MLBアナリストが語る大谷翔平の可能性 「近い投手はセベリーノ」

データを元に解説してくれたペトリエーロ氏 【提供:NHK】

 ロサンゼルス・エンジェルスに加入した大谷翔平がついに海を渡り、オープン戦で初登板も果たした。23歳の二刀流は、ベーブ・ルースが1918年に13勝を挙げ、11本塁打をマークして以来となる2ケタ勝利、2ケタ本塁打を達成するのか、日本だけでなく米国でも注目が高まっている。

 その大谷が挑戦するメジャーリーグでは今、“革命”が起きている。きっかけは2015年。メジャーリーグが全30球場に軍事用レーダーと高精細カメラを設置し、球場内でのボールと選手の動きを測定、数値化するシステム「STATCAST」を導入したことだ。これで測定された打球速度と打球角度の組み合わせを分析した結果、本塁打になりやすいスイートスポットが判明。メジャー全体のホームラン数の増加につながったと言われている。

 大谷選手の実力はどの程度のものなのか? 米国では多くのメディアやファンが、レギュラーシーズンが開幕し「STATCAST」の測定結果が出るのを待っている。こうした中、MLB公式アナリストのマイク・ペトリエーロ氏が日本でのデータを入手したと表明した。NHKがインタビューを申し入れたところ、データを入手した経緯は明かせないとした上で、話を聞かせてくれた。

「大谷はメジャーでも通用する」

【提供:NHK】

「(入手したデータで見る限り)大谷は投打ともに一流だということです。球速と回転数でもっとも近い投手はニューヨーク・ヤンキースのルイス・セベリーノ。昨シーズン、アメリカンリーグのサイ・ヤング賞で3位に選ばれた選手です。彼のような速球を投げられれば、大谷はメジャーでも通用するということです」

 ペトリエーロ氏がもっとも近い投手として語るセベリーノは、大谷と同じ1994年生まれの24歳。身長約188センチ、体重約98キロとサイズ的にも大谷に近い(大谷は身長193センチ、体重92キロ)。17年は31試合に先発し、14勝6敗、防御率2.98の好成績をマークした。193回1/3の投球イニング数で、奪三振は230、与四球は51と、三振を奪えるだけでなく制球力も安定している。それはWHIP(投球イニング当たりの与四球と被安打数の合計)1.04からも見て取れる。ヤンキースでは田中将大とともに先発ローテーションの柱を任される本格派右腕だ。

ペトリエーロ氏は大谷の変化球についても言及した。

「スライダーに関するデータも少し持っています。横の変化がとても大きいです。サンディエゴ・パドレスのリリーフ、ブラッド・ハンドを連想させます。ハンドは左投手なので完璧な比較対象とは言えませんが、メジャーでも屈指の横に曲がるスライダーを投げる投手です。大谷のスライダーも実際に見るまでは分かりませんが、とても効果的な球になるでしょう」

 スライダーについてはハンドの名前が挙がった。ハンドは身長約191センチ、体重約103キロの左腕投手で、16年はリーグ最多の82試合に登板し、21ホールド。17年はシーズン途中からクローザーを任されて21セーブをマークし、オールスター出場も果たした。現在27歳でさらなる活躍が期待されている。

「打者としても素晴らしい」

 一方、大谷の打撃面についてはこう語る。

「打者としても素晴らしいです。フライの打球の平均初速は時速94マイル(約151キロ)。フライでも強い打球が飛ばせるのは分かりました。問題はどのくらいバットに当てられるかですね」

 メジャーの投手は日本の投手と異なり、きれいなストレートというよりはボールを微妙に動かして打者を打ち取る。そこへのアジャストがポイントになりそうだ。

 最後に、ペトリエーロ氏は大谷がメジャーリーグに「熱狂をもたらす」と答えた。スプリングトレーニングもオープン戦が本格化し、3月30日の開幕に向けて実戦モードに入っている。いよいよ大谷の「熱狂」への序章が切って落とされる。

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NHK「ワールドスポーツMLB」
BS−1で放送しているメジャーリーグ専門番組。投球の軌道をCGで再現できるツール「ゼウス」を独自で開発するなど、データ分析に力を入れています。3月は大谷翔平情報をたっぷりとお伝えします。
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