【新日本プロレス】オカダがNJC覇者ザックを破りV11 最多防衛タイに並ばれた棚橋が挑戦名乗り

高木裕美

NJC覇者のザックを破り、最多防衛記録タイとなるV11を達成したオカダ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 1日の新日本プロレス「SAKURA GENESIS 2018」東京・両国国技館大会では、4大タイトルマッチなどが開催され、満員となる9882人を動員した。

 メインイベントのIWGPヘビー級選手権試合は、“レインメーカー”オカダ・カズチカが「NEW JAPAN CUP 2018」覇者のザック・セイバーJr.を退け、棚橋弘至に並ぶ最多防衛タイ記録V11を達成。試合後、棚橋が現れ「今度は逆だ。おまえの防衛記録、オレが止めてやる」と次期挑戦者に名乗りを上げると、オカダも「棚橋を軽く倒して、V12、いや、V100まで行く」と宣言。12年2.12大阪で、棚橋の記録を11でストップさせた男が、6年の歳月を超えて、新記録樹立に挑むことになった。

“サブミッションマスター”に苦しめられるも力で粉砕

“サブミッションマスター”ザックの関節技に苦しめられたが、最後は力でねじ伏せた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

「歴代1位タイ」に並ぶための戦いは、かつてないほどに過酷なものとなった。オカダとザックは共に1987年生まれの30歳。どちらも04年に16歳でプロレスデビューを飾った早熟の戦士であり、小さな団体でデビュー後、メジャー団体の目に留まって飛躍のチャンスを作り、有能なマネジャーのアピールによってブレークした、という共通点がある。

 オカダが6年前、マネジャーの外道に「レインメーカー」と称され、当時の最多防衛記録を保持していた棚橋を破ってその名を一躍轟かせたように、ザックもまた、TAKAみちのくに「サブミッションマスター」と呼ばれ、今年の「NEW JAPAN CUP 2018」で内藤哲也、飯伏幸太、SANADA、棚橋といった強豪を撃破。その異名を、瞬く間に知れわたらせた。

 両国のメインでのIWGP戦という大舞台にもかかわらず、ザックはいつも通りのサブミッション地獄へオカダを誘うと、15分過ぎまで、オカダに技らしい技を出させず。ドロップキック、リバースネックブリーカードロップといった得意のムーブも、ことごとくサブミッションに切り返させてしまう。20分過ぎ、オカダは場外で鉄柵超えのボディーアタックを敢行。25分過ぎにはジョン・ウーと、ダイナミックな技を繰り出すも、ザックはヨーロピアンクラッチ、ジャパニーズレッグロールクラッチと今度は丸め込み技の連続へ。

 30分を超え、互いに限界も見えてくる中、ザックはレインメーカーを切り返し、腕ひしぎ逆十字固め、三角絞めでギブアップさせようとするも、オカダはこれを強引に持ち上げてレインメーカーを発射。なおも卍固めへの切り返しを目論むザックをツームストンで粉砕し、レインメーカーでトドメをさした。

棚橋「世界中からしても、次の挑戦者、オレしかいねえじゃん」

最多防衛記録タイとなった棚橋(右)が挑戦を表明 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 試合後、「レェェヴェルの違い」を強調した外道が、「勝てねぇのが分かってても、どうしても新記録を阻止したいヤツがいるのかな」と呼びかけると、場内からの大「棚橋」コールに応えるかのように棚橋が登場。すかさず、客席からは「Go Ace!」コールが起こる。棚橋は「時間が大分かかってしまったけど、やっと、おまえのために戻ってきた。世界中からしても、次の挑戦者、オレしかいねえじゃん。今度は逆だ、おまえの防衛記録、オレが止めてやる」と挑戦をアピール。すると、オカダも「棚橋さん、あなた、何やってんですか。ケガして復帰してケガして復帰してチャンピオンじゃなくなって。NEW JAPAN CUP準優勝して。つまんない男だな。おまえは棚橋さんじゃない、棚橋だ」と言い捨てると、「次は棚橋、軽く防衛して、V12、V13……V100まで行く」と断言してみせた。

 バックステージでもオカダは「今の棚橋ほどつまらないものはない」とバッサリ。「過去の棚橋で来るのはつまらない。新しい、最高の棚橋で来てほしい。オレを止めてみなさいよ」と、V11を達成したエースとしての栄光を背負って臨むのではなく、6年前、ほぼ無名の新人が「レインメーカーショック」を起こしてみせたように、固定概念や想定内にとらわれた者たちをあっと言わせるようなものを見せてほしいと呼びかけた。

 オカダのポリシーはあくまで「長い間チャンピオンでいる記録を作りたいんじゃなく、どんどん挑んでくるものを超えて、素晴らしいプロレスを見せていきたい」というもの。素晴らしいプロレスを求め、自身を高め続けていった結果、V11という記録にたどり着いたという王者に対し、満身創痍で、一時はドン底を味わったかつてのエースが、もう一度、新日本の頂点に返り咲き、太陽を再び照り輝かせることができるのか。

ゴールデン☆ラヴァーズは日本での復活勝利ならず

Cody&ペイジ組に敗れたゴールデン☆ラヴァーズ。ROHでのシングル戦でリベンジを狙う 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、ケニー・オメガ&飯伏幸太のゴールデン☆ラヴァーズが、Cody&ハングマン・ペイジ組に惜敗。米国ROHで7日(現地時間)に開催されるビッグマッチでのシングル二番勝負(ケニーvs.Cody、飯伏vs.ペイジ)の前哨戦で、約3年4カ月ぶりに復活したゴールデン☆ラヴァーズが黒星を喫した。

 かつてはオメガが3代目リーダーを務めていたバレットクラブだが、1.5後楽園で内紛が勃発。現在も内部でギクシャクした状態が続いており、この日の第1試合でもバレットクラブ対決が組まれる異常事態となっている。

 3.25米国ロス大会では、ヤングバックス(マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン)を相手に、40分近い激闘を制したゴールデン☆ラヴァーズは、この日も息の合った連係を披露。だが、10分過ぎ、場外へ置かれた机の上にペイジがオメガ、飯伏を続けてボディースラムで投げると、オメガをテーブルに寝かせ、Codyがコーナーからダイブしようと目論むが、そこにヤングバックスの2人が現れ、Codyをけん制。結果的にオメガは命拾いする。15分過ぎにはゴールデン☆ラヴァーズのクロスラッシュが炸裂するも、合体技のゴールデンシャワーは今回も不発。20分過ぎ、飯伏がスワンダイブ式のダブルインパクトを食らい、オメガも場外に設置されたテーブルに背中から落下。孤立した飯伏はそれでも、ダブルのオーバヘッドキックからCodyにシットダウン式ラストライドを決め、カミゴェを狙うが、ペイジが足をつかんだところをCodyがすかさず丸め込んで、3カウントを奪取した。試合後も飯伏へのリンチが続くが、Codyがイスを振りかぶろうとしたところを、オメガが奪い取って阻止。両軍の因縁はROHでのシングル決戦へと持ち越された。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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