【RIZIN】榊原実行委員長が見るRIZINの未来「日本で圧倒的に求心力ある舞台に」

長谷川亮

「ジョシカク」にスポットライトを集めたRENA(右)を決勝で浅倉(中央)が破るなど時代が動いてきた。今後のRIZINについて榊原実行委員長に聞いた 【(C) RIZIN FF】

 2015年10月に旗揚げを発表し、最初の年末興行を開催してから3度目の年越しとなった総合格闘技イベント「RIZIN」。17年末の大会では、「バンタム級トーナメント」「女子スーパーアトム級トーナメント」「キックボクシングトーナメント」を軸に、PRIDE時代からの聖地であるさいたまスーパーアリーナを熱狂させた。

 前回のコラムでは榊原信行RIZIN実行委員長に2017年を振り返ってもらったが、今回はその続きとして18年の展望、そしてその先の未来について語ってもらった。

選手を“麻酔”にかける会場演出

会場演出もエンターテインメントを作る中で重要。18年の年末は1日で多くのファンを集める大会になる予定だ 【(C) RIZIN FF】

――年明けの会見で、今年のスケジュールについてお話がありました。年末は12月29、31日の2日開催であった従来の形から31日だけに絞り、これまでとは異なる構想があるようですね。

 今年の熱がどこまでいくかですが、会場のスケールアップをしようと思っています。これまではさいたまスーパーアリーナの最も小さなバージョンでした。昨年までは低天井でしたが、これを高天井バージョンにすると、3万人近く、2万5千人以上入ってくるので、今年はそうしようかと考えています。今まで2日で集めていたものを1日に集約する。1日に2万5千人集められるだけの熱が醸成されつつあるのかなと思っていますので、今年の大晦日は思い切って1日に2万5千人を集めて、その大観衆の中で、最高のエンターテインメントとなり得る格闘技コンテンツを見せたいなと。それがさらに進めば、過去のPRIDEの頃に打ち立てた4万人とか5万人近い人たちが入るスタジアムバージョンでやっていける可能性もあると思っています。

 大きな会場というのはたしかに見づらいのですが、4万人、5万人という大観衆が入って見る臨場感や迫力というのは他では体感できません。年末の大会も、あれだけ熱のある会場だからこそ、選手たちもそれに感化されて、あのようなパフォーマンスをすることができた。僕らは音響とか照明というのは“麻酔”にかける装置だと思っていて、やはりいい意味で選手たちをその気にさせなくてはいけない。大観衆の前であれだけの音響・照明でランウェイを歩かせると、アドレナリンが出て、テンションが上がり選手たちも“今日はやってやる”という気持ちになります。ですからまず手を抜かずにその装置を作ること。これはお金も時間もかかって大変なのですが、やはり選手のよりよいパフォーマンスを引き出すために必要でしょう。もちろんお客さんもそういう環境が整っていることで、非日常的空間に酔い、より試合に集中できますし、普段出さないような大きな声も出るんだと思います。つまり選手もお客さんも麻酔に掛けてしまう必要があって、それがあのオープニングの演出なんです。今年の年末は1日に集約することで観客数を増やして、さらなる演出効果を高めることにもチャレンジしていきたいです。1年に1度のシーズンピークにふさわしい場を作り出すので、期待していてください。

 今年は5月6日の福岡大会(マリンメッセ福岡)の後、7月末と9月末にさいたまスーパーアリーナ大会を予定しています。それ以外では8月に大阪の案もありましたが、会場の調整がつきそうなので名古屋、そして秋に中国で大会をやりたいと思っています。

 米国の考えもありましたが、今年はまず中国でやれたらいいかなと。米国というマーケットはすごく可能性を感じていますが、まずは日本国内での圧倒的な求心力と土台を作って日本のマーケットを徹底的に活性化するということに特化し、その先に中国に持っていければと考えています。中国は時差なくテレビのゴールデンタイムの放送時間にも入れられるという利点もあります。日本・中国で足場を固め、米国という肥沃なマーケットは、19年以降で行ければいいかなと思っています。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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