トロロッソ・ホンダの1年目を占う 新チームに感じるポテンシャル
バルセロナでのテストでは10チーム中3位となる距離を走行したトロロッソ・ホンダ 【写真:ロイター/アフロ】
ただし、ホンダを取り巻く状況は18年は大きく変わった。その最大の変化が、3年間ともに戦ってきた名門マクラーレンと袂(たもと)を分かち、新たにトロロッソとパートナーシップを結んだことだ。F1ファンにとってはトロロッソという名前は馴染みがあるが、知らない人のために説明すると、エナジー飲料メーカーとして日本でも知られているレッドブルをそのままイタリア語に変換したもので、レッドブルのセカンドチームとしてイタリアのファエンツァに本拠を構える。
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苦戦したマクラーレンとの3年間
しかし、マクラーレン・ホンダのF1活動は思っていたものとはかけ離れた結果に終わった。10〜11チームが参加する近年F1において、15年9位、16年6位、17年9位……。優勝はおろか、表彰台にさえ一度も上がることができなかった。
とくに酷かったのは、生まれ変わることと誓った3年目シーズン。ライバルたちが当たり前のように、テストでラップ数を稼ぐなか、ホンダ製PUを搭載したマクラーレンは頻発するPUトラブルで、まともに走ることさえなかった。開幕戦の直前、技術的部門のトップに立つジョナサン・ニールが、ファクトリーで集まった従業員を前に、予想していたものとは違ったこと、今シーズンも厳しい状況に追い込まれたことを語った。このとき、このパートナーシップの崩壊はほぼ確定したといえるだろう。“石の上にも三年”ということわざがあるが、日々進化するF1の世界において、それは許されなかった……。本来は長期契約のパートナーシップだったが、マクラーレン側が業を煮やし、シンガポールGPでホンダとの決別を発表。18年はルノー製PU採用を決定した。これにより、マクラーレンだけと契約していたホンダは、F1活動を継続するためには新たなチームとの契約が必要となった。そして浮上したのがレッドブルのセカンドチームであるトロロッソだった。
バルセロナテストでは3位の距離を走行
そして迎えた18年シーズン向けテスト。スペインのバルセロナで8日間の日程で開催され、1日は季節はずれの雪で、まともに走ることなく実質7日間となったが、ここでトロロッソ・ホンダは、トータル822周を走破し、10チーム中3番目のマイレージを稼いだ。
■18年バルセロナテストでの周回数と順位(17年周回数/順位)
1位:メルセデス 1040周(1096周/1位)
2位:フェラーリ 929周(956周/2位)
3位:トロロッソ 822周(584周/9位)
4位:ウイリアムズ 820周(800周/3位)
5位:ルノー 795周(597周/8位)
6位:アルファロメオ・ザウバー 786周(788周/4位)
7位:レッドブル 783周(684周/7位)
8位:フォース・インディア 711周(785周/5位)
9位:ハース 695周(715周/6位)
10位:マクラーレン 599周(425周/10位)
上記を見ても分かるように、昨シーズンのトロロッソはトータル584周で10チーム中9位だった。テスト結果がそのままシーズン順位に直結するわけではないが、今シーズンのトロロッソは信頼性が大幅に向上していることがうかがえる。