロンドン、リオデジャネイロと世界大会で活躍。その後引退し、現在はスポーツキャスターなど、さまざまな方面で活躍する。ともに、1994年生まれ。高校時代から日本を代表する選手として世界の舞台で活躍し、当時から親交を深めてきたという二人に、女性アスリートの視点で本音を語り合ってもらった。

「人間業じゃない!」スピードスケートと新体操


畠山:お疲れさま! おめでとう! 会うのはいつぶりだっけ?

高木:ありがとう。夏だよね? 8月とか9月……(笑)?

畠山:久しぶりだよね。今日はよろしくお願いします。

――早速ですが、まずは高木選手、今季を振り返ってどんなシーズンでしたか。

高木:すごく中身の濃いシーズンでしたね。平昌が終わった後のしんどさと、その後の抜け殻感がすごかった。ここまで気が抜けるんだなって。

畠山:そんな抜け殻になっても、すぐその後に(世界選手権の)レースでしたよね。気持ちを短期間に切り替えられましたか?

高木:いや、抜け切ったまま現地に行って、無理に戻そうとするのではなくレースの時だけ集中するという感じでした。

畠山:そうすると、ある意味、無駄な力や緊張感なくレースに臨めたという感じ?

高木:そう、楽しめたかもしれない(笑)。

畠山:美帆ちゃんの活躍をテレビで母と見ていて、美帆ちゃんがコーナーを曲がる時には一緒に体が傾いちゃうような感じで応援していたんです。自分が現役選手の時とは違う緊張感が応援する側にもあるんだって、あらためて思いました。

数々の栄冠を手にし、充実の2017−18シーズンを終えた高木 【写真:アフロ】

――お二人は高校時代から競技を超えて親しくされているとか。お互いの競技に対してどんな印象をお持ちですか?

高木:新体操って、もう人間業じゃない! 何かに逆らって競技をしているみたいですよね(笑)。

畠山:一度だけ一緒に体育館で新体操のリボンをやったことがあって。

高木:ありました。もう、難しいとかのレベルを超えていました(笑)。

畠山:私にとっては、スピードスケートも次元の違うスポーツ。やっぱり人間業じゃないって思います(笑)。

ベストな状態を見極めることが大事

新体操は「人間業じゃない!」と高木。久しぶりの再会に笑顔を見せる 【坂本清】

――ともに中学時代から日本代表として世界を目指してきました。競技を続ける中で苦労したことは?

畠山:女性アスリートならではだと思うのですが、私の場合は成長期に食事習慣をガラリと変えなくてはいけなくて、すごく大変でした。太ったら強化選手から外されてしまう。新体操はそういう危機感がいつもありました。

高木:苦労があったとすれば、やっぱりなかなか成績が伸びなかった時期ですね。でも、それはいろいろな要素が絡み合っていたと思います。その原因の1つかもしれないのが体重だったかな? 私、高校時代はすごく太っていて。

畠山:私も高校時代が一番太っていました。お互い、一番太っていた時に出会ったのかも。スピードスケートでも、体重が重すぎるとスピードに乗れないなどの弊害が出たりするのかな? かなり消耗が激しいスポーツだと思うけれど。

高木:選手によって適正体重は違うので、自分にとってどの状態がベストなのかをしっかり見極めることが大事だと思います。パワーがなくてはいけないし、キレのある動きもできなくてはいけない。そのバランスが難しい!

畠山:そういえば、私は中学2年の頃すごく貧血で悩まされたんだけど、美帆ちゃんも去年貧血だったとか?

高木:もともとヘモグロビンの値が低かったんです。それで、2017年の5月から、今もお世話になっている明治の管理栄養士の方に食事の指導を受けるようになりました。パワーやスピードはもちろん、スタミナが必要な競技でもある分、貧血は大敵なので、その解決法としてまずは取り入れるなど基本的には食事で改善するように心掛けて、どうしても数値が上がらないような時期には鉄分のサプリメントを摂取することもありましたね。やっぱり、女性の周期によっては必要な時期もあったので。

畠山:何か、気になる症状みたいなものはありましたか?

高木:立ちくらみくらいかな。食事やサプリメントで自覚症状は随分改善されたと思います。

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著者プロフィール

東京生まれ。マリンスポーツ専門誌を発行する出版社で、ウインドサーフィン専門誌の編集部勤務を経て、フリーランスライターに。雑誌・書籍などの編集・執筆にたずさわる。得意分野はバレーボール(インドア、ビーチとも)、スキー(特にフリースタイル系)、フィットネス、健康関連。また、パラリンピックなどの障害者スポーツでも取材活動中。日本スポーツプレス協会会員、国際スポーツプレス協会会員。著書に『心眼で射止めた金メダル』『希望をくれた人』。

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