大谷の速球とスライダーの球速差に注目 スプリング・トレーニングリポート(2)
ブリュワーズとの練習試合で8奪三振と存在感を見せた大谷 【写真は共同】
場所は、アリゾナ州フェニックス市の「メリーベール・ベースボール・パーク」。大谷が登板する影響で急きょ有料試合となったようで、球場入口の金属探知機の門をくぐり抜けると、メディアにもスタッフからチケットが手渡された。この日の午後に予定されているブリュワーズvs.マリナーズ戦のチケットだったが、これで午前の練習試合を見ることができるようだ。
練習試合のため特に国歌斉唱やセレモニーはなく、試合は静かに始まった。すでに報じられている通り、大谷は3回までを投げ切り、打者12人に対して8奪三振と存在感を見せた。
大谷の持ち球と球速は?
【データ提供:データスタジアム】
【データ提供:データスタジアム】
そして、この4球種を2017年の球速順に並べ替えると「ストレート(155.5キロ)、フォーク(142.8キロ)、スライダー(131.2キロ)、カーブ(117.0キロ)」となる。ここで注目したいのが、ストレートとスライダーの間にある24.3キロの球速差だ。
【データ提供:データスタジアム】
大谷は右から2つ目の赤い部分に入る。ストレートが圧倒的に速いことも影響しているが、25キロ近く差がある投手は少なく、24.3キロはかなり大きいものだと分かる。大谷のスライダーは、ストレートとの球速差が大きい「緩い」タイプとなる。
理想とするのは故・ヘルナンデスのスライダー
大谷が理想と語るのはフェルナンデス(故人)のスライダー。データ上はカーブとして計測されている 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
【画像提供:データスタジアム】
【画像提供:データスタジアム】
上のグラフでは、縦軸に「球速」を、横軸に「横方向の変化量」を表している。横方向の変化量とは、どれだけボールに横回転がかかっていて、スライド方向(右打者に対して外角方向)、もしくはシュート方向に曲がったかを表したものだ。
ひとつの点は1球を表している。フェルナンデスのストレート(水色の点)の多くは150〜160キロの球速帯にあり、すべてシュート方向に曲がる球筋であることが分かる。一方、カーブ(ピンクの点)は130〜140キロの球速帯で、ほぼすべてスライド方向に曲がることが分かる。
Statcastの導入によって、球種がどのように変化しているのかという情報が分かるようになっている。大谷の登板データはまだ計測されていないが、果たして、スライダーは本人が理想と語ったフェルナンデスのカーブのような変化をしているのだろうか。Statcastによる、スライダーの「変化量」に今後注目していきたい。
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