設楽悠太、16年ぶり日本新なるか!? “絶好調男”が今年も世界に挑戦
東京マラソンでの日本記録更新にも期待がかかる設楽悠太(右)。優勝候補筆頭のウィルソン・キプサング(左)に挑戦する 【写真は共同】
(月刊陸上競技3月号より)
「前半から攻めていく」と積極的レースを明言
今年に入ってからも駅伝、ハーフマラソンと、他を圧倒する走りを見せている 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
初マラソンとなった前回は、持ち味のスピードを生かして10キロを29分12秒、20キロを58分34秒、中間点を1時間1分55秒で通過。33キロ付近まで日本記録(2時間6分16秒)のペースを上回る果敢な走りを見せ、後半は苦しんだものの2時間9分27秒にまとめた。
昨年9月にはチェコのハーフマラソンで1時間0分17秒の日本記録を樹立。その1週間後には世界屈指のメジャーレースであるベルリン・マラソンで2時間9分03秒と自己記録を塗り替えて6位に食い込む“離れ業”をやってのけている。
18年になっても設楽の勢いはとどまらない。元日の全日本実業団対抗駅伝では最長22.4キロの4区で区間2位の井上大仁(MHPS)に34秒差をつけて区間賞を獲得。埼玉の代表として出場した1月21日の全国都道府県対抗駅伝でも、最終7区(13キロ)で4位からトップに立ち、ぶっちぎりの区間賞を奪って優勝ゴールに飛び込んでいる。2月4日の香川丸亀ハーフでは、雪と後半の向かい風に苦しみながらも1時間1分13秒で日本人トップの2位を占めた。
今大会には2連覇がかかる前世界記録保持者のウィルソン・キプサング(ケニア)ら世界の強豪もやってくる。日本人向けの「1キロ3分」で進むペースメーカーも用意される予定だが、「キプサング選手にも挑戦したいですし、前半から攻めていこうと思います」と設楽は今回も積極的なレースを仕掛けることを明言した。
目標は「2時間6分10秒」の日本記録
東京マラソンでの目標は「2時間6分10秒」の日本記録とする 【写真は共同】
「距離を踏まないとマラソンは走れないという声をたくさん聞きますけど、もうそんな時代ではありません。僕は40キロ走をやらなくてもマラソンは走れます。今は環境にも恵まれているので、いいシューズを選び、効率良く練習すれば結果はついてくるんじゃないでしょうか」
3週連続のレースとなったベルリンマラソンでも結果を残しており、今回の東京も3週間前の丸亀ハーフを経て、2週間前に唐津10マイル(2月11日)に出場。いずれも「全力で走る」プランだ。
「マラソンの1〜2週間前まで試合に出るのも、僕の中では普通です」と豪語する設楽。昨年9月から厚いソールが特徴的なレース用シューズを履くようになって連戦がきくようになったという。
絶好調の設楽は、東京マラソンの招待選手発表を兼ねた1月22日の記者会見で日本記録の2時間6分16秒を上回る「2時間6分10秒」を目標としてタイマーに表示させた。より実現可能性の高い目標としては、同学年である大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が昨年12月の福岡国際マラソンでマークした現役日本人最速記録の2時間7分19秒を挙げる。
「まずは大迫選手のタイムを一番のターゲットとして走りたいと思います。高校時代はあこがれでしたけど、今は目標としている選手。切磋琢磨(せっさたくま)しながらマラソン界を盛り上げたいですね。東京五輪に出場するには大迫選手に勝たないといけないですし、それには日本記録を上回るようなタイムが必要。また、世界と勝負するためには(2時間)4分台、5分台を出さないといけません。みなさんが楽しみにしているのは日本記録更新だと思うので、絶対に抜く気持ちで走りたいです」
福岡の大迫に続き、東京では設楽が2020年東京五輪の“希望の星”に輝こうとしている。(文/酒井政人)
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