メキシコに欠かせないロンドン五輪世代 ベラとドス・サントスの波瀾万丈な経歴
U−17世界選手権で注目を集めた2人
U−17世界選手権でメキシコを初優勝に導いたベラ(左)とドス・サントス(写真は2017年) 【Getty Images】
それから13年が経ち、彼らは29歳という全盛期と言える年齢でW杯ロシア大会を迎える。順当にいけば2人とも23人のメンバー入りは間違いないだろう。順調に成長しているように見えるが、そのキャリアは紆余(うよ)曲折があった。
アーセナル移籍後、期限付き移籍に出される日々
ベラはアーセナルに引き抜かれたが、その後は期限付き移籍を繰り返した 【Getty Images】
ベラも同じような境遇に立たされ、セルタ、サラマンカ、オサスナとスペインの中堅以下のクラブに立て続けに期限付き移籍に出される日々を送った。08−09シーズンからは晴れてアーセナルのトップチーム所属となったが、十分な出場機会は与えられなかった。10−11シーズン後半はWBAへ、11−12シーズンはレアル・ソシエダに期限付き移籍することになる。そして12年7月、彼はついにアーセナルでのキャリアを諦め、ソシエダに完全移籍。ようやく安定した環境を手に入れ、以降はチームのエース格として活躍していった。
代表から遠ざかるも、復帰後は重要な役割を担う
代表からも遠ざかっていたが、14年に復帰して以降は重要な役割を担っている 【Getty Images】
メキシコが金メダルを獲得した12年のロンドン五輪も、出場資格を有していながら招集を拒否し、14年のW杯ブラジル大会にも出場していない。ベラ本人は招集拒否の理由を明らかにはしていないが、どうやらサッカー連盟側と何らかの軋轢(あつれき)があったようだ。
14年11月に代表に復帰して以降は重要な役割を担っており、ロシア大会の北中米カリブ海地区予選でも10試合に出場し、チーム2位タイの3ゴールを挙げた。今のメキシコは相手や戦況によってさまざまなフォーメーションを使い分けており、ベラは左右のウイングやサイドMFを主戦場としている。ただ、彼は今年1月にソシエダを去り、MLS(メジャーリーグサッカー)に新規参入したロサンゼルスFCに移籍している。慣れ親しんだ環境から未知の国の真新しい環境へ、レベルの高いスペインから発展途上の米国へとプレーの場が変わったことが、W杯ロシア大会に向けての彼の立場に影響を及ぼすかもしれない。