ソーシア監督が長谷川滋利氏に明かす「二刀流の判断は翔平に」

「ずば抜けた才能を感じている」

長谷川氏が大谷の起用法についてソーシア監督を直撃した 【NHK ワールドスポーツMLB】

 世界最高峰のメジャーリーグで大谷翔平は二刀流を続けられるのか。その鍵を握るのがエンジェルスのマイク・ソーシア監督だ。大谷をどう見ているのか? 起用法はどう考えているのか? その本音に迫るため、同チームOBで監督と親しい長谷川滋利氏が話を聞いた。

「ミスター監督」と呼びかけた長谷川氏。ソーシア監督は「靴ひもを結ばなくていいのか。足首をひねるぞ」と笑顔でつっこむ。通訳を介さないインタビューが始まった。

長谷川氏:大谷選手のプレーを間近で見始めておよそ3週間。印象は変わりましたか?

ソーシア監督:翔平には、ずば抜けた才能を感じている。技術の高さに加え、努力する姿勢もある。レベルが高い日本のプロ野球に入り、重圧のかかる中でプレーしてきた経験もある。だから重圧などものともしないだろう。ほかの若い選手とは違うよ。

【NHK ワールドスポーツMLB】

 ソーシア監督はワールドシリーズ優勝1回、アメリカン・リーグ最優秀監督を2回受賞しているメジャー屈指の名将。日本選手としては、投手では長谷川滋利氏と高橋尚成氏、野手では松井秀喜氏がこの名将の下でプレーした。チームを率いて19年目、今年は契約の最終年にあたる。

先発ローテの調整は?

長谷川氏:監督は先発ローテーションを6人で回すと言っていますが、これまでの5人体制の方がいいと言う選手はいませんか?

ソーシア監督:5人体制のほうがいいという者もいれば、6人体制のほうがいいという者もいる。中4日が中5日に変われば、調整の仕方を変えなくてはいけないからだ。ただ(6人ローテーションは)大谷の加入だけが理由じゃない。うちの先発投手は年間33試合に登板するのが難しい。だから登板間隔を空けようと考えたんだ。1日多く調整することで、シーズン後半も好投できる体力を残したいというのが理由だ。
 一般的にメジャーでは、5人で先発ローテーションを組み、1年間を戦い抜く。しかし昨シーズンのエンジェルスは、けが人が相次ぎソーシア監督の言う「33試合」のノルマを果たした投手は、リッキー・ノラスコただ一人だった。そのノラスコもFAに(3月7日時点で所属チームは未定)。6人に増やせば各投手の負担が減るのではないか、そう考えていたところに大谷選手が入ったのだとソーシア監督は語った。

「いまは二刀流を楽しみにしている」

 インタビューの最後に、長谷川氏は核心に迫った。

長谷川氏:時間を与えて大谷を育てますか? それともすぐに活躍することを期待しますか?

ソーシア監督:即戦力として期待しているが、彼はまだ成長中で完成されていない。ほかの若手同様に成長する余地は大いにある。努力し続けるだろうから、どんどん良くなるよ。ただ、投手として練習をしながら、打者でも活躍するのはすごく難しいことだと思っている。いまは投手での起用を中心に考えながら、打者としても活躍することを期待している。将来的にどちらかを選ぶことになるかもしれないが、いまは二刀流を楽しみにしているよ。

長谷川氏:監督が決めてあげればいいのでは?

ソーシア監督:彼が教えてくれるよ。

長谷川氏:彼に任せるのですね。ありがとうございました。

「(二刀流をどうするかは)彼が教えてくれるよ」と笑顔で語ったソーシア監督。その言葉を聞いたときに思い出したのは「(二刀流を続けるのか、どちらか一方を選ぶのかは)野球の神様しか決められない」という日本ハム・栗山英樹監督の言葉だった。

 規格外の才能を尊重し、大らかに見守ろうと語る2人の監督。

 大谷選手がなぜエンジェルスを選んだのか、その理由の一端が垣間見られるようなインタビューだった。

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NHK「ワールドスポーツMLB」

BS−1で放送しているメジャーリーグ専門番組。投球の軌道をCGで再現できるツール「ゼウス」を独自で開発するなど、データ分析に力を入れています。3月は大谷翔平情報をたっぷりとお伝えします。
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