メキシコに欠かせないロンドン五輪世代 ベラとドス・サントスの波瀾万丈な経歴
ジオバニも期限付き移籍の連続
ジオバニはその風貌から“ロナウジーニョの後継者”と称された 【写真:アフロスポーツ】
しかし、バルセロナも下部組織の選手がトップチームで活躍するのが非常に難しいクラブだ。ジオバニも07年にトップ昇格を果たしたものの、在籍はわずか1シーズンだけで、トッテナムに完全移籍する。だが、新天地では全くと言っていいほど出場機会を与えられず、イプスウィッチ、ガラタサライ、ラシン・サンタンデールと期限付き移籍を繰り返す。その後、マジョルカやビジャレアルで主力として活躍したが、15年7月にはLAギャラクシーに移籍してしまう。わずか26歳の若さで欧州の主要リーグを外れ、MLSに移籍したことで、当初はキャリアの停滞を懸念する声もあった。
ただ、代表ではベラ以上に、重要度の高い選手であり続けている。W杯は10年の南アフリカ大会、14年ブラジル大会と2大会連続で出場し、ロンドン五輪ではエースとして金メダル獲得に貢献している。今予選では5試合に出場して無得点と低調な成績に終わったが、キャップ数は100を超えており、大舞台での経験値や勝負強さは群を抜いている。ほとんどの試合で10番を背負ってプレーしていることが、彼の重要度の高さを物語っていると言えるだろう。3月の親善試合はクラブでの試合中にけがをしたことが原因で招集外となってしまったが、LAギャラクシーのチームメートでもある実弟ジョナタン・ドス・サントスとそろってメンバー入りする可能性もある。
変幻自在のパスワークに、2人は不可欠
ジオバニ(左)の大舞台での経験値や勝負強さはチーム内でも群を抜いている 【Getty Images】
ベラは両サイドや2トップの一角、ジオバニは右サイドやトップ下、セカンドトップとしてプレーできるので、汎用性は非常に高い。ハビエル・エルナンデス、イルビング・ロサーノとベラやジオバニを組ませ、流動性の高い3トップを形成してもいいし、長身のオリベ・ペラルタ、ラウール・ヒメネスが2トップを組み、サイドからベラが、トップ下からジオバニがラストパスを供給する役割を担ってもいい。ヒメネスとジオバニのツートップも、高い補完性を見せてくれるだろう。もちろんベラとジオバニの組み合わせも魅力十分だ。
ベラもジオバニも、確かにクラブでのキャリアが順風満帆にいっていれば、さらに高いレベルのプレーヤーになり、代表でも不動の存在になっていたかもしれない。しかし、メキシコの魅力は変幻自在のパスワークにあり、今の代表チームには誰がピッチに立っても質が落ちない選手層の厚さがある。その中で、ベラとジオバニは間違いなく不可欠な選手だと言える。