本田を想起させた堂安のスーパーゴール 代表落ちも「しっかり結果を出すのみ」
オランダ人に堂安律の名前が深く刻まれる
AZ戦の83分、堂安律は20メートルほどの強烈なミドルシュートを決めてゲームを2−2のタイに戻した 【Getty Images】
「すごい選手だ。これで日本代表じゃないの!?」
フローニンゲンが0−2と劣勢に立たされていた70分、堂安は反撃の狼煙(のろし)をあげるアシストも記録した。
戦前、対戦相手AZのGKマルコ・ビゾット、MFフース・ティル、FWワウト・ウェフホルストは、初めてオランダ代表に選出されて注目を集めていた。イラン代表のFWアリゼラ・ヤハンバクシュ、右サイドバックのヨナス・スベンソン(ノルウェー代表)も素晴らしいプレーで3−2の勝利に貢献した。しかし、試合後、繰り返しテレビで流されたのは、ビゾットの指をかすめてネットを揺らした堂安のスーパーゴール。オランダ人に堂安律の名前が深く刻まれた試合になった。
堂安は、オランダテレビ局NOSに対して「以前、本田圭佑選手の得点シーンを僕は日本で見たことがある。(自分のゴールも)そうなればいいと思います」と語った。夜7時からのサッカー番組では字幕のみ付けたが、夜10時すぎからの番組では、このインタビューに、本田圭佑が2009年8月にユトレヒト戦で決めた弾丸シュートの映像をかぶせていた。
反省を生かし、ハードワークと創造性が共存
この日、堂安のボールタッチは少なかったが、試合から消えている感じがしないのは守備での頑張り、相手への威圧感があるからだろう 【Getty Images】
本田のゴールのほうが、やや距離があり、角度も左側で、スピードを落とさぬままダイアナゴルに飛んでいったシュートだった。打つ前から「俺がゴールを決めてやる」という舌なめずりが観客席に伝わってくるようだった。
堂安のゴールは、守備を固めた相手に囲まれていた中、意表を突いたものだった。ゴール片隅に狙ったコントロールも絶妙だった。
「(スペースが)狭かったですけれど(打った)。最近、監督からずっと『良い左足を持っているんだから、もっとシュートを打て』と言われていた。前半に関してはシュートがゼロだった。後半は仕掛ける場面が増えてきたから、狙っていこうという気持ちが、ああいうのを生んだと思います。でも、あんまりスピードはなかったですよね。ちょっと遅くなかったですか?(笑)」
AZ戦、堂安のボールタッチは少なかった。後半、パス成功は10本足らずだった。それでも、試合から消えている感じがしないのは守備での頑張り、そして相手に対して与える威圧感があるからだろう。
今から1カ月前、2月16日のVVV戦で貴重な同点ゴールを決めた堂安だったが、「試合から消えている時間が長い。そこが反省点」と言っていた。すると、翌23日のNAC戦から堂安の守備での貢献度が増していき、ハードワークとクリエーティビティーが共存するプレーヤーになっていった。
AZ戦後半のパフォーマンスを堂安はこう振り返る。
「正直、タッチは少ないと思っていますけれど、ゲームに入れていない感じがあまりない。ずっとゲームに関与しながらファイトしながら、チームメートを引きつれる動きもできている。自分がずっとボールを触る意識ではなく、周りのためとか関与しているから、あんまり後半はそんなに触れていないというイメージですね」