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久光製薬を強くした2度の敗北
Vファイナルで見せた圧巻のチーム力

新鍋「すべてを出しきることができました」

久光製薬がJTを3−0で下し、2年ぶり6度目の優勝を果たした
久光製薬がJTを3−0で下し、2年ぶり6度目の優勝を果たした【写真:坂本清】

 圧巻の強さだった。


 今季、敗れたのはわずかに2度だけ。そのうちの1敗は、ファイナル6でストレート負けを喫したJTマーヴェラス戦。わずか2度とはいえ、チームにとっては「どん底まで落ちた」という敗戦を糧に、たくましさを増した久光製薬スプリングスは最高の形でリベンジをやってのけた。


 攻守の要として、欠かせぬ存在であり続けた新鍋理沙が言った。

「全員が気持ちを切らさず、目の前の1点1点にしっかり集中して、取り切るまで集中できた。この一戦にすべてを出しきることができました」


 レギュラーラウンドは無敗。優勝という結果で示されたように、それだけの強さがあったからこそなし得たものではあるのだが、勝ちながらも、いや勝っているからこその不安を抱えていたと主将の栄絵里香は言う。


「勝っていることはすごく力になるんですけれど、でもその反面、勝ち続けているからこそ、負けることに対して、すごく怖いと思いながら戦っていました」

皇后杯のデンソー戦で露呈した脆さ

最初の1敗を喫した皇后杯のデンソー戦で、チームは脆さを露呈した
最初の1敗を喫した皇后杯のデンソー戦で、チームは脆さを露呈した【写真:坂本清】

 最初の1敗は昨年末。6連覇を狙った昨年末の天皇杯・皇后杯全日本選手権準々決勝でデンソーエアリービーズにフルセットの末に敗れた。敗因は顕著で、サイドアウトから思い通りの攻撃を展開させないようにと攻めに転じたデンソーのサーブに崩され、必勝パターンが築けないまま脆さを露呈した。


 V・プレミアリーグのみならず、世界を見渡してもサーブ戦術で主導権を握ったほうが勝利に近づくのは明白だ。ただ単にレセプション(サーブレシーブ)が苦手な選手を狙う、前衛レフトの選手に取らせて攻撃参加を遅らせるといった安易な狙いだけでなく、どこに打てば次の攻撃に展開しづらいか。先の先まで読んでサーブを狙う。皇后杯でデンソーが取った策はまさにそれだった。


 レセプションの名手である新鍋が後衛ライトに入る際、多くのチームが前衛レフトの石井優希を狙う。そんな中、デンソーはあえて新鍋がいるエリアを狙う。サーブの軌道とセッターが前衛に出てくるコースが重なることに加え、久光製薬にとってはサイドアウトで最も高いスパイク決定力を持つアキンラデウォ・フォルケを使いたいのだが、パスがセッターに返る軌道がアキンラデウォの助走コースとかぶり、セッターも上げづらい。無理に上げても十分な打点から打ち切ることができないため、簡単にブロックでワンタッチを取られてしまう。ミドルが使えず、サイド一辺倒になれば相手がディフェンスで対応する。


 アキンラデウォが前衛にいるローテーションで少しでも点数を重ねたいのだが、思惑通りに運ばず、逆にウィークローテで連続失点を喫する。0−2から猛追し、フルセットまでもつれたという結果以上に、大きなダメージを受けた。

田中夕子
神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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